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ドコモ、ABCクッキングスタジオのオンライン展開を紹介
「グローバルレッスン」で海外に和食の紹介も
(2014/2/7 18:57)
NTTドコモとABC Cooking Studioは、都内の旗艦スタジオのリニューアルに合わせて記者向けに発表会を開催し、ドコモとの資本提携を経た今後の展開を明らかにした。
NTTドコモは、ABC Cooking Studioの持株会社であるABC HOLDINGSの株式、51%を1月15日に取得しており、全国で料理教室を展開するABCのコンテンツと、ドコモのモバイルやクラウドのノウハウと融合させた取り組みを行っていくと表明していた。
記者向けの発表会に登壇したNTTドコモ 常務執行役員 スマートライフビジネス本部長の阿佐美弘恭氏は、これまでもコンテンツやコマース分野に注力していることを示した上で、「日々の生活の健康や学びを、モバイルでいかにバリューアップしていくか、取り組んでいきたい」と語る。また、「週1回、2時間などが従来の(料理教室などの)モデルだが、残りの6日と22時間をいかにバリューアップできるか。ここがモバイルの出番」と料理教室の外でも時間を使えるような方向性にも触れ、「ドコモとABCクッキングスタジオでどう広がっていくか、見ていただきたい」と、意気込みを語った。
会場ではここで、NTTドコモ 代表取締役社長の加藤薫氏から届けられたビデオメッセージも再生された。加藤氏のビデオはABCクッキングスタジオで収録されており、料理教室を体験した後に録画に臨んだとのことで、「自分で作って醍醐味を体感できた。今日はメニューが和食だったが、ポイントは出汁かな、という感触」と感想も。「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録されたことに触れながら、「和食のすばらしさを、料理を作る楽しさとともに届けたい。モバイルICTを融合することで、海外に配信することもできる。ドコモが取り組んでいる健康・学びの2つの分野の連携で、今までにない価値を創造していきたい」と期待を語った。
ABC Cooking Studio 代表取締役社長の櫻井稚子氏は、創業から29年目の今年、全国で128のスタジオを展開し、28万人の会員がいることや、20~30代の女性が大半を占めるといった状況を紹介をした上で、「リアルな場を日本では築けたが、リアルだけではつながりに限界がある。今以上の価値はなにかと考え、モバイルを利用したオン・オフが重要で、双方が一緒になって価値の高いものができると考えた。新たな領域、可能性に挑戦していく。授業のレッスンは海外にも提供し、リアルだけでなく、世界にも情報発信していきたい」と、モバイルでの取り組みや、アジアを中心に展開をはじめている海外のスタジオ展開を加速させていく方針を明らかにした。
NTTドコモ 執行役員 ライフサポートビジネス推進部長 兼 ABC Cooking Studio 代表取締役副社長の中山俊樹氏からは、より具体的な方針が語られた。中山氏は、28万人の会員がいるが、これまで会員になった人は90万人に上るとし、タブレットなどを活用することで家庭会員の拡大にも期待ができるとする。また、ABCクッキングスタジオに対し、ショッピングモールなどの大規模な施設からは出店要請があるとのことで、実際に出店できる数の倍は出店要請があるとする一方、優秀なスタッフや講師を揃えることが難しいという面もあるとし、「一部では、動画を使うことで地方のスタジオに配信でき、コンパクトな店舗で展開もできる」と、これまでにないタイプの展開も可能になるとした。
加えて、海外でのスタジオの展開にも同じようなスタッフや講師を確保する難しさがあり、これまでは展開速度を上げられない課題があったとした上で、2014年度の早い段階で、ソウル、成都、北京の2店舗目、台北に新たにスタジオを展開する予定であることを明らかにし、欧米でも展開していく方針を示す。中山氏は、「和食の素晴らしさを一軒一軒のお宅に届けることが、ABCと取り組むことで可能になる。新しい学びの姿に取り組んでいきたい」と意気込みを語った。
中山氏は質疑応答の中で、ABCの事業計画をまさに議論している最中とした上で、成長速度を加速させていくことや、機動的な展開には資金も必要であることから、資本提携にまで踏み込んだことを明かした。
香港と映像を中継「グローバルレッスン」の模様を披露
ABC Cooking Studioは丸の内と渋谷にあるスタジオを同時に「コンセプトスタジオ」としてリニューアルし、どちらも旗艦スタジオとして位置付けた。コンセプトスタジオは女性向けだった内装を男女どちらにも向けた、シックでナチュラルな内装を基本とし、食事ができる空間、カクテルなどを作れるドリンクバーを設置しているのも特徴。
7日の発表会では、第2部としてスタジオ内で「グローバルレッスン」のデモンストレーションが披露された。「グローバルレッスン」では日本のスタジオで講師や生徒が料理を作る模様を、映像で香港スタジオにも中継。日本の講師が教える内容を日本と香港のスタジオで同時に作るといった内容で、通訳を介し、生徒同士が質問しあうといった交流の時間も設けられていた。
この日のメニューは和食の「太巻き寿司」。酢や砂糖を使った酢飯を用意する点や、巻き方、切り分ける際の包丁の使い方などが解説され、香港スタジオの生徒と一緒に楽しみながら作っている様子が披露された。また、デモでは生徒の前にタブレット端末が置かれ、講師の手元の様子が確認できるようになっていた。
「グローバルレッスン」は日本からの発信だけでなく、海外の有名シェフが日本のスタジオ向けにレッスンを行う回も用意される。この日は録画映像だったが、フランスの「ラ・パティスリー・デ・レーヴ」のパティシエ、フィリップ・コンティチーニ氏が登場し、お菓子作りを解説する模様が披露された。
ABC Cooking Studioは今後、スタジオに集まった会員が料理をする際、具体的な料理の方法をタブレットで解説するコンテンツ(アプリ)を試験的に提供する予定で、フロントカメラで手を認識し、画面に触れずに解説画像などを送ったり戻したりできるようになっている。
同社はまた、無料の動画配信サービスとして、600本以上の料理動画を配信する「ABC Cooking Channel」をオープンしており、こちらはパソコンやタブレット、スマートフォンからだれでも利用できるにようになっている。イベントやセミナーなどのライブ配信も予定されている。