スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」
騒音カットなヘッドホン×3種
(2014/2/17 06:00)
騒音カットなヘッドホン×3種
今回のネタはノイズキャンセリング関連製品。キングジムの「デジタル耳せん MM1000」、ソニーの「ワイヤレスノイズキャンセリングステレオヘッドセット MDR-EX31BN」、同じくソニーの「ワイヤレスノイズキャンセリングステレオヘッドセット MDR-ZX750BN」の3製品について。
どれもノイズキャンセリング機能を備えた製品ですな。周囲の騒音を測定しつつその騒音の逆位相の音を出すことで、騒音を打ち消してしまういうものだ。
それぞれの機種を簡単に説明すると、キングジムの「デジタル耳せん MM1000」は「ノイズキャンセリングのみに対応」した製品。騒音カットだけできて、音楽聴取などはできない。
ソニーの2製品はノイズキャンセリングしつつ音楽聴取や通話などができるヘッドセット。ノイズキャンセリングのみ機能させることもでき、逆にノイズキャンセリングをオフにしての音楽聴取や通話もできる。また、これら2製品は無線式で、スマートフォンや音楽プレイヤーとはBluetooth接続となる。Bluetoothの音声コーデックとして、SBCに加えてAACやaptXに対応しているところも特徴的だ。
でまあ、これら3製品をしばらく使ってみましたヨ、と。以降、その機能や使用感などを書いてみたい。
お手軽簡単&低価格が嬉しい「デジタル耳せん MM1000」
まずはキングジムの「デジタル耳せん MM1000」(以下、MM1000)。MM1000で「ミミセン」なんですな。オチャメなネーミングと言えよう。
前述のとおり、MM1000は2014年3月7日発売予定ということで、メーカーから実機を借りて試用した。ちなみに現在の実勢予約価格は4500円前後となっているようだ。
MM1000はヒッジョーにシンプルな製品で、機能としては周辺の騒音のカットのみを行える。使い方もシンプルで、本体から伸びるイヤホンを耳に装着し、電源をオンにするだけ。電源は単4形アルカリ乾電池または単4形エネループ×1本。電池寿命は、アルカリ乾電池使用時は約100時間、エネループ使用時は約60時間となっている。
ノイズキャンセリング効果だが、イヤホンを耳に装着して電源をオンにすると、ほとんどのケースで即座に「あっ騒音が減った」と感じられる。主に低音の騒音がカットされ、耳にかかっていたストレスがフッと抜ける感じだ。
とくに「快適♪」と感じられるのは、電車やバスなど乗り物で移動中での使用時。乗り物が発する低音の騒音がかなりシッカリとカットされる。MM1000の電源をオンにするとすぐリラックスできるという感覚ですな。電車やバスなどについて「こんなにウルサかったんだなあ」と改めて思ったりする。
さほど騒音が多くないと感じられていたような場所でもシッカリと効果を発揮する。たとえば道ばたや駅や建物内部。ある程度人が往来したり居たりする場所にはソレナリの騒音があるものだが、その多くかカットされる。「まあまあ静か」と感じられていたような場所でも、「なんか美術館みたいに静か」という印象に変わる。
ただ、ある程度高い音はカットされない。ので、騒音が完全にカットされるわけではない。低音の騒音がスッと無くなる感じで、ほかの音域の騒音は少し弱まる程度だ。逆に、アナウンスや人が話しかける声あたりは聞こえるので、MM1000を使っているからと言ってナニカを聞き逃すような不利はなさそうだ。
低音周辺の騒音はカットされつつ人の話などは聞き取れるMM1000だが、ほぼ完全に静寂になるケースもある。たとえば空気清浄機やエアコンなどの一定で低めの騒音。そういう騒音だけの環境でMM1000を使うと、ほぼ騒音を感じず、ほとんど静寂な状態になったような感じになる。
それから、ほかのノイズキャンセリングヘッドホン類と比較すると、周辺の騒音が多い場所では、相対的に「耳に音圧を感じがち」という傾向があるように思えた。たとえば後述のソニー「ワイヤレスノイズキャンセリングステレオヘッドセット MDR-EX31BN」と比べると、MM1000のほうが鼓膜に加わる圧力が少し大きいような印象になった。
ただ、これは特定の環境で聴き比べたから得られた印象。MM1000だけ使っていたら恐らく気にならないっていうか気づかない「小さなクセ」だと思われる。
てな感じのMM1000。メーカー本体価格は4980円で、前述のとおり実勢予約価格4500円前後となっている。5000円くらいからノイズキャンセリング機能付きヘッドホンが買えたりすることを考えると、単機能製品としては微妙に高いような感じはする。が、電源オンオフだけで使えるシンプルな操作感、それと十分なノイズキャンセリング性能を考えると、「とりあえず騒音カットしたい~」と思う人にとって非常に手を出しやすい製品だと思う。
3機種中いちばん効果アリのMDR-EX31BN
次にソニーの「ワイヤレスノイズキャンセリングステレオヘッドセット MDR-EX31BN」(以下、MDR-EX31BN)。音楽聴取やハンズフリー通話に対応しているBluetoothヘッドセットですな。音声コーデックとして高圧縮/低音質のSBC以外に、低圧縮/高音質のAACやaptXにも対応している。ノイズキャンセリングで周囲のノイズをカットしつつ、より高音質で音楽を聞く、てなことができるヘッドセットなんですな。
ノイズキャンセリング効果だが、今回試した3機種のなかでは最も効果が大きいと感じられた。イヤホンがカナル型であることに加え、ノイズキャンセリング機能自体がかなり強力だという印象がある。
多くの環境で「お~!!」と喜べるノイズキャンセリング性能を発揮してくれるMDR-EX31BNだが、やはり電車やバスや街中での騒音カット効果が顕著。低音を中心に騒音がカットされるが、ノイズキャンセリング製品にアリガチな「騒音は確かに減ったけど何か音がこもったような気にもなる」という違和感が非常に少ない。周囲の騒音が本当に止んだかのような自然な騒音カット効果をもたらしてくれる。
とは言っても、アナウンス等の声は聞こえるし、声をかけられたのもわかる。けれど、さっきまであった騒音───雑踏やザワつき、クルマの往来の音やモーターやファンの動作音などの大半が消えている。周囲が一瞬にして静止したかのような騒音カット効果だと感じられる。不思議であり凄いなあと思う。
ちなみに、MDR-EX31BNは「AIノイズキャンセリング機能」が搭載されている。これはボタン一押しで周囲の騒音を分析し、3つのノイズキャンセリングモードから自動的にひとつを選択してくれるというもの。わりと静かめのオフィスや商業施設内で試してみたら、確かに効果があり、より静音性が高まったように感じた。「もうちょっと騒音カットして欲しいな」と思うときに使うと良いようだ。が、「うーん、いまいち効果がナイなあ」と思うことも少々ある。
なお、MDR-EX31BNはスマートフォンなどとBluetooth接続していない場合、電源が自動的にオフになってしまうようだ。なので、MDR-EX31BN単体で(機器とBluetooth接続せず)ノイズキャンセリング機能のみを使うことはできないことになる。非常に強力なノイズキャンセリング性能を持っているので、単体でのノイズキャンセリング機能利用も可能にしてほしいところですな。
あと、MDR-EX31BNのイヤホンは脱着式。なので、付属のイヤホン以外も接続して使える。が、この場合、ノイズキャンセリング機能は働いてくれないようだ。手持ちのイヤホンやイヤホンマイクでいくつか試したが、ノイズキャンセリングは機能しなかった。
この点、「自前で用意したヘッドホンがノイズキャンセリング対応になる」と思い込んでいたので、ちょいと残念。まあ、付属イヤホンの内蔵マイクによりノイズキャンセリング機能を実現しているので、しょうがないコトなのかも。
MDR-EX31BNのヘッドホンとしての音質は、低音豊かめで、ほんの少しドンシャリ系(低音と高音が強調された音質)と言う感じだろうか。音質に関してはぜひ試聴してみてほしいが、ノイズキャンセリング機能が使えると、ヘッドホンで音楽を聴く楽しみが増えますな。周囲の騒音が減るので、よりクリアな音で音楽を楽しめる。音楽を堪能すべく周囲の騒音に負けじと音量をヤケに大きくする必要もない。小音量と大音量が交錯するような曲を聴くととくに、ノイズキャンセリングの有り難さを痛感する。ノイズキャンセリングオン時でも最大約9時間使用可能というタフさもイイっすね♪
イイ音だけと効果薄め!? のMDR-ZX750BN
最後にソニーの「ワイヤレスノイズキャンセリングステレオヘッドセット MDR-ZX750BN」。これも音楽聴取やハンズフリー通話に対応するBluetoothヘッドセットで、SBC/AAC/aptXといった音声コーデックに対応しているあたりも、前出のMDR-EX31BNと同様。密閉型であったり、付属コードにより有線接続のヘッドホンとして使えるところがMDR-ZX750BN独自の特徴となる。
ノイズキャンセリング効果だが、試してみてちょっと拍子抜け。というのは、今回使った3機種中で最も騒音カット効果が小さいと感じられたからだ。恐らく、ノイズキャンセリングの効き自体は十分あるのだろうと思うが、ヘッドホンのタイプが密閉型で、カナル型である前出2機種よりもそもそも外部の騒音が聞こえやすいためだと思われる。
ので、たとえば電車やバスの移動時の騒音をカットしたい場合、前出2機種のほーが効果的。MDR-ZX750BNでも大きめの騒音をカットする効果は感じられるのだが、前出2機種と比較すると「MDR-ZX750BNだとイヤーパッドから騒音が少し入ってくるな~」みたいな印象になる。
ただ、それほど大きな騒音がない場所でなら、十分高い騒音カット効果を感じられる。空調の音が耳障りだとか、フロアのざわざわ音が気になるという場合、MDR-ZX750BNで十分にそれら騒音をカットできると思う。
ちなみに、前出のMDR-EX31BNにあった「Bluetooth接続していないと電源が自動でオフになる」という件は、このMDR-ZX750BNでも同じ。だが、MDR-ZX750BNに付属ケーブルをつないでいれば、自動で電源がオフになることはないようだ。ケーブルはMDR-ZX750BNにつなぐだけでよく、スマートフォンや音楽プレイヤーにつながなくても、自動電源オフを避けられるっぽい。ので、ケーブルをつなぐ必要はあるものの、MDR-ZX750BNなら単体でノイズキャンセリング専用ヘッドホンとしても使えることになる。
あとこのMDR-ZX750BN、ヘッドホンの音質としては低音が豊富でありかつバランスも良いと感じられる。実際の音質はぜひ試聴していただきたいが、けっこーイイ音のヘッドホン。また、質量約230gと軽量で、装着感もソフト&ライト。騒音をある程度カットしつつ、良い音で気楽に音楽を楽しむにおいて、非常に快適に使えると感じた。
それから電池持続時間。Bluetooth接続&ノイズキャンセリング使用で最大約13時間使える。AACやapt-Xにも対応というところまで含めると、外国勢のBluetoothヘッドホンと(スペック的には)十二分に張り合えてますな。実勢価格も1万3000円前後と手頃なので、ノイズキャンセリング機能も、各種音声コーデックも音質も、バッテリー持続時間もとイロイロ欲しがるユーザーを満足させる1台かもしれない。
てな感じで使ってみた3機種のノイズキャンセリング製品。ノイズキャンセリング機能があるだけで、電車やバスや飛行機あるいはクルマの非運転席での移動が、かな~りラクになりますよ~♪ 今回使った3機種、どれもなかなかの実力派なので、ぜひ一度実機に触れ、そのノイズキャンセリング効果など使用感を確かめてみてほしい。