スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」
Android/iOS/PCに対応した「Wi-Fiメモプリ」
(2013/5/20 06:00)
Android/iOS/PCに対応した「Wi-Fiメモプリ」
今回のブツはカシオのラベルライター「メモプリ(memopri)」シリーズの最新機種「MEP-F10」。メモプリのWi-Fi対応版で、「メモプリシリーズ中で最も汎用性が高いかも」と思って購入。ネット通販で6400円くらいだった。
メモプリは、紙製の専用ラベルにプリントできるラベルライターだ。ラベル裏面は全面のりで、のりは貼って剥がせる弱粘着。付箋感覚でラベルを利用できるというコンセプトの製品ですな。
メモプリの従来機種については本連載バックナンバー「Androidとつながるラベルライター登場! カシオ「メモプリ」」で書いているが、従来は3機種あった。従来機3機種はそれぞれ、USB接続モデルの「MEP-U10」、Bluetooth/USB接続モデルの「MEP-B10」、タッチパネル入力/USB接続モデルの「MEP-T10」となる。
これまでは、全機種がWindows PCとのUSB接続に対応していた。ほか、タッチパネルで直接手書きしてプリントできる機種や、Android端末とBluetooth接続してプリントできる機種があったというわけだ。
そこにWi-Fi/USB接続モデルの最新機種「MEP-F10」が加わった。この機種はWindows PCとのUSB接続に加え、Android端末/iOS端末/Windows PCとWi-Fi接続して利用できる。メモプリシリーズ中、最も幅広い環境で使える機種というコトですな。てなわけで以降、メモプリ最新機種「MEP-F10」の機能や使用感についてレポートしてみたい。
MEP-F10はこんな感じのラベルライター
まずはMEP-F10の主な仕様から。サイズは幅6.1×奥行き11.8×高さ6.8cmで、質量は約240g。本体に入力機構を持たないので、ラベルライターとしては非常にコンパクトだ。電源は付属ACアダプタ。別売の専用モバイル電源「PSM-10」を使えば、単三形アルカリ電池もしくは単三形のeneloop/充電式EVOLTA×8本を電源とすることができる。
使用できる紙製の専用ラベルは、幅違いで9mm/12mm/18mmの3タイプあり、それぞれに5色+8柄が用意されている。ラベルは手でちぎれて、裏面は全面に弱めの粘着力ののりが付いている。付箋的な用途によく向く。
そんなラベルに印字密度200dpiで印刷できる。印字品位は悪くないが、小さい文字などは細部がかすれることがある。印字は熱転写方式なので、印字色は基本的に黒。印字速度は「ラベルライターとしては普通で平凡な速度」というイメージだ。
接続インターフェースはUSBとWi-Fi(IEEE802.11b/g)で、Windows PCとはUSB/Wi-Fi接続で使える。また、AndroidやiOSのアプリが無料で提供されており、これらを使えばMEP-F10とAndroid/iOS端末をWi-Fi接続して使える。詳しくは後述するが、Wi-Fi接続は、MEP-F10をアクセスポイントとして接続して使う方法と、MEP-F10を既存のWi-Fiルータやアクセスポイントにつなげてネットワークプリンタとして使う方法がある。
で、俺が感じた残念な点から言っちゃえば、今回もやはり基本的にはACアダプタで使う製品であるということ。まあ常時携帯するにはちょっと大きめではあるが、内蔵バッテリーで駆動すれば、モバイルできるラベルライターとして愉快なのになぁ、とか思うわけだ。
とは言っても、写真の別売モバイル電源「PSM-10」を使えば、モバイルでの利用もできる。ただ、サイズ的に「けっこー嵩張るから……ラベルライターなんか持ってかなくてもいいや」てなコトに。
まあ、プリンタやラベルライターを持ち歩きたいって人のほーがきっと少ないんでしょうな。そういうニッチのために電源内蔵したりしていって価格が上がっちゃうと、結局あまり売れなくなっちゃうのであろー。でもモバイルプリンタはまだオモシロさも実用性も期待できるジャンル。ユーザーとしては、メモプリのそちら方面への発展も期待したい。
Wi-Fi接続パターンは2つ
MEP-F10は、Windows PCやAndroid端末やiOS端末とWi-Fi接続して使える。Wi-Fi接続のパターンは2つあり、MEP-F10と端末を直接接続する「アクセスポイントモード」と、Wi-Fiルータなどを介してMEP-F10と端末を接続する「クライアントモード」がある。これらモードは本体背面のスイッチで切り替えられる。
たとえば、既に無線LAN環境があるなら、MEP-F10をクライアントモードとして使う。その無線LANにMEP-F10を無線すれば、MEP-F10をネットワークプリンタとして使えるようになる。各端末がその無線LANにつながっていて専用プリントアプリがインストールされていれば、MEP-F10からプリントできるというわけですな。
無線LAN環境がないという場合、アクセスポイントモードを使う。MEP-F10は、初期設定では接続パスワードなどを必要としないフリーのWi-Fiアクセスポイントになっているので、そこへ端末をWi-Fi接続すれば、MEP-F10からプリントできる。もちろん、端末には専用プリントアプリがインストールされている必要がある。
ちなみに、MEP-F10のWi-Fi接続設定方法もいくつかある。MEP-F10をクライアントモードにして使いたい場合、Wi-Fi設定がいちばんわかりやすいのは、MEP-F10とPCをUSB接続して「PCメモプリユーティリティー MEP-PC10」を使う方法だと思う。
AndroidやiOSの端末から専用プリントアプリを使ってMEP-F10のクライアントモードでのWi-Fi接続設定を行うこともできる。アクセスポイントモードを使って設定してクライアントモードに切り替えるといった手間がかかるが、PCがなくてもMEP-F10をセットアップできる。
てな感じでMEP-F10のWi-Fi接続設定を行うわけですな。クライアントモードで使う場合のみ、ちょっとだけ設定面のハードルが高いかもしれない。アクセスポイントモードで使う場合は、端末のWi-Fi設定からMEP-F10を見つけて選ぶだけで使えるようになる。
ほか、MEP-F10はPCとUSB接続しても使える。この場合、USB接続する前に、付属のディスクからドライバソフトウェアやプリントユーティリティをインストールすれば、あとはUSB接続してすぐプリントできる。
MEP-F10でメモをプリント♪
MEP-F10をセットアップしたら、早速印刷。Windows PC、Android端末、iOS端末用にそれぞれ用意されたプリントアプリを使い、印刷内容のテキストや画像/手書き文字を入力し、プリントアウトするわけですな。
各プリントアプリの使い勝手は上々。スマートフォンなど使い慣れた端末からラベルライターへ入力できるのは思った以上に快適だ。それぞれのアプリは無料で提供されているので、MEP-F10を持っていなくても「印刷できないものの、アプリの使用感をひととおり試すことは可能」である。ので、ぜひダウンロードしてイジってみて欲しい。
ダウンロード先は、Android用の「MEP-AD10」がコチラ。iPhone用の「MEP-IP10」がコチラ。iPad用の「MEP-IP10 for iPad」がコチラ。Windows PC用の「PCメモプリユーティリティー MEP-PC10」がコチラ。
上の写真にも「定型句」が少し見えているが、メモプリシリーズではカシオが無料提供している「定型句ダウンロードサービス」を利用できる。様々なシチュエーションで使える定型句をたっぷりダウンロードし、必要に応じて使える。リンク先では、Windows PC用プリントアプリ「PCメモプリユーティリティー MEP-PC10」で利用できる定型句をダウンロードできるが、AndroidやiOSの場合、各専用アプリ内から同様の定型句をダウンロードできる。
てな感じのMEP-PC10。実際に使っていて感じるのは、やはりクライアントモードで「思い立ったときに手近にある端末から入力して付箋的に使えるメモをプリント」といった手っ取り早さが良い。Windows PC、iPad mini、Android端末を使っている俺ですけど、「あっこの情報ちょっとメモプリでプリントしとこう」的な使い方ですな。具体的に印刷するのは、電話番号であったり住所であったり、忘れちゃイケナイ覚え書きだったり。
そういった情報は基本的にはPCやスマートフォンの中にある。その気になればクラウドで共有し、いつでもどこでも閲覧できる情報だ。が、スマートフォンなどを取り出して操作するのが面倒と感じることもあるし、場合によってはスマートフォンなどから紙に書き写す必要もある。そういう一手間を減らしてくれるのがMEP-PC10だと思う。
活用法次第でアレコレ細々いろいろ便利化してくれるMEP-PC10なので、興味のある方はぜひ一度チェックしてみてほしい。ちょっとニッチだけど、案外便利スよ♪