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KDDI、ミャンマーMPTの長期研修プログラム1期生が研修を終え帰国

 KDDIは、住友商事とミャンマー国営郵便・電気通信事業体(MPT)と共同で、ミャンマーでの通信事業を展開している。共同事業の一環として、MPT職員の技術力向上を目的に2017年から行っている長期研修プログラムを受けた第1期生が、6月29日にミャンマーへ帰国した。

MPTからの研修生4名を、1年間KDDIで受け入れ

 同社の長期研修プログラムは、ミャンマーでの事業展開にあたってMPTの技術力を高める目的で、長期的なパートナーシップを維持するための交流も兼ねて行われている。プログラムの第1弾として、2017年7月~2018年6月の1年間、MPT職員4名をKDDIの各部署で受け入れ、研修を実施した。

 研修生4名は、MPT職員の中から選抜されたメンバーで、技術系職員が2名、事業系職員が2名。直接的な人材育成に留まらず、幹部候補生である研修生たちを通じて、MPT全体の将来的なスキルアップを目指す。

 研修内容としては、KDDIの各事業やサービスの紹介、インフラ施設などの見学といったメニューに加えて、技術系研修では、固定アクセス網や情報システムに関する部署で企画・開発・運用の一連のサイクルを学んだ。事業系研修では、接客研修や顧客満足度向上への取り組み、Eコマースや決済サービスなどのライフデザインなどについて学習した。

今後の展望

 ミャンマーでの携帯電話普及率は、2011年の民主化、そして2013年1月の通信市場の自由化を経て、近年急速に高まっている。2013年にノルウェーのTelenorとカタールのOoredooの2社へライセンスが付与され、国営のMPT1社による独占状態であった市場に競争が生まれた。

 現在のMPTの通信事業は、ライセンスや顧客基盤、既存設備をMPTが提供し、KDDIの住友商事の合弁会社であるKSGM(KDDI Summit Global Myanmer)が、新規設備の整備や技術・運用・マーケティングのノウハウの提供を行う、共同運営となっている。

 2014年の参入以降、KDDIは技術面の支援を行うとともに、独占状態が解消された今後の競争において必要となる、顧客満足度を向上させるための取り組みにもノウハウを提供してきた。具体例としては、コールセンターの無料化や契約者向けページ「MPT4U」のアプリ版の提供などが実施されている。また、現地ではポストペイ方式が普及しておらずプリペイド方式が主流のため、ポストペイ中心の市場以上にユーザーの流動性が高いとして、ポイントプログラムの導入など、囲い込み策も講じている。

 このように、通信のみにとどまらない多角的な経営が今後の鍵とされ、1年間の研修を終えたMPT職員たちに、特に関心を持ったKDDIのサービスを尋ねると、「Eコマース事業は、郵便事業も行っていて自前の流通網があるMPTでは展開しやすいのではないか」「au WALLETのような決済サービスを展開したい。決済サービスが確立されていないミャンマー市場で、主導権を握ることができればモバイルの加入数増加にも繋がると思う」といった複合的な事業展開を思い描いたコメントが聞かれた。

 担当者によれば、研修生を受け入れたことによってグローバル化への意識改革が多くの部署で見られたといい、MPTとKDDIの双方にとってメリットのあるプログラムとなった。KDDIでは今後も中長期的にMPTの人材育成に取り組んで行く予定で、第2期生の受け入れに向けて準備中としている。