日本通信米国法人、Sprintとレイヤー2の相互接続


三田氏
福田氏

 日本通信は、同社の米法人Communications Security and Compliance Technologies(CSCT)が3月17日、米携帯電話事業者であるSprintとレイヤー2の相互接続契約を結んだことを発表した。23日、代表取締役社長の三田聖二氏、常務取締役 CFOの福田尚久氏らが出席し、都内で会見が行われた。

 レイヤー2接続とは、インターネットや企業の専用線に接続するためのゲートウェイ(GCSN、関門交換機)を日本通信側で用意できる相互接続形態。日本通信では、NTTドコモとこの契約を結び、MVNOおよびMVNE事業を展開している。

 CSCTは現在、CDMA事業者であるU.S.Cellularと相互接続契約を締結し、ATM向けの無線データ通信サービスを展開している。今回、この事業を継続しつつ、Sprintとの契約を結んだ。Sprintは、KDDIと同じ通信方式であるEV-DOで携帯電話サービスを展開している米3位の通信事業者。U.S.Cellularとは異なり、全米でサービスを展開しており、加入者数は4800万人。

 まず、米国で企業向けの専用線サービスを展開し、その後、日本通信の「Doccica」(ドッチーカ)サービスのように、通信時間をチャージしながら利用するプリペイド型データ通信サービスが提供される予定。

 日本通信では、通信事業者に縛られることのない通信環境を構築するため「グローバル・ワン(G1)」という戦略を打ち出している。日本や米国での相互接続に加えて、今後、欧州、中国と接続契約を結び、世界中で同一料金で携帯電話が利用できる環境を構築したい考え。

 同社はそのために、各事業者とレイヤー2接続を進めることと、グローバルの認証・課金プラットフォームの構築が必要としている。なお、欧州との相互接続契約は2010年内、中国との契約は2011年を目標としている。

 また今回の相互接続により、国内ではドコモのW-CDMA網、米国ではSprintのCDMA2000網と接続することになるが、同社では、複数の通信方式に対応したチップはすでに発表されており、ノートパソコンを中心に今後マルチ対応のチップが登場するとしている。

 さらに、各国の通信事業者と相互接続を結ぶことで、海外に行ってもローミング不要で利用できるG1単一料金化を進めていく方針。2010年第2四半期以降になるとみられる。

 このほか、日米欧での相互接続締結後には、1枚のSIMカードで各国で利用できる「G1-SIM」などの提供も検討しているという。しかし、より深いレベルでの統合が必要であるため、「HLRも我々が保有してやることも検討する」(福田氏)と話している。HLRとは、携帯電話の電話番号やや端末識別番号などの情報を管理するデータベースのこと。


 



(津田 啓夢)

2010/3/23 19:26