スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

KORG「microKEY Air」でワイヤレス楽器♪

Bluetooth MIDIキーボードでスッキリと弾く!

 やや頻繁に、キーボードをちょっと使いたいことがあります。文字入力用のじゃなくて鍵盤楽器のほう。単に鳴らして遊ぶとか、コードやスケールの確認をするとか。今すぐ鍵盤で音を出したい~と思うことが増えました。

 じゃあアレを買おう! 前から気になっていたBluetooth MIDI(BLE-MIDI)キーボードを! スマホやPCとワイヤレス接続してソフトウェアシンセサイザーなどを弾けるキーボードです。無線だからケーブル無しでスッキリ使えそう! 何種類か出ていますが、サイズ感と価格と機能性からKORG(コルグ)の「microKEY Air」(公式ページ)にしました。

KORGの「microKEY Air」。Bluetooth MIDIおよびUSBに対応した、無線/有線両対応のMIDIキーボード(ミニ鍵盤)です。鍵盤数や若干の機能性違いで4タイプあり、25鍵、37鍵、49鍵、61鍵の4タイプがあります。左写真は最も小さい25鍵モデルとiPhone Xを比較した様子。机上に置いてもあまり邪魔にならないサイズです。

 2年くらい前から普及し始めたBluetooth MIDI。電子楽器を制御するデータ通信規格「MIDI」の無線版といった存在で、無線方式はBluetooth Low Energy(BLE)。これに対応したPCやスマートデバイス上のMIDI対応サウンドアプリを無線でコントロールできるというものです。要はソフトウェアシンセやDAWなど音楽系アプリを、無線接続のMIDIキーボードで使えるヨという機材。

 筆者はBluetooth MIDIキーボードを使うのは初めてですが、使った印象から書いてしまうと、無線方式ということで僅かなレイテンシー(打鍵から発音までの遅延)があるものの、十分実用的という感じ。また、ケーブル類一切ナシで使えるのは快適そのものです。ともれ以降、microKEY Airの機能や使用感について見ていきましょう。

BluetoothとUSBに両対応、スッキリ使えてツブシも利く

 まずは概要から。KORG「microKEY Air」シリーズ(公式ページ)は、端末(ホスト)とUSB接続もしくはBluetooth接続できるMIDIキーボード(ミニ鍵盤)です。USB接続時はバスパワー動作(電池不要)で、Bluetooth接続時は単3形電池×2本が電源となります。USB/Bluetoothはスイッチ切り換えで排他利用。Bluetooth接続時の電池持続時間は、アルカリ電池使用時の場合で約30時間となっています。

 Bluetooth接続対応環境は、Windows 8.1以降・Bluetooth 4.0対応のPC、OS X10.10 Yosemite以降がインストールされBluetooth 4.0に対応したMac、iOS8以降がインストールされBluetooth 4.0に対応したiPad/iPhoneとなっています。Android端末でも接続できる可能性がありますが、メーカーは動作保証外としています。

 で、実際に使ってみて何がイイかと申しますと、やはり無線で音源(ホスト)とつながること。と~ってもスッキリ。イヤホンとかスピーカーもワイヤレスだと解放感があって便利ですが、MIDIキーボードも無線だと案の定とてもスッキリして超快適なんです。

左はUSB接続。USB接続のMIDIキーボードをiOS端末と接続する場合、「Apple Lightning - USBカメラ・アダプタ」とUSBケーブルが必要です。昔からあるMIDIケーブル(データ送受信する場合は2本も必要)と比べるとけっこうスッキリしていますが、それでもキーボードや端末周辺がゴチャつきます。右はBluetooth接続ですが、ケーブル一切ナシでとてもスマート&スッキリです♪

 ワイヤレス、んもぉ~サイコー! 筆者が買ったのは25鍵のmicroKEY Air-25ですが、無線接続のスッキリ感は軽く衝撃的なレベル。なので調子コイてさらに37鍵のmicroKEY Air-37も追加購入しちゃいました。購入価格は、25鍵が6500円くらいで、37鍵が1万1500円くらいでした。

 microKEY Airは、必要に応じてUSB接続しても使えるのもイイですね。Bluetooth非対応のホストにもつながるので、要するにMIDIキーボードとしてツブシが利くというわけです。

 ただ、普通一般のBluetoothデバイスとは、(現時点では)ちょっとだけ使い方が異なるところが気になりました。具体的には、iOS端末などホスト端末とペアリングしても、microKEY Airとホスト端末上のアプリが自動接続されて使用スタンバイ状態とはなりません。使用時にホスト上の楽器アプリなどからmicroKEY Airへ接続するという一手間が必要です。

 例としては、microKEY Airの電源をオフにするとホスト端末と接続が解除され、再度microKEY Airの電源をオンにしたときは楽器アプリなどから接続操作が必要になるという感じ。でもまあ、microKEY Airの電源スイッチを入れ、アプリの設定のBluetooth MIDIで接続するという程度の手間です。「microKEY Airを使い始めるとき一度接続操作をする」くらいの手間なので、煩雑って感じでもありません。

 それと、前述のとおり、25鍵のmicroKEY Air-25と37鍵のmicroKEY Air-37を買ったんですけど、25鍵モデルと37/49/61鍵モデルではサイズと鍵盤数が違うほか、一部仕様が異なります。大雑把&独断と偏見で言うと、25鍵モデルはMIDIキーボードとしてはちょっと機能性が省略されている感じだけどアルペジエイターボタンがあったりして愉快で、37/49/61鍵モデルはわりと常識的なMIDIキーボードという感じです。なお、専用エディター・ソフト「KORG KONTROL Editor」を使えばmicroKEY AirのMIDIキーボードとしての挙動を細かく設定することができます。

写真は、下が25鍵モデルで、上が37/49/61鍵モデル。鍵盤左側の部分がホイールかジョイスティックかの違いがあります。また、37/49/61鍵モデルは左側面にダンパー・ペダル接続用のアサイナブル・スイッチ端子があります(25鍵モデルではサスティン・ボタンでダンパー機能が使えます)。
Mac/Windows専用エディター・ソフト「KORG KONTROL Editor」を使って25鍵モデルの設定を行っている様子(画像はMac版)。アルペジエイター・パターンのエディットもできました。PCとキーボードを無線接続した状態で設定できるので、これまた配線とか不要で快適です。

 現在、25鍵モデルと37鍵モデルを気に入って使っております。25鍵はちょっと音を確認したりDAWに打ち込んだりするとき、37鍵はそれに加えて両手で弾きたいときに使っている感じです。そんななか、ふと「49鍵モデルか61鍵モデルも欲しいなあ」と思ったりします。

 ただ、49鍵や61鍵になると、横幅があり過ぎな感じ。49鍵だと幅約71cmで、61鍵だと幅85cm。机上に置くには場所取り過ぎ? 邪魔でありかつミニ鍵盤? 37鍵を超える鍵盤数が欲しいなら、(どちらにせよ場所取るんだし)標準サイズの鍵盤を使う方がいいのかな~とか考え中なのでした。

遅延は……立ち上がりの速い音だと気になるかも

 microKEY Airを買うにあたって、最も気になったのが「無線接続からくるレイテンシー(打鍵から発音までの遅延)」です。どのくらい遅延するのかな~? 気になる遅延かな~? ていうかムカつくほどの遅延だったらどうしよう~? みたいな。

 遅延の気になり度合いは、ユーザーにもよると思います。また、使うホスト端末や接続状態によっても遅延が異なると思います。で、筆者&筆者環境の場合、microKEY Airのレイテンシーは全体的に「あんまり気にならない」という感じになりました。発音のタイミングにシビアになるほどスムーズに演奏できないというのもあり、「まあこのくらいの遅延ならいいかな」みたいな気分で使っています。

 ただ、わからない遅延ではなく、ちょっと意識すると「わかる遅延」です。とりわけ音の立ち上がりが速い音源だとよくわかります。鍵盤を押した瞬間音が出るような楽器音ですね。ピアノ音とか、打楽器音とか、アタックが速いシンセ音とか。

 microKEY AirはBluetooth接続でもUSB接続でも使えますので、手持ちの2台をそれぞれBluetooth接続とUSB接続で同じホストにつなぎ、同じ楽器を同時に弾いてみますと……たとえばピアノだと音の出始めが一瞬ズレて、タタンという感じに聞こえます。Bluetooth接続側が音が出るのが遅くなるわけですね。

 そんな感じなので、音が出るタイミングに非常にシビアなユーザーがリアルタイム演奏をするには向かないMIDIキーボードかもしれません。でもまあ、そういう「手で弾いた音が出るタイミングに対して非常にシビアなユーザー」って、そもそもリアルタイムの演奏のためにミニ鍵盤は使わないのかもしれません。

 なお、Bluetooth MIDIキーボードはひとつのホスト端末に複数台接続できます。つなぐ台数が増えると遅延も増すそうですが(2台をBluetooth接続して使っても遅延が増した印象はありませんが)、それは別として活用幅が広がってイイですね、複数台接続。

 たとえば、2台のmicroKEY AirをBluetooth接続し、それぞれのキーをトランスポーズさせてオクターブ幅を広げて演奏するようなことができます。ちょっと変則的にはなりますが、キーボードの左右の幅を抑えつつ、より幅広い音域を使って演奏したり、より手っ取り早く打ち込みを行ったりできます。鍵盤数の少ないmicroKEY Airを2台買い、いつもは1台使ってちょっと弾き、必要に応じて2台を並べて広々弾いたりできるのって、悪くないかもと思った次第です。

弾き心地もなかなかイイ!

 microKEY Airシリーズは、打鍵感も好印象です。鍵盤サイズはよくあるミニ鍵盤と同じですが、タッチは少し重みがありつつ滑らか。重厚って感じではないんですが、アリガチな打ち込み用ミニ鍵盤MIDIキーボードのパコパコカパカパした平坦な打鍵感とは違い、弾き応えと心地よさがちょっとあるという印象。個人的にはベロシティ(音の強弱)を調節しやすく快適だと感じられました。また、黒鍵の間の白鍵の狭い部分に指を入れやすいような感じや、鍵盤に指が引っ掛かりにくいような感じもあり、何となく「ほかのミニ鍵盤よりスムーズに弾ける気ががする」という印象もあります。

左がmicroKEY Airシリーズの鍵盤で、右がフツーのミニ鍵盤(カワイ/HYPERCAT)。microKEY Airシリーズには「小さくても弾けるナチュラル・タッチ・ミニ・キーボードを搭載」しているとのことで、打鍵感がひと味違います。個人的には「ミニ鍵盤だからとバカにできない使い心地」があると感じています。

 かなり弾きやすいミニ鍵盤だと思いますが、でもまあ、やっぱり、多くの人にとって「本腰を入れてリアルタイムで弾く」のには向かないと判断されそうな気がします。Bluetooth接続だと僅かな遅延もありますし。あくまでもサブ用途、みたいな?

 とは言っても、とりあえず音を出して確認したい、ちょっと弾きたい、という用途には十分使えると思います。また、打ち込みに使うなら手軽さと小ささと、そしてワイヤレスであることが実用性に直結する喜ばしい要素だと思います。

 あと、iOSデバイスとの相性の良さもナイス。iOS用にソフトウェアシンセサイザーとか多数ありますけど、こういう「思い立ったときにすぐ無線接続して使えるBluetooth MIDIキーボード」があると、iOSデバイスでのサウンド遊びが非常に楽しくなります。

 シンプルに使えて、弾き心地もイイ感じで、無線接続のスッキリ感も抜群。筆者的にはかなりコストパフォーマンスが高いBluetooth MIDIキーボードとなりました。気になる方はぜひチェックしてみてください。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。