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グーグルが日本を含むアジアのAIスタートアップを支援する地域プログラムをスタート、コネを作るソフト面での支援も

 グーグル(Google)は、アジア太平洋地域(APAC)のAIスタートアップを支援する取り組みを10月~12月に実施する。7カ国合計23社のAIスタートアップ企業と協働し、グーグルのさまざまなソリューションの活用や、企業との繋がりなどを支援していく。

 AI技術はますます成長し、生活にも溶け込み始めている昨今、「アジア太平洋地域でもAIの新たなイノベーションやコミュニティを加速させるべき絶好のタイミング」と話すのは、Google for StartupsのAPACチームを統括するマイケル・キム氏。キム氏が拠点としているシンガポールでは、政府がAIイノベーション推進の政策をとっていると話す。

 たとえば、日本では、高齢化が進む中で現在急速にロボットやオートメーション化が進んでいるほか、サムスン電子など巨大な技術を持つ企業を抱える韓国、あるいは急速に人口が増加するインドネシアなどでは、電子取引や金融サービスにAIが導入され、サービスや機能の改善を図る流れができている。

 キム氏は、グーグルのAIスタートアップへの取り組みについて、グローバルだけでなく地域ごとに取り組む必要があると指摘。先述のように、各国それぞれ特有の事情があり、AIを活用するシーンが国や地域によって異なる。各国それぞれで成熟したAIスタートアップ企業同士が、国境を越えて強力なパートナーシップを気づくことにより、さらにAI分野が広がることを期待しているとキム氏は取り組みの意義を説明する。

 プログラムでは、スタートアップ企業がメンターシップや製品トレーニングなど専門家による指導を数カ月間にわたり受ける。これにより、さまざまな開発者や起業家、政策立案者、技術者と繋がり、知識を深めたりネットワークを構築したりすることで、AI分野を共に前進させることができるようになる。

 プログラムに参加しているスタートアップ企業のジャンルはさまざま。たとえば、シンガポールのスタートアップであるNext Lawは、一般の人には複雑で理解しづらい法律関連の手続きに対し、AIにで、より簡単なプロセスを実現し、法的な課題を持つ人々を支援すべく取り組んでいる。また、日本のスタートアップであるピリカは、環境問題をAIで解決しようと試みている。

 一方、グーグルでも、クラウドサービスのクレジットを支援するなどハード面での支援も実施している。スタートアップが成功すればするほど必要に迫られる帯域幅と処理能力を支援すべく、クラウドメンターの担当者を置き、マンツーマンでサポートが受けられるようにしている。クラウドサービスだけでなく、Google for startupsでも専任の担当者とペアになって取り組むことで、企業が何を必要としているのか、グーグルで支援できるものは何かといったものをくみ取り、グーグル内のコネクションを提供するなど、独自の支援も進められている。

 同社では、2025年からさまざまな国や地域でAIアカデミーやスタートアップスクールを運営し、グーグルのGeminiやさまざまなツールを簡単に使えるように、またクラウド上でシステムを構築できるようスタートアップを支援していく。