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ドコモの「いつでもカエドキプログラム」が残価設定型になった理由
2021年9月17日 19:33
NTTドコモは17日、「iPhone 13」シリーズや今後発売されるスマートフォンなどの購入に利用できる新端末購入プログラム「いつでもカエドキプログラム」を発表した。
9月24日から提供されるもので、ざっくり言えば「24回払いで購入、購入から23カ月目までにスマホをドコモへ返却すると24回目の支払いが不要になる」というもの。
24回目の支払いが残価として設定された価格となるが、これは機種ごとに異なるとのことで、どの程度の割合になるかはわからない。
ただ、現時点で端末価格が明らかになっている機種を見ると、「Galaxy Z Fold 3」は23万7600円という価格に対して、残価は9万40円。つまり約37%が残価ということになる。そして「Galaxy Z Flip3の残価率は約40%だ。
また17日夕刻に発表されたドコモのiPhone 13シリーズの販売価格からすると、残価額は、端末価格の約49%になっているようだ。
残価として設定された金額も、購入した端末であれば本来ユーザーが支払うべきものだが、ドコモへ端末を返却することで免除される。つまりユーザーは1回目~23回目までの支払いで済むことになる。これは「スマホおかえしプログラム」と同じく代物弁済という考え方で実現した。
ちなみに端末を返さない場合、残価はさらに24分割されて支払うことになる。
ユーザーとドコモは、割賦販売契約、あるいは個別信用購入あっせん契約を結んで、分割払いをする。レンタルやリースではなく販売となるため、所有権はユーザー側が保有する。
特徴的な「早期利用特典」
「いつでもカエドキプログラム」ではもうひとつ、特徴的な仕様がある。
それは1カ月目以降に端末を返却すると、「24カ月目の残価支払い免除」に加えて「1~22カ月目の支払額が割り引かれる」というものだ。ドコモではこれを「早期利用特典」と名付けている。
本来であれば、24回払いのうち、一部しか払っていない状態のため、残りも満額支払い続ける必要がある。
しかしドコモでは、端末購入でも同社を利用してもらうため、ドコモならではのメリットとして「早期利用特典」を用意。
もし1年ごとに最新機種を買い替えたい、という人であっても、ドコモならではのお得感をアピールしたい構えだ。
【お詫びと訂正 2021/09/18 12:01】
記事初出時、「早期利用特典」について13回目以降といった内容でご紹介しておりましたが、正しくは1カ月目以降の返却でも適用されます。お詫びして訂正いたします。
申込みと利用できる場所と条件
申込み受付は、ドコモショップ、ドコモオンラインショップ、そして量販店などドコモ取扱店舗となる。いずれも端末購入と同時のときだけ申し込める。
法人名義では利用できない。またApple Storeも対象外となる。
またプログラムを利用する、つまり端末を返却して残価免除を適用してもらう場合は、ドコモショップと、ドコモオンライン手続きであれば、次回の端末購入は不要で利用できる。
ただ、ドコモ取扱店舗で「いつでもカエドキプログラム」を適用しようとする場合のみ、機種変更のような“端末購入”が必須となる。
また一部家電量販店では、対象機種の分割支払残額が1万1000円以上の場合も利用できないことがある。
申込時と同じくApple Storeは利用時も対象外だ。
対象機種
当初の対象機種は、iPhone 13シリーズや、8日に発表された「Galaxy Z Fold3 5G」「Galaxy Z Flip3 5G」となる。
ドコモ広報によれば、「いつでもカエドキプログラム」の対応機種は今後発売される機種となる。今夏モデルなど発売済機種は対象外で、発売済機種はこれまで通りの「スマホおかえしプログラム」を利用できる。
残価設定は本当に得?
携帯電話やスマートフォンでも、中古端末を買い取る事業者は以前より存在する。
割賦にしろ、一括にしろ、ユーザーが新品を購入して一定期間使った後、中古事業者に渡すかどうかはユーザー自身が判断することになるだろう。
そうした中、今回発表されたドコモの「いつでもカエドキプログラム」は、2つのメリットを訴求している。
ひとつは、これまでの「スマホおかえしプログラム」と比べると、ドコモからの還元の割合が高まるということ。「スマホおかえしプログラム」では、36回払いのうち24回支払えば12回分の支払いが免除されるというものだった。つまりどの機種であっても「還元率は33%」だった。
ドコモの担当者は17日午後の記者説明会で、「これまでは一律の設定しかできなかったが、機種ごとに残価を設定できるようになった」と説明する。この背景には、他社の端末購入プログラムと比べ、これまでのドコモの「33%」が還元率としては低かった、ユーザーへの還元が少なかったということも背景にある。
もうひとつのメリットが「残価=未来の下取り価格がはっきりわかっている」という点だ。中古製品の買取価格は市場の状況によって変化するもので、「これから登場する新機種」の下取り価格は将来決まるもの。しかしドコモの新プログラムを使えば、「将来の下取り価格(免除される残価)」がはっきり決められているので、ユーザーによっては安心して計画的に購入できる、と考える人もいるだろう。
ドコモでは、iPhoneシーズンにあわせて今回のプログラム提供を決めたとしており、「iPhone 13シリーズ」登場で盛り上がる商戦期に臨む構えだ。
17日の「いつでもカエドキプログラム」説明会主な一問一答
――たとえば12カ月目に返却する場合、一例として、それ以降、600円ずつお得になるとのことだが、端末を返却して13カ月目~24カ月目の間も支払いは続くことになる。それでも利用する人がいると見込んでいるのか。
担当者
ご指摘のとおり600円の割引となるが、お客様のメリットとして、600円×11カ月分の特典がある。これでお客様に判断いただくことになりますが、充分メリットがあると考えています。
――これまでの「スマホおかえしプログラム」での成果や課題は?
担当者
約2年前に開始した「スマホおかえしプログラム」は、これまで大変多くの方に選んでいただいており、一定の評価をいただいているのかなと。
一方で他社の同様の端末購入プログラムと比べると、やや還元額について劣る部分があったと思う。
そこを課題として他社の状況も見ながら、新しい機種を選びやすく、購入していただきやすい形を今回提供することになた。
したがって、「スマホおかえしプログラム」と比べ、還元額、お客様のメリットが大きくなっています。より選んでいただきやすくなったかと思います。
――回線契約なしで利用できるとのことだが、与信はどうなるのか。
担当者
これまで通り、割賦での購入による与信審査は実施いたします。
――スマホおかえしプログラムと異なり、今回、残価設定型になった理由は?
担当者
今回、残価型を選んだのは、従来の「スマホおかえしプログラム」では、36回払いのうち12回分、33%の還元と、一律の設定しかできませんでした。
今回、残価設定型にすることで、機種ごとに残価を設定できます。未来の市場価格などを想定しながら、それぞれの価値や、他社の状況、お客様のニーズなどに応じて、(残価を)設定し分けることができます。
一律設定→個別設定への変化というメリットに加え、33%以上に設定もできるようになり、今回の変更に至ったのです。
――行政サイドから、従来のプログラムへ問題視されていたところもあったが、そういう点を解消する意味はあるのか。
担当者
行政からは、業界に対しては「回線契約なしの人に適用しない」ことへの指摘が挙がっていましたが、もともとドコモでは、回線契約なしでも「スマホおかえしプログラム」から利用できるようにしていましたので、問題ない形にしていました。
――ではなぜ、このタイミングでの発表になったのでしょうか。
担当者
2年前に「スマホおかえしプログラム」を導入して先ほど申し上げた通り、他社に比べると見劣りするといった面もありました。
そして一律設定ではなく柔軟に設定できるようになります。
そこで、新型iPhone導入のタイミングで、一年で買い替えるというようなニーズもあり、今回設計した次第です。
――これまでもそうだが、今回プログラムで引き取った端末で、中古端末をどんどん流通させることもできるようになると思うが、たとえばドコモオンラインショップで中古端末を販売するのか。中古端末の流通についての考えを教えてほしい。
担当者
下取りを含めて、中古端末をかなり保有しており、これからも増えていくと思います。
今、社会としてカーボンニュートラル、あるいはサステナブルという考え方からも、リサイクルだけではなくリユースを進めたいと思っています。
オンラインショップでの販売は、前向きに検討していますが、まだ検討段階でして、具体的には今後です。
中古端末のニーズもそれなりにあるでしょうが、一方で端末の状態、あるいは保証のようなものを関連づけなければ、お客様に安心して利用していただけません。このあたりをよく見極めながら決めていきたいです。
――ドコモ回線を持っていない人には、条件が2つあるとのことで、ひとつは本人確認書類で理解できるが、もうひとつ、支払い方法が口座振替か、ドコモが指定する種類のクレジットカードとある。dカードのことか?
担当者
dカードに限定することはありません。
――メインターゲットは?
担当者
いわゆる若年層が、iPhoneを、秋・冬・春に購入されます。だいたい、高校生ぐらいから大学生、あるいは社会人になって数年間は、かなり通信量をお使いいただけることが、さまざまなデータからわかっています。
そのデータ量と今の料金というバランスを見ながら、最後セーブをしていると言う傾向も見て取れるんです。
今回、あわせて「U30 ロング割」という割引も発表しましたが、今回の「いつでもカエドキプログラム」を出すことで、端末の購入や月々の利用をサポートする戦略です。
具体的な数は申し上げられませんが、多くの方に支持をされ、この秋冬のiPhoneやほかの機種を含め「ドコモが一番いい」と言っていただきたいという思いを込めています。