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DeNA、ジャンル特化型キュレーションメディア3サービスを発表

新構想「DeNA Palette」のもと10サービスを展開予定

 ディー・エヌ・エー(DeNA)は、「Find Travel」を買収し子会社化した。また、「Find Travel」を含めた3つのキュレーションサイトの提供を新たに開始し、新構想「DeNA Palette」のもとキュレーションサービス群を積極展開してゆく方針を示した。

 今回新たに発表された「Find Travel(ファインドトラベル)」「JOOY(ジョーイ)」「cuta(キュータ)」の3つのサービスは、それぞれ旅行情報、男性ファッション、妊娠・出産・子育てに特化したキュレーションプラットフォーム。

 キュレーションメディアとして、参加ユーザーが、インターネット上の情報を独自の視点でまとめ、公開するサービスになっている。DeNAでは本日発表された3サービス以前に住まい・インテリア情報に特化した「iemo(イエモ)」、女性向けファッションを扱う「MERY(メリー)」、食の分野の情報を提供する「CAFY(カフィ)」という3つのキュレーションプラットフォームを展開している。

Find Travel

 国内外の人気観光スポットやご当地グルメ、人気の宿などを紹介するキュレーションプラットフォーム。2014年8月に提供を開始したサービスをDeNAが買収したもので、月あたりのアクティブユーザー数(MAU)は約300万人。

JOOY

 オシャレでかっこいい大人の男になりたい男性向けに、ファッションのコツや恋愛・デートのノウハウを提供するキュレーションプラットフォーム。2015年4月6日より提供を開始している。

cuta

 妊娠・出産・子育てに特化したキュレーションプラットフォーム。ターゲットは子育て中のママ・パパや、出産を控えたプレママ・プレパパ層。製作メンバーは全員女性で、産休後の復帰者やプレママ社員が開発に携わっている。

DeNA Palette構想

 DeNAでは今回の新サービス発表にあわせ、同社のキュレーションプラットフォームのあらたな事業拡大構想「DeNA Palette」を公開した。既存3サービスに、本日発表のサービス3つを加え6つのキュレーションプラットフォームを運営する同社だが、この構想のもとで2015年度12月末までに合計10サービスの展開を目指すとしている。

「パートナーと組み合わせて世の中に新しい価値を生み出す」

 発表とともに開催された説明会では、DeNAの代表取締役社長兼CEO、守安功氏が登壇し、プレゼンテーションを行った。

DeNAの代表取締役社長兼CEO 守安功氏

 守安氏によると、DeNAはこれまでも、自社の持つインターネットやスマートフォン向けサービスのノウハウを活かして他社と協業するビジネスを展開してきたとし、任天堂のIPを生かした業務提携や、金融機関のノウハウを生かしたペイジェント、出版社の持つコンテンツ力と編集ノウハウを生かした「マンガボックス」を例に挙げ、「パートナーの強みとDeNAの強みを組みあわせて、世の中に新しい価値を生み出していくことが、DeNAの得意とするところだ」と語る。

 同社が昨年末に買収し既に提供中のキュレーションプラットフォーム「iemo」と「MERY」について、加入後にさらに成長し、両サイトの2015年3月期のMAUがそれぞれ500万人、1600万人を超えていることを明らかにし、今後もM&Aも選択肢に入れたスタートアップとの協業を進め、同社のキュレーションメディアをさらに成長させていく意気込みを明らかにした。

リアルな世界でのビジネスマッチングも提供

 続いて、iemo株式会社のCEOとして、「iemo」サイトの運営を行いながら、DeNAの執行役員として同社のキュレーションプラットフォーム全体の統括を担当している村田マリ氏が登壇し、同社のキュレーションプラットフォーム事業について解説した。

iemo株式会社CEO兼DeNA執行役員 村田マリ氏

 DeNAグループのキュレーションプラットフォームは、それぞれが衣・食・住など特定のジャンルに特化した専門情報を提供していることが特徴。

 村田氏は、これらのプラットフォームの成長戦略として4段階の発展フェーズを示した。

 第1段階では、特化したジャンルの読み物を提供する。第2段階は、ジャンルごとの媒体を増やし、横展開をすすめることとし、現在はこの段階であるとする。

 続く第3段階では、アドネットワークやネイティブ広告を導入してメディア化する。そして最終段階である第4段階での展開として、リアルな世界でのビジネスマッチングを提供することを明らかにした。

 第4段階でのリアルビジネスへの展開はプラットフォームごとに異なり、例として、「MERY」では、気に入った洋服を店舗や通販サイトで購入できるようにしたり、「iemo」では、リフォーム業者やインテリアコーディネーターとのマッチングサービスを提供したりするなどの構想を示した。

キュレーションプラットフォームの横展開

 現在展開中の3サービスに、新規に買収、提供を開始する予定の3つのサービスを加えて、合計6つのキュレーションプラットフォームを展開することになるDeNA。今後の目標として、2015年12月にはライフスタイルジャンルにおいて、特化型キュレーションプラットフォームを合計10サービスを展開することを目標としている。

バックグラウンド業務はDeNAに委託し、サービス開発に注力

 村田氏のプレゼンののち、これらの媒体の担当者によるトークセッションが行われた。参加者は、「iemo」の村田氏、「MERY」の中川綾太郎氏、「Find Travel」の井出一誠氏、「CAFY」担当のDeNA牛尾正人氏、進行役としてDeNA戦略投資推進室長の原田明典氏が登壇した。

左から、DeNA原田氏、「iemo」村田氏、「MERY」中川氏、「Find Travel」井出氏、「CAFY」牛尾氏

 「Find Travel」の井出氏は、「リリースから7カ月で300万人のMAUを獲得したFind Travelだが、採用面や収益化の面での課題があった。DeNAの傘下となることでそれらの解決に対してプラスに機能している」と述べた。

 「iemo」の村田氏は、DeNAの傘下となったメリットについて述べ「iemoでは人事、広報、経理といったバックグラウンド業務をすべてDeNAに委託している。サービス開発に120%注力できる」とした。

 「MERY」の中川氏はDeNAでの展開について「複雑な予算会議のプロセスに戸惑う。だが、資金調達が死活問題となるスタートアップ経営の頃と比べて、安定してサービスを充実させることに集中できる」と話す。

 DeNA社内の出身で「CAFY」を担当する牛尾氏は、「CAFY立ち上げの際に、iemoとMERYの2社のノウハウやスピードがなければ立ち上げできなかった。買収による相乗効果がでている」とした。

今後の展開

 今後の展開として、DeNA Palette構想のもとに、新規開発、外部のスタートアップ企業の買収や協業などさまざまな方法でキュレーションプラットフォームの展開し、数年後に月間で5000万人のユーザーを目指す。

 収益化の目途についてはサービスごとに判断し、既存の「iemo」と「MERY」については近いうちに収益化を行う予定という。前述の成長戦略について、第4段階のリアルビジネスとサービスとの連携については、各プラットフォームごとに、外部も含め最適な業者と連携し個別に展開していくとしている。

「Find Travel」サービスサイト
「JOOY」サービスサイト
「cuta」告知サイト

石井 徹