本日の一品

microUSBプラグにLightningが合体、“第3世代”のスマホマルチケーブル

世界は狭いようで広い。こんな裏技を思いつく人がいることは素晴らしい

 幸か不幸か世の中には常に拮抗あるいは相反する2つのモノが存在し、その競争から進化が早まり、値段も下がり、ユーザーの選択の自由度が増していく。しかし、異なった2つのモノが並立していることで、面倒な事態になることも多い。

 テクノロジー的にどっちが優れているとか劣っているといった論評は、メーカーの広報部やメディア、マニアに任せるとして、いちユーザーとしては、双方が同時に便利に使えるか、将来的にはどちらか1つにまとまるのが望ましい姿だろう。

 そんな競争の真っただ中にあるのが、スマートフォンの充電・データ転送ケーブルだ。AndroidスマホとiPhone、いずれか一方しか使っていない人には全く無縁のお話だが、筆者のように常に双方を使っている“両刀使い”には、大同小異のアプリと同じように日常頻繁に使わざるを得ないケーブルも面倒な存在だ。

機能や使い勝手を知りたくて“第3世代マルチケーブル”を同時に3本買った

 今回、明確な名前が存在しないので、筆者が勝手に命名した“第3世代マルチケーブル”は、AndroidスマホとiPhoneの両方に使用することができる画期的なモノだ。基本的にパッと見ただけのプラグの形状はiPhone用のLightningプラグのようにも見える。

 “第3世代マルチケーブル”をご紹介する前に、そこに辿り着くまでに、両刀使いが歩んできた第1世代、第ニ世代のマルチケーブルも少し振り返って紹介してみたい。“有史以前”の真面目な両刀使いの持ち物は、AndroidスマホとiPhoneのそれぞれに付属している純正の2本のケーブルだったはずだ。

筆者命名の第1世代マルチケーブル。ダサいかどうかは個人差

 そして、少し頭の回転が加速しだした頃に登場してきたのが、先っぽのプラグだけ継ぎ足してAndroid系のmicroUSBプラグをLightning形状に変換できる第1世代の“マルチケーブル”だった。これはアップルが欧州から発売したLightning-microUSBアダプターから広まった。

 実力はそれなりで、継ぎ足す部分のデザインの収まりさえ上手くまとめれば、目立ち度も高く話題性も高いが、だいたいの製品において先っぽの紛失防止のための仕組みがかなりダサいのが残念なところだ。

ケルベロス型の第2世代マルチケーブル(筆者命名)。他人の目が気になる人も居そう

 そして、いつの間にかコネクター形状の終着点はUSB Type-Cとの話がどこかで決まり、それに向けて各社のAndroidスマホの中には先取りでUSB Type-Cを採用したモノも登場した。

 当然、iPhone 7 PlusとGalaxy S7 Edge、HUAWEI P9を所有している筆者のようなユーザーは、出番は少なくても3つの頭を持つケルベロスのような“第2世代”のマルチケーブルを使うハメになる。

 粉飾系の第1世代を遥かに凌ぐその変態的スタイルは目立ち度も半端ではないが、持ち主の感性も多少疑われる危険性の高いアイテムであることも無視できない事実だろう。

 そして遂に今回ご紹介する一品である第3世代のマルチケーブルの登場だ。しかし、この第3世代マルチケーブルは、何とか第2世代で持ち込んだUSB Type-Cプラグの役目を早々と放棄している。あえて言うなれば現状維持を最大の目的に置き、いつ実現するか誰も分からない未来を切り捨てた潔いアイテムなのだ。

金属メッシュカバーの第3世代マルチケーブル、筆者のお気に入りだ

 何ごとにも凝り性で複数のアイテムを自分で買って確かめるまでは納得できない筆者は、ネット通販で第3世代のケーブル素材の異なる商品を3種類同時に買ってみた。一つは豪華な金属メッシュイメージのケーブル。もう一つはケーブル厚が薄くて極めて柔軟性の高いラバー製ケーブル。そして最後は、ハードなブラックナイロンで覆われ、針金のように形状を記憶するケーブル。

 いずれもLightningプラグ形状でありながら、ひとつのプラグでAndroid系のmicroUSBジャックにもiPhone系のLightningジャックにも対応できる両用タイプのプラグを備えている。

プラグの先は皆同じ穴空きLightningスタイル

 第3世代プラグの先端をよく見てみると、パッと見はLightningプラグのような形状だが、中央に薄い方形の切り込み溝が開いている。実際にAndroid系のスマホのジャック部分を拡大して見てみると分かるが、Android系のmicroUSBジャックの中には小さな薄い突起があることが分かる。

穴空きLightningプラグの拡大写真。プラグ面は2枚の貼り合わせに見える
AndroidスマホのmicroUSBポートの中央に薄い突起が見える

 第3世代プラグの先端の薄い方形の溝は、この突起をくわえ込む形で接続するようだ。1本のケーブルでAndroidスマホとiPhoneの両方にできるのはきわめてありがたいが、実はマイナス点もある。

 そのマイナス点とはiPhoneとの接続において、本来のLightningプラグは、表裏のどちらでも自由に挿入できるが、この第3世代プラグは、プラグ先端の片面にしかLightning用の回路が存在しないために接続方向が制限される。

 それゆえ、親切なメーカーの第3世代製品にはデバイス側のプラグ先端部分に「IOS」や「Android」と記されている。別に表示文字を読まなくても、iPhoneに挿入するときは、プラグ面に回路のない面を上に挿入すれば良いだけだが、従来、iPhoneしか使ったことのないユーザには多少おっくうかもしれない。

親切なメーカーの第3世代マルチケーブルにはプラグ部分に「IOS」や「Android」と記されている。
Androidスマホに充電する場合は、プラグ上の回路が見えているこの向きで

 市場にある全てのスマートフォンのジャックがUSB Type-Cになるのは一体いつのことか想像もつかないが、ひとまず筆者はこのケーブルで70%は満足している。

現在筆者はiPhone 7 PlusとGalaxy s7 Edgeの2台を第3世代マルチケーブルで使っている。しかし、同時に充電したいときはこのケーブルは非力だ

【編集部注】
 本稿で紹介されている製品がアップルによる「MFi認証」を取得しているかどうかは不明。おそらく取得していないものと思われる。

製品名購入先購入価格
Lightning&microUSBケーブルオンラインショップ700円~1500円程度