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クロネコヤマト、LINEで不在連絡や再配達依頼を可能に

 ヤマト運輸は19日、コミュニケーションアプリ「LINE」上で公式アカウントを開設し、宅急便で送った荷物の問い合わせや不在連絡サービスを提供する。

 LINE上で「ヤマト運輸」公式アカウントの画面から同社の会員サービス「クロネコメンバーズ」のIDを連携させることで、荷物が届く前や、不在配達時にメッセージで通知される。メッセージ内のリンクから、配達時間帯や場所を指定できる。

 当初提供されるサービスは、従来、メールやヤマト運輸の公式アプリでクロネコメンバーズ会員向けに提供していたものと同じ内容。配達状況の確認などのや集荷依頼などのメニューは、LINEアプリ内でクロネコメンバーズのサイトを開いて利用する形となる。

ヤマト運輸社長 長尾裕氏

 発表会で登壇したヤマト運輸の代表取締役社長、長尾裕氏によると、ユーザーの利便性向上を考え、サービスの利用方法の選択肢を増やすのが目的とし、メールやヤマト運輸アプリで提供しているサービスを終了する予定は、現時点ではないとしている。ユーザーは、LINEとメールや公式アプリを併用することもできる。

 今回のLINEとのサービスでは、従来から提供しているクロネコメンバーズの仕組みを利用しており、荷物を宅配するドライバー側の負担は変わらないという。長尾氏は「LINE経由での利用が拡大することで、不在配達率が減少し、結果的にドライバーの負担軽減に繋がるだろうと考えている」とした。

 また、公式アカウントの提供開始にあわせて、ヤマト運輸を「友だち」登録したユーザーにオリジナルスタンプがプレゼントされる。

 ヤマト運輸では今後、LINEを利用した新たなサービスを提供していく方針。提供内容については検討中だが、LINEのメッセージ機能を利用して伝票の内容を入力し、専用の店頭端末にかざすことで伝票が印刷されるサービスや、LINEで友だち登録をしている相手に、住所を知らなくても荷物を送れるサービスなどを検討しているという。新サービスの第一弾は、2016年の夏頃に提供を開始する見込み。

 提供を検討しているサービスの中のひとつの「住所を知らなくても送れるサービス」は、LINEの「友だち」に対して、発送前にメッセージを送って相手に住所を入力してもらうことで、匿名で送れるものになるという。

「お客様の満足が第一という理念で共鳴した」

 発表会の冒頭、長尾社長は「宅急便は1975年にサービス開始、今年で40周年目を迎えます」と紹介。その中で、「お客様の満足度の向上を第一に考えてきた」と語り、今回のLINEでのサービス提供によって「より身近で親しみやすい宅急便を目指す」とした。

 サービス紹介の後、LINEの出澤剛代表取締役社長がゲストとして登場。両社長によるトークセッションが行われた。司会進行は経済ジャーナリストの内田裕子氏。

 ヤマト運輸の公式アカウントは、LINEの法人向けソリューション「LINEビジネスコネクト」を利用して提供されているという。同ソリューションはLINEが2014年に提供を開始したもの。

左から、内田氏、ヤマト運輸長尾社長、LINE出澤社長

 出澤氏は、「LINEビジネスコネクトをリリースする前の企画会議で、どんな企業と組めたらいいかの案を出した際に、最初に挙がったのが宅配便だった」と明かし、ヤマト運輸さんにはスタート時に話をしにいって、2年間かけて機が熟しました」と語った。

 それに対して長尾氏は、「当初は社内では時期尚早だとか、ヤマトで利用しているシステムとの親和性はどうなのかといった意見があり、社内での調整に時間がかかった」とした。一方で「お客様からLINEに対応してほしいという要望も多かった」ことから、提供を決定したという。

 想定するユーザー層について長尾氏は「当初は若い方の利用が多いと見込んでいるが、最近では高齢の方もLINEを利用しているようなので、すべての年齢層でまんべんなく利用されるのではないか」と話し、出澤氏は「定期的に実施しているアンケートの結果でも、最近では日本の年齢分布にほぼ近くなっている」と補足した。

 LINEにとっての提携のメリットを聞かれた出澤氏は「ユーザーの利便性が向上するという点が大きい、我々のやりたいことはユーザーさんをより便利にする向上というユーザー第一主義。ヤマトさんの理念とも共鳴する」と話した。長尾氏は応じて「共鳴するところがあったからこそLINEさんとも提携できた。今後も新しいサービスを提供していきたい」と話した。

石井 徹