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京産大とソフトバンク/LINEが連携、スマートキャンパス構想第1弾

 京都産業大学、ソフトバンク、LINEは26日、先端技術を活用した新しい学生生活の実現・研究に関する包括連携協定を締結した。

 同協定では、キャンパス内での5Gインフラの整備や、LINEのプラットフォームを活用した大学運営のデジタル化に取り組む。スマートキャンパス化により、教育・研究環境を充実させ、大学の魅力発信や、Society 5.0を担うデジタル人材の育成、産学連携の推進を行う。

左から、ソフトバンク 取締役会長 宮内 謙氏、京都産業大学 学長 黒坂 光氏、LINE 上級執行役員 広告・法人事業統括 池端 由基氏

 京都産業大学は、全ての学部、学生、教員が1つのキャンパスに集まる「一拠点総合大学」を掲げている。学内に5Gをはじめとする最新のデジタル技術を集約することで、現役の学生だけでなく、卒業生や受験生、地域、企業といった全てのステークホルダーを一カ所でつなぐ拠点として、大学を機能させる狙いだ。

具体的な取り組み内容

 今回の協定では、5Gネットワークの整備、LINEのプラットフォームを活用した統一されたインターフェースの導入、WEBによる大学の魅力発信という、3本の柱が示されている。

5G、LINE、WEBの3つを柱とするスマートキャンパス構想

キャンパスにおける5Gインフラの整備

 キャンパス内全域における5Gインフラの整備を行う。通常の通信サービスを提供するパブリック5Gはもちろん、授業や研究活動、デジタル化された大学のシステムなどに用いる「プライベート5G」も整備される。

 プライベート5Gを用いて、VRを使った未来型授業の展開や、先端技術の研究、キャッシュレス化や顔認証システムの導入といった利便性の向上などを行う予定だ。学生たちのアントレプレナーシップ(起業家精神)を育て、新事業の創出につながるようなDXを提供したいとしている。

5Gネットワークを活用したDX化の一例

 ソフトバンクのプライベート5Gネットワークが大学に整備されるのは、日本では京産大が初めてだという。まずはパブリック5Gによるサービスの提供が開始され、来年度以降プライベート5Gの整備が進められる。連携は、一部の人だけが利用する実験的なものではなく、キャンパス全体での環境整備や人材育成を目的としたもので、すべての学生、教職員を対象にしたものになる。

LINEのプラットフォームを大学運営に活用

 LINEのインターフェースを活用して、在学生はもちろん、入学前から卒業後に至るまで、学生の生活をトータルにサポートするシステムを構築する。

 場所や時間に関係なく連絡や相談を行えるチャットボットや、食堂や移動手段などの混雑状況をリアルタイムで把握できるシステムなどを、LINEを通じて導入する。また、LINEが把握しているデータを活用することにより、それぞれの学生に最適化された情報を提供し、多様化する学び方や進路に対応するという。

LINEのインターフェースやユーザーデータを活用したDX化の一例

WEBによる大学の魅力発信

 DXによるデータの把握などにより、WEBを活用したより効果的な大学の魅力発信を行う。大学として、研究内容の発表や研究活動の広報、学生たちのスポーツ活動などの成果を発信する力を付けていきたい考え。

 在学生や卒業生のデータを活用することで、京産大に興味を持つかもしれない受験生へリーチした情報配信なども可能になるという。

協定締結の背景

 京産大ではこれまでも産学連携の考え方を掲げ、データサイエンス教育やデジタルシステムの充実を図り、全学をあげて次世代のデジタル人材の育成に取り組んできた。

 ソフトバンク会長の宮内氏によると、世界で5Gを活用した大学のスマートキャンパス化が急速に進む中で、日本でも同様の取り組みを行うにあたり、すでにデジタル化を推進していた京産大の仕組みをさらに強化する形をとることとなり、今回の協定の締結につながったという。

 京産大学長の黒坂氏は「18歳未満の人口が激減する厳しい状況では、選ばれる大学となっていくことが必要。デジタル社会が近づく中で、チャレンジを続け、未来を見据えた先進的な大学、選ばれる大学であり続けたい」と、今後の展望を述べた。