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グーグルの「Google Meet」、需要激増のビデオ会議ツールが堅持する安心安全さとは

 新型コロナウイルスの影響拡大により、「ソーシャルディスタンス」などを始めとした感染防止策がさまざまな場面で取られている。ビデオ会議もそのひとつで、複数のサービスが人気を博している。

 「Google Meet」もそのひとつだ。G Suiteを利用する企業向けのサービスで現在、昨今の情勢を鑑みて、一時的に個人でも利用可能になるとの発表もなされた。

 会議で取り扱う内容は社外秘であることも多い。センシティブな情報を第三者のサービス上に展開することをためらう向きもあるかもしれない。グーグル Google Cloud G Suite スペシャリストの小林直史氏が、グーグルが安心安全なビデオ会議利用のために取り組んでいる内容について解説した。

内容はすべて暗号化

 小林氏によると、ユーザーが利用するデータはすべて暗号化されている。通信は、「DTLS」や「SRTP」といったプロトコルに準拠したものとなっているという。ユーザーのプライバシー、セキュリティを設計時から考慮していることがGoogle Meetの特徴だ。

 グーグルが提供する保護機能プログラム「APP」(Advanced Protection Program)に登録することで、フィッシング詐欺などさまざまなセキュリティリスクからアカウントを守りつつ、安全な会議を行えるのもまたメリットという。

乗っ取り防止も考慮

 他社のサービスで騒がれた会議のハイジャックについても対策がなされている。Google Meetの会議コードは、10桁かつ25種類の文字を組み合わせたものとなっている。これにより、組み合わせは100兆通りほどとなり、ランダムに文字を入力して会議へ侵入を試みる総当たり攻撃を防ぐ。

 また、社外など外部からの参加者は、Google カレンダー上で招待されるかドメインアイの参加者がMeetから直接招待した場合のみしか参加できない。さらに部外者が参加しようとすると会議の画面上にダイアログが表示される。

 すでに会議中のユーザーが許可して初めて参加できるという仕組みで、こうした対策の組み合わせで部外者の乱入をより一層困難なものにしている。

攻撃ポイントの少なさ

 ユーザーはブラウザを用意すれば良いという点もまた、Google Meetのセキュリティリスクの少なさをつくるひとつだという。専用のクライアントソフトがないことで、攻撃するポイントを減らし、ユーザーに対してもセキュリティパッチをインストールする手間を減らすことにつながる。

 また、小林氏は、AndroidやiPhoneなどから利用では、必ず公式アプリストアからアプリをインストールするよう案内している。

 このほかにも、Googleドライブ内に暗号化した上で保管される会議の録音もしくは録音データに対して、グーグル側の技術者がデータの修復などを理由にアクセスした場合は、必ずその履歴が残されるようになっている。履歴にはアクセスした理由も含まれる。

 加えて、グーグルでは、同社のWebサイトにおいて国・地域ごとやカテゴリー別のコンプライアンス対応状況を公開しており、同社のサービスの透明性をアピールしている。

セキュアなサービスを選ぼう

 Googleは独自のネットワークを持っている。今般の新型コロナウイルスの影響により、ビデオ会議などの需要は大幅に伸びているが、キャパシティに問題はないと小林氏。

 グーグルによれば、Google Meetの1日のユーザーの利用時間の合計は30億分以上にも達しているという。日本国政府による緊急事態宣言の延長の可能性も伝えられる中、今後ビデオ会議の需要はますます増加していくことが予想される。このような切迫した事態の中でも、会社やチームの安全が確保されたサービスを用いて円滑に仕事を進めていきたい。