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「P40 Pro」は誰でもベストショットを撮れる――ファーウェイ担当者に訊く

 日本国内でも発売されたファーウェイの最新Android スマートフォン「HUAWEI P40」シリーズ。

 最上級機種の「P40 Pro 5G」に加えてミドルレンジの「P40 lite 5G」とエントリー向けとなる「P40 Lite E」の3機種がラインアップ。幅広い価格帯の製品を揃え、上級ユーザーからスマホ初心者までさまざまな層が手に取りやすい展開となっている。

 Huawei Consumer Business Group Marketing Expert of Handset BusinessのSteve Lai(スティーブ・ライ)氏にP40 Proのカメラについて話を聞いた。

誰でもベストショットが撮れるように

 シリーズ随一のハイエンドモデルとなるP40 Pro 5Gでは、ファーウェイのスマートフォンが定評を得ているカメラ機能も強化されている。レンズ構成は、40MPのウルトラワイドシネ、50MPのウルトラビジョンワイド、5倍望遠、色温度センサー、ToFセンサーとなっている。

 ソフトウェア的にはこれまでのカメラとは違った工夫が見られる。P40 Proには新たな機能として「写真に写り込んだ通行人を消す」ことができる「ゴールデンスナップ」が用意された。シャッターチャンスと思った瞬間に「通行人が後ろを横切ってしまった」というのはありがちなシーン。そこで「通行人を削除」というボタンを押すと、あたかも最初からそこに人なんていなかったかのような写真になるのだ。

ゴールデンスナップ搭載の理由

 ライ氏は、この機能を搭載した理由について次のように語る。

 「PシリーズにAIを搭載し、最高のスマートフォンであるということを強調したかったのです。誰でも簡単に写真を撮影できるようにしたいという考えがありました。我々が発見した課題として『最高の瞬間を撮影するのが難しい』ということがあります。プロのカメラマンは、最高の瞬間を撮影できますが、それは長年の経験に基づくもの。しかし、ファーウェイのスマートフォンを手にすれば、誰でも素晴らしい瞬間を撮影できるようにしたかった」。

 ファーウェイの調べによると、スマートフォンで撮影する写真で最も多いのは友人や家族との写真。次いで旅行の時の写真だという。そうした中で、ユーザーにとっての障壁は少なくない。たとえば、子供の笑顔や寝顔、泣き顔など瞬間を切り取る写真。博物館などガラスケースの中にあるものを写した写真。そして、家族写真を撮ろうとしたら他人が横切ってしまったなど。

違和感なく背後の人を消している(「P40 Pro」で“映り込んだ人を消す”AI撮影と50倍ズームを体験してみた)(2020年6月4日)

 こうした中で、アマチュアがプロのような写真を撮影するのは困難が伴う。そこで、開発されたのがゴールデンスナップだった。「いつでもどこでも、P40 Proがあれば、素晴らしい瞬間を撮影できるようにしたのです」(ライ氏)。

将来的にカメラは増える? 減る?

 近年は、特にハイエンドモデルにおいて多数のレンズを組み合わせたカメラがトレンドだ。ファーウェイも例外ではなく、P40 Proでは4眼カメラが備えられている。一方で、そうした構成を取ると筐体の重量は増加する。カメラ機能は重視するけど、軽い端末もほしいという需要にはどう対応していくのだろうか。

 ライ氏によれば「新製品の企画時にも、カメラをどこまで載せるかを検討しています。P40についていえば、望遠カメラにペリスコープ型を導入しました。これにより軽さ・スリムさを実現しています」という。

 この部分は、ユーザーからの声も重視しているとライ氏。「次世代の製品についても増やしていくか、減らしていくか、現状維持という可能性もあります」と説明した。

5G時代のファーウェイはどう攻めるか

 いよいよ5Gが各国でスタートし始めた2020年。ファーウェイはこの時代をこれからどう戦っていくのだろうか?

 ライ氏は、チップセットやユーザー体験の強みを生かしていくという。「チップセットとモデムを一体化し、5Gの高速性と端末の処理速度を向上させられる。我々はこの点について他社よりも先行しています」と語る。

 カメラ機能に定評のあるファーウェイ。一方で、カメラは誰もが重視する重要な機能であるがゆえに他メーカーの追い上げも激しく、競争は熾烈だ。こうした中でファーウェイは、何を独自性として他社との差別化を図るのか。

 「我々は(カメラ機能において)技術、計画、アルゴリズムの面で業界をリードしています。他社はファーウェイに追いつくためにハードウェア面に力を入れているのではないかと思います。しかし、我々はハード面のみならずユーザーの体験や課題にも注目しています」とライ氏は説明。

 ファーウェイでは、ユーザーに対して同社製品の好きなところ・嫌いなところを調査するなどの活動も行っているという。「夜に写真が撮りにくい」というユーザーからの声を受けて夜間撮影に特化したモードを用意したり、「遠くを写せない」という声に対して望遠レンズを搭載するなどの改良を重ねてきた。

 また、前述のゴールデンスナップ開発のエピソードのように、ユーザーのスマホカメラに対するニーズを分析。ユーザーが直面する課題を解決できる機能を備えるなどソフトウェア面にも力を入れていることがうかがえる。

 ちなみにファーウェイでは、「HUAWEI Next-Image」という写真コンテストを開催している。これは毎年開催されているもので、ファーウェイ製のスマートフォンで撮影した写真で応募するフォトコンテスト。「より良い写真が撮れるように、他人の写真から学んだり、お互いの写真を交換したりする方もいるでしょう。こうしたプラットフォームを通じて、世界中の消費者が交流できるようにしているのです」とライ氏。

 2020年のNext-Imageでは、120カ国から119万枚の応募があったという。

 Leicaとの協業関係も長らく続けているファーウェイ。その関係はより緊密なものになってきているという。今後もカメラ機能を追求し続けていくファーウェイのスマートフォンに注目したい。

【お詫びと訂正】
記事初出時、カメラスペックに誤りがありました。お詫びして訂正いたします。