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アップルが紹介するiPhoneの電池性能とパフォーマンスの関係性とは

突然の再起動は「パフォーマンス管理による影響」

 アップルは、iPhone本体のバッテリー性能の低下によるパフォーマンスへの影響に関する説明を、同社のサポートページに公開した。

リチウムイオン電池は劣化する消耗品

 iPhoneをはじめとした多くの電子機器には充電式のリチウムイオン電池が搭載されている。バッテリーは消耗品で、耐用年数(寿命)には限りがあるため、デバイスを使い続けるにはいずれバッテリーの交換が必要となる。また、充放電を繰り返すとバッテリー性能が低下するため、これによって本体のパフォーマンスにも影響が発生する場合がある。

 充電式バッテリーは消耗品で、新品時と比較した場合、化学的経年劣化によって充電可能な容量が低下し、その結果、再充電が必要になるまでの時間が短くなっていく。また、バッテリーの最大瞬時給電能力(ピーク電力)も低下することがある。

バッテリーが劣化すると、突然システムが再起動することも

 電池残量が少ない場合や、バッテリーが劣化している場合、バッテリーの給電能力が低下し、本体に必要な電力を瞬時に供給できない状態になる。iPhoneに搭載されている電源管理システムにおいて、このような状況で本体の能力を最大限に発揮しても継続的な動作が難しくなると、電子部品を保護するためにシステムがシャットダウンする場合がある。

 そのほか、iPhoneのバッテリーが劣化すると、アプリの起動に時間がかかるようになる、スクロール中のフレームレートが低くなる、バックライトが暗くなる、スピーカーの音量が小さくなる(最大でマイナス3dB)、一部のアプリでフレームレートが徐々に低下するといった問題もみられるようになるという。また、極端な場合はカメラのフラッシュが使用できなくなる、バックグラウンドで更新されるはずのアプリが起動中に再読み込みされることがあるとしている。

iPhone 6以降ではiOSにパフォーマンス管理機能を搭載

 iPhone 6、iPhone 6 Plus、iPhone 6s、iPhone 6s Plus、iPhone SE(第1世代)、iPhone 7、iPhone 7 Plusでは、iOS上で本体のパフォーマンスを管理し、突然のシャットダウンを防ぐようになっているという。このパフォーマンス管理機能は、iPhone固有のもので、iPadといったほかのApple製品には適用されないという。

 iOS 12.1以降では、iPhone 8、iPhone 8 Plus、iPhone Xに同機能が組み込まれており、iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XRには、iOS 13.1以降で同機能が組み込まれている。

具体的には、高負荷時にシステムタスクを配分

 このパフォーマンス管理は、デバイスの動作温度やバッテリーの充電状況などを総合的に判断した上で機能する。これらの要素から、どうしても必要とされる場合に限り、iOSはシステムタスクを配分し、デバイスの負荷を自己分散することで突然のシャットダウンを防ぐようになっているという。

 iOS 11.3以降では、バッテリーのパフォーマンス管理機能が改善されるとともに、バッテリーの状態を設定アプリから確認できる機能が追加されている。管理機能の改善によりパフォーマンス管理のレベルが定期的に評価され、突然のシャットダウンを防いでいるという。

 パフォーマンス管理のレベルについては、バッテリー性能が十分で、ピーク電力の必要条件に対応できる状態であれば下がり、突然のシャットダウンが再び起こった場合は上がる。

iPhone 8以降では、パフォーマンス管理機能がさらに進化

 iPhone 8以降の各モデルは、ハードウェア・ソフトウェア双方の面で設計が進化し、iOSが突然のシャットダウンをより正確に予測し、回避できるようになっているという。アップルでは、この効果を「iPhone 8以降のほうがパフォーマンス管理の影響が目立ちにくいかもしれません」としている。

どのような場合でも、いずれはバッテリー交換が必要

 なお、「どのようなiPhoneモデルであっても、時間の経過とともに充電式バッテリーの容量やピークパフォーマンスは低下し、いずれは交換が必要になることに変わりはありません」として、バッテリーの劣化による本体のパフォーマンス低下を改善したい場合は、Appleのサポートページを通じた修理の手続きを進めるように案内している。

 また、iPhoneを長期間保管する場合は、バッテリー残量を50%前後の状態にしておくことで、バッテリーの耐用年数を延ばせると案内。また、iPhoneを長時間、直射日光にさらすなど、高温環境下で充電や放置するのはさけることもポイントだとしている。