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SORACOM、免許要らずのIoT向け無線「LoRaWAN」で基地局をシェアする新サービス
2017年2月7日 18:03
IoT関連の通信サービスなどを手がけるSORACOM(ソラコム)は、無線免許なしで専用基地局(ゲートウェイ)を展開できる通信技術「LoRaWAN」へ正式に対応した。LoRaWANゲートウェイ用の通信サービスのほか、LoRaWANゲートウェイを販売する。さらにゲートウェイをユーザー同士でシェアするサービスもあわせて提供する。
LoRaWANとは
「LoRaWAN」は、サブギガ帯(日本では920MHz帯)を使って、1つのゲートウェイで5kmなど、広範囲をカバーできるIoT向けの通信技術。免許が要らない周波数帯を使うことで、通信コストが安く済むと期待される。IoT向けとあって通信速度は遅く、音声通話や動画など大きなサイズのデータを伝送する、といった用途には適さない。
SORACOM Air for LoRaWAN
これまでSORACOMでは、IoT向けデータ通信サービスとして「SORACOM Air」を提供してきた。これはNTTドコモのネットワークを借り受けて、使ったときにだけ通信料がかかるという料金体系の通信サービス。
この既存サービスは、「SORACOM Air for セルラー」と改称して今後も提供される一方、新たにLoRaWAN対応のゲートウェイとLoRaWAN対応デバイスを利用できる「SORACOM Air for LoRaWAN」が提供されることになった。
所有モデルと共有サービスモデル
LoRaWAN対応デバイスとしては、河川の水位をチェックする水位センサー、地滑りをチェックするセンサー、ます型の雨量センサーなどが想定され、エイビット社が提供する。また日立システム、トミス、イートラストとの協業によりマンホールの盗難検知などを行うセンサーも提供される。
そうしたデバイスがぶらさがる(アクセスする)ゲートウェイは、導入企業/自治体が購入する「所有モデル」のほか、SORACOMが所有し他のユーザーの間で共有する「共有サービスモデル」という2つの形態で提供されることになった。料金面では、共有サービスモデルのほうが初期費用、月額費用ともに安価となる。ただし共有サービスモデルは契約期間が1年間で自動更新と、期間拘束型になる。
所有モデルの場合、初期費用は6万9800円。月額利用料はゲートウェイ1台あたり3万9800円で2台目以降は2万9800円。
一方、共有サービスモデルの初期費用は2万4800円、で、月額費用はゲートウェイ1台あたり9980円で、2台目以降も同じ料金。
ゲートウェイ~クラウドの間は、携帯電話のモバイルネットワークを使う。この通信料は所有モデル、共有サービスモデルどちらも「SORACOM Air for LoRaWAN」の利用料に含まれる。また月額利用料には、データの暗号化などをクラウドで処理する「SORACOM Beam」、デバイスからのデータを特定のクラウドサービスへ転送する「SORACOM Funnel」、デバイスから転送されるデータをグラフ化する「SORACOM Hervest」といった3つのアプリの利用料も含む。
「やみくもにゲートウェイが設置されるのは良いことではない」
7日、「LoRaWAN」への対応を発表したSORACOM代表取締役社長の玉川憲氏は、所有モデルであればプライベートネットワークのようにエリアを構築できる、とした上で、「無線資源には限りがある。やみくもにゲートウェイが設置されるのは良いことではない」と説明する。
LoRaWANは、その仕様上、ゲートウェイはエリア内の全ての端末の信号を受信するとのことで、仮に所有モデルでゲートウェイを設置しても、他社が展開する端末の信号もキャッチしており、そのデータをSORACOMのサーバー上で破棄することでプライベートネットワークとして機能させる格好。
そうした仕様面もあって「LPWA(低消費電力、広いエリア)のシェアリングエコノミーが考えられるんじゃないか」と玉川社長。
設置する場所は、導入企業が指定する。ただし共有サービスモデルで設置した場合、周辺にある他社のデバイスからの通信も経由する。またWeb上でゲートウェイの設置箇所を探せるサービスも用意される。