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NTTドコモの20年度第1四半期決算、減収増益からのスタート

 NTTドコモは8月3日、2020年度第1四半期決算を発表した。営業収益は、1兆982億円で前年同期比611億円減。営業利益は2805億円で前年同期比18億円増。2020年度は減収増益の滑り出しとなった。

 発表の場には、NTTドコモ 代表取締役社長の吉澤和弘氏が登壇。冒頭「新型コロナウイルスや令和2年7月豪雨の被災者にお見舞いを申し上げる」とコメント。ドコモでは、移動基地局車などを用いたエリア復旧を実施した。

ドコモ 吉澤氏

 通信事業において営業収益は8518億円で前年同期比933億円減。営業利益は2194億円で前年同期比118億円減。スマートライフ領域での営業収益は2555億円で前年同期比347億円増。営業利益は612億円で前年同期比136億円増だった。

 モバイル通信サービス収入が前年同期比187億円の減少。ユーザー還元の拡大や新型コロナウイルスの影響による国際ローミングが主な要因。一方で光通信サービス等では120億円増で、NTTぷららを子会社化したことによりその他営業収入も232億円増となった。

 新型コロナウイルスや19年度の販売施策の変更などの影響で端末販売関連の収入は777億円減。営業収益は、611億円減となったが、営業費用も630億円減となり、18億円増収という結果となった。

通信事業では

 携帯電話契約者数は8061万と前年同期比の7890万から2%増。ハンドセット解約率は0.34%と抑えられており、吉澤氏は新料金プランの普及拡大の取り組みに寄るものと説明。

 スマートフォン・タブレットの利用率は4215万と前年同期比3%増。ドコモ光の契約数は666万契約で前年同期比11%増。

 ARPU(1契約当たりの利益)については、4800円。新料金プランでユーザー還元は拡大しているが、ドコモ光の契約数増や割引適用額の減少で前年同期比30円増だった。

dポイントクラブ

 dポイントクラブは、会員数が7600万を突破。dポイントカード登録者数も4472万と前年同期比の3616万から24%増を達成。

 dポイント利用は、571億ポイントと前年同期比の469億から22%増。加盟店など提携先での利用は55%増の403億ポイントとなった。

スマートライフ領域では

 スマートライフ領域の営業利益は612億円と前年同期比29%増を達成。利益の内訳は、dヒッツをはじめとしたコンテンツ・ライフスタイルが20%。金融決済が25%。ケータイ補償サービスなどのあんしん系サポートが40%。法人ソリューションなどで15%という。

 金融取扱高は、1兆5000億円でそのうちdカード取扱高は1兆1400億円だった。dカードの契約は1318万契約となり、前年同期比13%増だった。そのうち、dカードGOLDについては704万契約で前年同期比25%増だった。

 d払い取扱高は1530億円と前年同期の540億円から2.8倍増と大幅に増加した。ユーザー数についても、2727万ユーザーと前年同期比で1.8倍の伸びを見せた。利用の可能場所については前年同期比1.7倍の194万カ所となった。

2020年度業績予想

 2020年度の業績予測では、営業収益については4兆5700億円(前年同期比813億円減)。営業利益では、8800億円(前年同期比254億円増)を見込む。この数字については、国内において再び緊急事態宣言が発令され、経済活動がストップしないことを前提としたものという。

 ギガホ・ギガライトによるユーザー還元拡大や新型コロナウイルス影響に寄る国際ローミング収入、機器の販売収入の減少により収益は減少と見込んでいる。一方で、営業利益は、スマートライフ領域や法人ソリューションの成長や販売費用の減少やコスト効率化などで増益を見込む。

 また、設備投資については5Gの強化にリソースを集中させるとともに4G LTEなどの効率化を図り同水準となる予定。

 吉澤氏は「2020年は新時代の成長に向けたスタートの年。顧客基盤強化、会員基盤を軸にした事業運営の本格化などを加速させ、アフターコロナに向けて5Gを通じて新たな価値創造、社会課題解決に貢献する」とした。

新たな取り組みとして、メルカリとの業務提携を行っており、今後も5Gのユーザー数拡大を図るとともに、5G時代向けの新サービスも順次展開している。

 また、法人向けの5Gソリューションも強化する。特に自治体、教育・観光、医療、製造・建設の分野に着目し社会課題解決へ貢献するという。

 新型コロナウイルス対応では、テレワークや遠隔教育支援関連のツール等を無償提供するなどの対応を行った。また、リアルタイムでの人口分布や混雑度マップなども期間限定の無償提供を実施。

 25歳以下向けに行った支援措置では、ある高校から「支援措置のおかげで気兼ねなくオンライン授業が受けられた」という感謝の手紙が届いたという。同支援措置は8月末まで実施の予定。

質疑応答では

――4G周波数の5G転用への期待感などは

吉澤氏
 4Gのユーザーが少なくなれば考えていくが、現在は4Gユーザーがたくさんいる。エリアや通信速度に影響が出てくる可能性があり、ユーザー保護の観点に立った考え方が大事だ。加えて、4Gの周波数を転用すると通信速度は4Gと変わらない。有利誤認を招かないように適切な周知を実施していく必要があると思う。しかし転用を否定しているわけではない。4Gユーザーが少なくなってからは検討していくが、まずはSub-6、ミリ波を活用したい。

――米国によるファーウェイやZTEの制裁による影響は?

吉澤氏
 NTTグループが米政府などとビジネスを進めていることもあり、そこに支障をきたさないようにしていく。米国の国防権限法の対象となる5社については自社サービスの提供や業務運営では取り扱わない。特にネットワーク設備等はファーウェイやZTEは現在使用していない。端末については、(ドコモで取り扱っている)現行の機種は販売を継続すると考えている。ただし、5Gモデルなどの新しい機種については規制動向を見極めながらになるが、現時点では難しいのではないかと思う。