本日の一品

1万円以下で購入できるフルワイヤレスイヤホンとしては十分な「SoundCore Liberty 2」と「SoundCore Liberty Air 2」

 2019年はいろいろなメーカーから決定版ともいえるフルワイヤレスイヤホンが続々登場した1年だった。特に、ソニーの「WF-1000XM3」やAppleの「AirPods Pro」など、ノイズキャンセリング機能を搭載したモデルが充実したり、遅延の少ないモデルが充実してきた。

 そうした高性能モデルが充実するとともに、普及価格帯でも機能や性能が充実したモデルが増えている。そんな普及価格帯のなかで、特にお買得度の高いモデルとしてAnkerの「SoundCore」シリーズが2機種、2019年末に発売になった「SoundCore Liberty 2(以下、Liberty 2)」と「SoundCore Liberty Air 2(以下 Air 2)」を試す機会が得られたので紹介していく。

「SoundCore Liberty 2」(左)と「SoundCore Liberty Air 2」(右)

 Anker製品といえば、Amazon.co.jpで販売されているモバイルバッテリーやケースを思い浮かべる人も多いだろう。特に最初期の製品では簡易的なパッケージに包まれていたのだが、今回試したイヤホンはオーディオメーカーの製品のようにしっかりしたパッケージが用意されている。

 Liberty 2とAir 2の違いだが、本体とケース形状以外の大きな違いはドライバーサイズで、Library 2が10mm、Air 2が6mmとなる。また、連続使用時間も8時間と7時間で1時間の差がある。

 バッテリーが切れてしまった場合、ケースに戻して充電が行えるが、バッテリー残量0から100までのフルに充電できる回数は4回と差がなく、使用時間1時間の差を僅差として考えれば、純粋に「音質」でこの2機種を選ぶといいだろう。

両製品のケース形状には差が見られる

 フルワイヤレスイヤホンは「音質」などイヤホンとしての性能はもちろんのこと、持ち運ぶにあたり「ケース」のサイズ感や使い勝手が重要だ。

 Library 2は光沢感があり、曲面の目立つ形状をしている。それに対し、Air 2はマット仕上げでLibrary 2と比べると四角に近い。AirPodsに似ているともいえる。

中央はソニー「WF-1000XM3」

 どちらのモデルもケースサイズは「大きい」といわれているソニー製の「WF-1000XM3」より小さめ。少し分かりづらいが、Liberty 2も曲面を多用したケース形状のおかげで、四辺の厚みは薄くなっているため、手に持って比べるとWF-1000XM3よりは小さく感じられる。

充電端子はどちらもUSB Type-Cだ

 ケース自体の充電はどちらもUSB Type-Cで行える。パッケージにはケーブルが1本付属しているため、iPhoneユーザーであってもケーブルを新たに用意しないといけないといったことはない。

ケースに収められたイヤホン

 ケースを開けてイヤホン本体とご対面。余談だが、Library 2のケースの蓋は「上に開く」のではなく、奥に向かってスライドさせて開ける必要がある。光沢感のある塗装のせいか形状のせいなのかは分からないが、指がすべって開けづらいようにも感じた。

イヤホン本体を比較

 イヤホン本体の形状はよくあるフルワイヤレスイヤホンといった感じだ。比較用に愛用のソニー・WF-1000XM3と並べて撮影してみたが、Liberty 2は大きさや形状はかなり似ている。Air 2はいわゆる「AirPods型」で、ノズル状に伸びた部分はAirPodsとは同じくらいだろうか。AirPods Proに見慣れていると長く感じるかもしれない。

 また、イヤホン自体の操作方法だが、Library 2は上面に備わったボタン押下、Air 2は側面のロゴマーク位置をタップすることで再生や停止、曲送りなどが行える。これらの操作は専用のアプリをスマートフォンにインストールすることで変更でき、音量調整を割り当てるといったことも可能だ。

専用アプリで各種設定が行える

 上にも書いた通り、Liberty 2、Air2のボタン操作の割り当て変更などは専用のアプリから行える。Android、iOS、両OS向けにアプリは用意されているためスマートフォンで利用するのであれば必ず入れておくべきだ。

 アプリ内では、ボタン操作の割当の変更以外にイコライザで音質の変更が行える。音楽再生アプリであればその中でイコライザを利用することもできるが、動画再生アプリなど「もう少し低音が欲しい」といった場面では、設定アプリのイコライザで調整するとより好みの音で視聴することができるのも嬉しい機能のひとつだ。

個人の聴覚感度に応じたイコライザー設定が行える「HearID」機能

 また「HearID」という機能にも注目だ。人によって音の聞こえ方は異なり、単純に「耳の良さ」だけではなく、イヤホンの装着位置と耳の穴から鼓膜までの形には差があるため、聞こえやすさは個人差が結構あるのだ。

 設定アプリでは、言うなれば「聴力検査」のように複数の周波数の音の聞こえる・聞こえないを確認し、イヤホンの音を最適化できる。設定時の注意点としては、周りが静かな場所で行わなければならないため、ぜひ自宅でテレビなどを消した状態で設定をしてみて欲しい。

 さて、肝心の音についてだが、1万円以下で購入できるフルワイヤレスイヤホンとしては十分に音がいいといえる。価格帯からして「フルワイヤレスイヤホンが気になる人が、ちょっと奮発して購入する」ことを想定しているため、比較対象として有線のハイエンドイヤホンやハイレゾ再生をうたう製品と比較するのは酷だろう。

 どちらかといえば「5千円から1万円しない程度の有線、または左右がつながったワイヤレスイヤホン」と比較して「フルワイヤレスだから音が悪くなるのでは」と考えてしまう人に対し、それらのイヤホンと遜色ない音で鳴るので安心して欲しいというのが正しい。

 Liberty 2、Air2、どちらも対応コーデックはSBCとAAC、さらにaptXまで対応している。aptXに対応するスマートフォンは年々増えており、ユーザーが激増しているストリーミングサービスでも年々高音質なサービスも増えているため、それらを視聴する限りであれば十分に満足できる音質だ。

 楽曲によってはもう少し高音の抜けが欲しいとか、低音が丸くなりすぎているような印象になることもあるが、それは先に書いたようにイコライザの設定で調整できる。

 また、Liberty 2、Air2のどちらかを選ぶべきか、価格差は実売で2000円ほどしかないため悩ましい。両製品を一度に試した結果として、音質重視ならLiberty 2を、少しでも小さく持ち運びやすさを重視するならAir 2を選ぶべきとオススメしたい。

製品名販売元実売価格(ヨドバシカメラ)
SoundCore Liberty 2Anker9990円
SoundCore Liberty Air 2Anker7710円