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au、Apple Watch単体で使える新サービス「ウォッチナンバー」

料金が「ピタットプラン」になる理由とは

 KDDIは、Apple Watch単体で音声通話やデータ通信を使えるようにする「ウォッチナンバー」を提供する。9月17日からは、料金を1年割り引くキャンペーンの受付を開始する。

 Apple Watch Series 4以降では、新たに「ファミリー共有設定」という機能が用意され、Apple Watch単体で通話や通信ができるようになる。家族のうち、子供にはスマホを持たせずApple Watchだけ身につける、といった利用が想定されている。

 ファミリー共有設定を使うには、携帯電話会社側で専用のプラン、仕組みが必要だ。9月16日のアップルの発表会を経て、日本国内ではauでの対応が明らかにされており、16日14時、「ウォッチナンバー」が発表された。

料金は350円~

 ウォッチナンバーを契約することで、Apple Watchだけの電話番号が割り当てられる。保護者のiPhoneと、子供のApple Watchをファミリーアカウントでペアリングすると、位置情報の取得、アプリの購入管理などもできる。

 ウォッチナンバーでは、毎月の料金プランとしてスマートフォン向けの「ピタットプラン 4G LTE」が適用される。

 通常、ピタットプランは、1GBまで3150円(2年契約Nで2980円)。家族割が適用されれば、1000円(3人契約の場合)の割引はあるものの、それでも1980円となり、Apple Watch単体契約の料金としては、高額に思える。

 そこでKDDIでは今回、「ナンバーシェアからの移行キャンペーン」を実施。契約翌月から12カ月間、1630円、割り引くことになった。これで、月額350円でファミリー共有設定でのApple Watchを使えることになる。

 なお、この料金は1GBまでのもの。もしApple Watch単体での通信量が増えると、ピタットプランの料金形態は従量制のため、料金も高くなる(4GBまでで割引後1350円、7GBまでで同2850円)。ただし、1GBという通信量は、iMessageでいえば2000通(1通500KB)になる量。位置情報の取得などを含めても一般的な使い方であれば1GBで足りる、とKDDIでは見ている。

ナンバーシェアとウォッチナンバーの違い

 これまでApple Watchのセルラーモデルで利用できたauのサービス「ナンバーシェア」は、iPhoneと同じ電話番号をApple Watchでも利用できるようにするもの。発着信もApple Watch側でできるようにしている。

 一方、ウォッチナンバーは、先述した通り、Apple Watch単体へ電話番号が割り当てられる。

 どちらかと言えばナンバーシェアは1人でiPhoneとApple Watchを使う場合に適しており、ウォッチナンバーは家族内で使うデバイスが異なる場合にあわせた格好だ。

 ちなみにウォッチナンバー導入後も、ユーザーは、ナンバーシェアを契約できる。どちらかだけ契約することもできるし、同時に契約することもできる。もし同時に契約したとしても、Apple WatchはいわゆるDSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)には非対応のため、どちらの契約を使うか、ユーザーが手動で選ぶことになる。

なぜピタットプランなのか

 これまでも子供用の携帯電話「mamorino」向けの料金プランが用意されるなど、端末の性質・性格にあわせたサービス形態が整備されてきた。

 しかし、ウォッチナンバーは一般的なスマートフォンと同じ「ピタットプラン」が適用される。なぜか。

 KDDIによれば、電気通信事業法のガイドライン上、電話番号が割り当てられるApple Watchは、スマートフォンと同じ区分になるためだという。新しい形態のデバイス、用途ということもあり、ひとまずガイドラインを遵守する形で料金を含めた契約形態を整備。ただ、そのままでは高いと感じられることから、キャンペーンで割り引きすることになった。

 同社では、今後の制度の動向、あり方を含めて注視していく構え。制度、そしてデバイスにあわせて利用したい環境を設計していくとしている。現時点では名言されていないが、1年間のキャンペーンとはいえ、350円という価格帯は維持されると期待できそう。

auだけ

 今回、アップルの発表では、auのみ「ファミリー共有設定」対象と案内されており、他キャリアについては触れられていない。au独占なのか、あるいは先行的なものなのか。KDDIは「他社のことは正直わからない」としている。

 確かに過去のアップルの発表を踏まえると、auのロゴだけがプレゼンで示されたこと、Apple Watchに関するアップル側のWebサイトの記述を踏まえると、ひとまずauでの独占的な取り組みと言えそうだ。

 たとえば1年前にはauのスマートフォンユーザーには6カ月、Apple Musicが無料になったり、8月末まで「Apple Watchはじめようキャンペーン」でナンバーシェア利用料を6カ月無料にしたりする取り組みを実施。こうした点がアップル側から評価され、今回につながった可能性がある。

契約形態を整備

 技術的な仕組みはどうか。たとえば、ナンバーシェアを開始した2017年の段階で、初めてeSIMに対応し、同じ番号で発着信する部分では大きな開発だった。今回は、そのとき開発したeSIMの仕組みを土台にしたもの。そして契約形態の整備がKDDI側で整備したものになるという。

 新たに整備された「ウォッチナンバー」について、KDDIでは「新たなサービスとして提供することになり、いろんなユースケースに当てはめて、Apple Watchを今後どうやって多くの方に利用していただけるようにするか。eSIM対応デバイスが増えてきており、具体的な計画はないが、Apple Watchだけで終わるのではなく新たなサービスとしての利用価値をできるだけ生み出したい」としている。

 国内では、長年にわたり、子供向けの携帯電話が提供されており、小学生でも高学年ではスマートフォンを手にするケースがそれなりにある。Apple Watchのファミリー共有設定がはたしてどの程度のユーザーに利用されるのか。注目されるところだ。