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iOS 6の標準地図アプリ。新宿周辺の地図だが、東京都民でもいまいちわかりにくい

 iOS 5までの標準地図アプリはGoogle製だったが、iOS 6の標準地図アプリはアップル製となった。ご存じの方も多くいらっしゃるだろうが、この地図、あまりデキがよくない。データの間違いも多いし、地図の見せ方も日本標準とは違ってわかりづらい。Googleマップのアプリを早く返してくれ、とiPhoneユーザーの大半が思ったことだろう。

 そして昨年12月、iOS 6リリースから遅れること2カ月、iOS 5とともに消えてしまったGoogleマップのアプリが、サードパーティ製アプリとしてiPhoneに帰ってきた。それも、かつてのiOS 5に標準搭載されていたマップアプリを遙かに超える完成度になって帰ってきた。これほど嬉しいことはない。

新Googleマップアプリ。駅の形状やシマシマのJR路線、色違いの国道・都道などの描写がわかりやすい

 まず新Googleマップアプリでは、地図はベクトルデータで描写されるようになり、よりなめらかな拡大・縮小・回転が可能になった。Googleアカウントとの連携も可能になり、検索履歴やスターの共有も可能だ。操作方法にはフリック操作などが取り入れられ、たとえばダブルタップ後ホールドしたまま指を上下にドラッグすることで拡大縮小できるようになり、片手操作が容易になった。

 マイマップが使えなかったりiPad版がなかったりと、まだ足りない部分もあるが、しかしリリースされたばばかりなのに、見ようによってはAndroid版のGoogleマップをもしのぐ完成度とすら感じられる。

 しかしそれでも、iPhoneにおける地図の不便さがすべて解消されたわけではない。どんなに優れたサードパーティ製地図アプリが登場しても、ほかのアプリと連携できないため、標準地図アプリを使わざるを得ない場面が多い。

 たとえば音声エージェント機能「Siri」が連動するのは標準の地図アプリだけだ。iOSにはメール本文中などに含まれる住所を自動判別し、地図へのリンクに変換する機能が搭載されているが、リンク先は標準の地図アプリから変えることはできない。いずれも非常に便利な機能のはずが、連携先の地図アプリの品質が低いため、その便利さが半減しているのだ。

 Googleマップアプリは帰ってきたものの、iOS全体のユーザー体験において、標準の地図アプリの品質向上は不可欠な要素と言えるだろう。サードパーティ製アプリが充実するのは歓迎すべきことだが、一方でアップル自身にも地図アプリを頑張って良いものにしていってもらいたいところだ。