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「インフォバーという概念は継承されてきた」プロダクトデザイナー・深澤直人氏が「INFOBAR xv」を語る

 KDDI・沖縄セルラーは、既報の通り、「INFOBAR xv」(インフォバー・エックスブイ)を2018年秋に発売すると発表した。

「INFOBAR xv」

ファンの声が後押し

 12日には都内で記者向けの説明会が開催された。冒頭に登壇したKDDI 理事 商品・CS副統括本部長の山田靖久氏は、初代INFOBARから始まったau Design projectの取り組みが15周年を迎え、「トランスフォーマー」とコラボレーションした玩具や、コンセプトモックを含めて歴代モデルを並べた展覧会「ケータイの形態学 展 - The morphology of mobile phones -」を開催したことを紹介。ユーザー投票企画でもINFOBARシリーズが根強い人気を保っていることが明らかになり、「ファンの声が後押しになった」と、今回のモデルを発売する契機になったことを紹介した。

KDDI 理事 商品・CS副統括本部長の山田靖久氏。ファンの声が後押しになったと語った

「インフォバーという概念は継承されてきた」

 山田氏の挨拶に続いて、KDDI 商品・CS統括本部 プロダクト企画部 マネージャーの砂原哲氏と、プロダクトデザイナーの深澤直人氏が登場し、「INFOBAR xv」の開発経緯やポイントが解説された。

 砂原氏からは、これまでのau Design projectの取り組みが振り返られた上で、「発売は秋だが、すこしでも早く情報を届けるため、今日発表することになった」と、通常の商品ラインナップとは異なるタイミングになっていることを説明した。

砂原氏と深澤氏

 深澤氏は、「携帯することに対する適正な形はどういうものか考え、バータイプはすっと入り込むのではないかと考えた」と、初代INFOBARが当時としても細長い部類に入るバータイプになった経緯を語る。

 その上で、アプリの進化に伴って大きな画面が必要とされ、INFOBARもスマートフォンとして進化してきた経緯を語るが、次第に、初代モデルの“持ち歩くこと”に対する適正な形というコンセプトが希薄になっていたという認識で、「最低限のアプリが使えるだけのものがあってもいいのではないか」と考えたという。

 「アプリは発達してきたが、(大型化などで)ハードウェアが必ずしも使いやすくなっていない。携帯するケータイとしてのふさわしい形と、アプリに対してのふさわしい形がある」(深澤氏)

プロダクトデザイナーの深澤直人氏

 深澤氏はまた、「持ち歩くパッションは消えていない」とも指摘する。

 「インフォバーという概念は継承されてきた。それと一緒にau Design projectも歩んできた。(人々は持ち歩くモノに)パッションが欲しいのではないか。(人々の意識から)消えていなかったINFOBARを、ガツンと出さないといけないのではないか。(今回のモデルは)必然的なことで、ファンにとっては“いつ出るのか”だった。スマートフォンがあるにも関わらず、そう言っていた。それが今回のプロジェクトの大きな要因」(深澤氏)

 深澤氏はほかにも、デザインだけでなく完全なフレームレスキーを実現するハードウェアについても「世界に誇っていい精緻な技術がなし得る技」とその進化にも言及し、「ファッションやライフスタイルだけでなく、ハードウェアの技術も活かされている」と、最新の製造技術が組み込まれていることも語った。

 深澤氏が語った、過剰な情報摂取を抑制する“デジタルデトックス”のコンセプトは、「ケータイの形態学 展 - The morphology of mobile phones -」にて初披露された同氏のコンセプトモデル「SHINKTAI concept」でもすでに示されており、アナログレコードや「写ルンです」の復権といったアナログ再評価の文脈にも近い、“SNS熱狂時代”の先を見据えた視点ともいえそうだ。