本日の一品

イヤホンジャックなしのスマートフォンでも高音質再生を

文字印刷などが省略された極めてシンプルなデザイン。表示は状態を示す円状のランプのみ。上部にストラップ穴、下部にUSBジャックが配置されている

 筆者は、外出時に音楽を楽しむことが多い。音楽鑑賞だけであれば、音楽プレーヤーを利用すればいいのだが、スマートフォンに加えて音楽プレーヤーも持ち歩くのは避けたいと感じている。ただ、最近のスマートフォンにはイヤホンジャックが装備されないことも多く、せっかく気に入ったイヤホンがあってもそのままでは利用できないのが悩みだ。

 もちろん、Bluetooh対応のヘッドホンやイヤホンも発売されているが、自分の好みの音質でなかったり、バッテリーの持ちが良くなったり、なかなか好みの製品に出会えていない状況だったりする。

 そこで試してみたのが、Bluetoothレシーバー。イヤホンをBluetoothレシーバーに繋ぎ、Bluetoothを利用してスマートフォンと接続し、音声を再生する機器だ。気になった製品をいくつか購入し試してみて、最も気に入ったのが「RADSONE Earstudio ES100」(以下ES100)だ。

 ES100の特徴としては、デュアルDACで2.5mmの4極バランス接続が可能、SBC/AAC/aptX/aptX HD/LDACといった多くのコーデックに対応しているところだ。加えて、ファームウェアの更新が多く、不具合対応だけではなく機能が追加される点にも注目している。例えば、これまでのファームウェアの更新で、対応コーデックが増えたり、Bluetooth 5.0に対応してきている。細かな製品仕様などは製品サイトを確認してもらいたい。

右側面に2.5mmバランス接続ジャックと再生、曲送りのスイッチが配置されている
左側面に一般的な3.5mmステレオジャックとボリュームのスイッチ、マイクが配置されている
裏面には金属製の大きなクリップ。蝶番部分の強度も問題なさそうだ

 外観については、デザインは文字表示が一切なく、とてもシンプルだ。すっきりしすぎて物足りないと感じるかもしれない。本体の前面に、状態によって色が変化する円のランプが表示される程度の最低限の装飾になっている。個人的にはすっきりとしたデザインで配色も落ち着いていて気に入っている。

 肝心の音についても、とても気に入っている。手持ちのいろいろなイヤホンで試してみたが、一般的な3.5mmイヤホンジャックに繋いだときも、イヤホン自体の音質を損なうことはない。2.5mmイヤホンジャックでは、バランス接続特有の高音質で楽しむことができた。驚いたのが、ホワイトノイズの少なさだ。電波を使う機器なので、多少なりともホワイトノイズがあってもしょうがないという先入観があったのだが、一般的なイヤホンではホワイトノイズを確認できないレベルまで低くおさえられている。多少、ホワイトノイズがあっても音が流れてくると、意識しなくなるのは理解しているものの、無音時にノイズが聞こえてこない状態というのは、とても気持ちがいいものだ。

 もちろん、Bluetooth接続があるが故、電波や機器の状況で音のザラツキや音質の低下を感じることもなくはないが、他の機器に比べると大きな問題とは感じられない。利用時の接続についても、人口密度がとても高い場所での利用は多くはないが、Bluetooth接続が切れるといった不具合に遭遇したこともない。また、この手の機器で問題になるバッテリーも持ちに関しても、10時間以上再生できるため、筆者の使い方では不満を感じたことは一度もない。

 歩行中にイヤホンを装着していると、自分の周りの環境音が遮断され危険な状況になりかねない。ES100では内蔵マイクで拾った音を再生音にのせて出力することもできるので、周辺の音が聞け、危険を避けることもできる。どの程度、外の音を混ぜるかなどのコントロールも後述の専用アプリで細かく設定することができる。

 筆者はあまり利用していないが、USB DACとしての使い方もできるので、PCとUSB接続して、高音質で楽曲を楽しむといった使い方も可能だ。

 海外製品では希にマニュアルや専用アプリが日本語対応でなかったりするが、ES100はしっかり日本語化されている。

 あえて気になる点を上げるとすると、本体の軽量でプラスチックな質感と本体自体が小型でスイッチが小さく操作しにくいところだ。ただ、プラスチック製の筐体のため、約20gという軽量が実現されているのは大きなメリットだ。これは単3のアルカリ乾電池1本よりも軽いといえば、その軽量さを理解してもらえるだろうか。とはいえ、著しく高級感が損なわれているわけでもなく、なかなかの仕上がりになっている。梨地になっている部分が多いので、使い続けるとテカりがでてくる可能性はあるだろう。

 本体スイッチの操作がしにくい点についても、それほど困っていない。iOSやAndroid対応専用アプリを使うことで本体を直接操作する必要がないのだ。直接操作しなくても、専用アプリを使うことで、音量やイコライザー、バッテリーといった基本的な状態以外にもDAC設定などが細かくコントロール可能だ。

専用アプリの画面。バッテリーの残容量や入出力のボリューム調整ができる
細かいイコライザー設定が可能
搭載されているDACチップの設定ができる
内蔵マイクで拾った音をイヤホン出力にのせることができる
最大2台の機器とペアリングが可能。日本語化されている
ファームウェアの履歴。今後も動作改善や機能追加が期待できる

 筆者の場合、外出時に音楽を聴く可能性があるときはES100が手放せなくなっている。特に、気分や聴く楽曲に合わせて、イヤホンを選んだりする筆者にとって、お気に入りのイヤホンがそのまま利用できるのがとてもありがたい。また、小型軽量の機器でバランス接続が選択できるのはES100しかなく、そこも気に入ってる点だ。

 イヤホンを繋いだES100をポケットに入れておけば、あとはスマートフォンだけの操作で音楽を楽しめる。Bluetooth対応イヤホンやヘッドホンの場合、イヤホンやヘッドホン自体にタッチ操作することが多くなるが、ES100の場合は、スマートフォンの画面の中で操作が完結できるところが便利だと感じている。音質も気に入っており、筆者の環境では、これといって欠点が見つからない優等生的なデバイスである。Bluetoothを利用した再生環境で、音質にこだわりをもって検討しているのあれば、一度検討してみても良いのではないだろうか。

製品名発売元実売価格
RADSONE Earstudio ES100RADSONE1万4980円
Amazonで購入【AD】