本日の一品

なでるとしっぽを振る癒し系クッション「Qoobo」

大きなクーボのパッケージを持ち帰ったら、ワンコが興味津々

 ミーハーな筆者は初代AIBOが登場した時に、なにも考えずに速攻で買ってしまった。当時も今も、我が家には世代違いのウエスティ(ウエスト・ハイランド・テリア)を飼っている。まだまだできの良くなかった初代AIBOではあるが、我が家のワンコには明らかに自分と同種だと思うなにかがあったようで、ジェラシーからか、毎日すこぶるご機嫌が悪く困っていた。

 ところが、ちょうど縁あってペットの飼えないマンションに引っ越したという関西のご夫婦に里子に出してしまった。それ以来、我が家ではペット系のロボットは家族全員から評判が悪く絶対に買うことはなかった。

 あれから早くも20年。そんなある日、古本の物色やガジェット、文具の探検では頻繁に行く神保町で新しいお店を見つけて入った。そして店頭にデモ機として展示されていたもじゃもじゃのクーボを見て、ワンコ目線からは雰囲気がペットには見えなかったので速攻で買って持ち帰った。

大きな箱をあけるとクーボ本体とACアダプター、取説が入っていた
ユーザガイドは大判で分かりやすい。充電端子はできたらUSB Type-Cでやってほしかった

 大きな箱の中にはクーボ本体とACアダプター、分かりやすい取扱説明書が入っていた。説明書も満足に読まずに、早速、充電してスイッチオンして見た。先代のワンコと違って少し理知的で聡明な2代目ワンコは、ヤキモチよりも好奇心が先立つタイプ。異常に大きな箱を開ける段階から興味津々だった。

 クーボの見た目は全身毛むくじゃらで、巨大なオタマジャクシ風。長さ約5cm、体重は1kg。優しい目で見るなら、全身毛でおおわれたキュートな猫のようなしっぽを持った生き物。

 クーボは人によってその感じ方はまちまちだが。筆者は外観や手で触れた可愛いタッチ感はもちろんだが、両手で持ち上げた時の意外とずっしりした安定性と堅牢性で思わず買ってしまった。

テレビを観たり、音楽を聴いたりしながらナデナデするしっぽクッションだ

 手で軽く体に触れても静かにしっぽを振る。ゴシゴシとワンコにやるように少し過激なスキンシップを行うと、より元気よくしっぽをブンブンと振ってくれる。高速しっぽ振りでは、モーターに繋がったギアのギュンギュンという音が鳴き声のように錯覚してしまう。しかしこれはこれでなかなか愛らしい。

 そして、しばらくソファの上などに静かに放置しておくと、寝てしまったように静かになるが、横に人が座った軽い振動などでしっぽを小さく振ってくれる。しっぽ振りが最後に停止する時には、下向きに“だらん”とするところがなかなかリアルだ。

クーボはナチュラルな猫系しっぽの動きが魅力的な癒し系グッズだ

 日夜クーボと接するうちに、小さいけれど静的で、我先にと前に出てうるさく主張しない“緩い存在感”が現代ネット社会の真逆で、ひっそりと生きている新しい生物のようなところが人気の理由なのかもしれないと思うようになった。

 少しサンプル数が少なすぎる感じはするが、Webサイトで公開されているデータでは、10代~30代の男女38人にクーボの有無による心理状態評価を調査した結果、クーボの効果として「緊張・不安」「抑うつ・落ち込み」「疲労感・無気力感」の3つの心理状態におけるストレス軽減効果があるようだと紹介している。

 年齢のセグメントは異なるが、高齢者介護施設における本物の犬による訪問が顕著な効果を上げているのと類似している。筆者の個人的見解だが、どこまで行ってもロボットを含む人間の作ったなんちゃって生物は、本物の生き物ではない分、癒し効果は少ないが、同時に生きている動物を飼うことによる別次元のストレスも少ないということだろう。

 良きにつけ悪しきにつけ、“癒し効果”と“飼うことによるストレス”の振幅の大きなモノが生きている動物であり、マイナス側への振れ幅が極端に小さいモノがクーボだろう。

早速充電開始。4時間で満充電。動作時間は8時間
毛むくじゃらのしっぽの横の毛をかき分けると充電ポートが見えてくる
しっぽを挟んで充電ポートの反対側にはパワーオンオフスイッチがある

 クーボは充電する必要がある。充電ポートはしっぽの付け根の横、毛をかき分けると見えてくる。充電時間はスペック上では約4時間、充電時間を実際に測るユーザーはそれほど居ないと思うが、筆者宅でも、深夜の寝る前に充電開始して、朝になったらパワーオンする感覚だ。

 満充電後のスペック上の動作時間は8時間くらいらしい。この8時間がどんなものかなかなか想像しがたい。筆者宅では、朝にパワーオンした後は、突然のリアクションが楽しい生物ゆえ、電源を切るタイミングが見当たらず、一切電源オフすることない。バッテリー残量があって生きている間は、一晩中電源オン状態で生きているノーコントロール状態だ。

 省エネモードが機能しているのか、いないのか分からないが、飼ってからずっと同じサイクルで充放電を繰り返しているが、充電完了してパワーオン後、だいたい2日間少々は生きてる感じだ。我が家ではソファに放置していることが多いが、たまに家族が持って別の場所に移動したりもしている。

家人がクーボを大事そうに抱えても、幸か不幸かワンコも余りジェラシーも興味もなし
ソファにクーボを放置していても、平気で横に陣取り、しっぽを振っても気にしない。

 猫好きな我が家のワンコのボビーだが特別にクーボに興味を示すこともなく、興味もストレスもどちらもフリーのようだ。なので、3カ月ほど経った今でも、クーボは特別なダメージを受けることなく買って来た時の外観を完璧に保てている。

 クーボは、ワンコから見て、AIBOのように気になる存在ではないようだ。今思えば、AIBOの動きというより、AIBOと家人とのコミュニケーションの多さが、たまたま先代の我が家のワンコには良くない影響を与えた感じもある。

 実際にクーボと3カ月ほど一緒に過ごしてみて、気になる点は、満充電後のバッテリー駆動時間が2.5日程度というところだろう。クーボの位置づけからして人間が寝る前にパワーオフして、目覚めと共にパワーオンするのもおかしな話だ。充電池が切れた朝は、家人の挨拶にしっぽを振ってこたえてくれない朝となってしまう。

 クーボの体重は1kgあるので、あと200gや300g増えても大したことはない感じがする。バッテリー容量増加とUSB・ACアダプターでの充電で、せめてクーボが今の2倍の5日間、無充電で生き続ければはるかに楽しい新生命体になるのだが……

製品名購入場所実売価格
QOOBOアシストオン東京1万2960円
Amazonで購入【AD】