iPhone 4とBluetoothキーボードでメモに挑戦

2010年7月20日 06:00
(石野純也)
ワイヤレスジャパンの基調講演をメモしているところ

 iOS4で追加になった機能の中で、ひそかに気になっていたのが、HIDのサポートだ。これは、ワイヤレスキーボードなどを接続するBluetoothプロファイルのこと。標準化された規格のため、アップルの純正品はもちろん、サードパーティがこれまで発売してきた多くのワイヤレスキーボードを利用できる。これならタッチパネルでは少々辛かった、取材中のメモなども容易になりそうだと思い、早速使ってみることにした。

 まず、準備として、新たにアップル純正のワイヤレスキーボードを購入した。ほかの製品もあれこれ検討してみたが、やはりデザインのテイストがiPhone 4にマッチしていることが決め手となった。元々iMacなどのために作られたキーボードのため、キーピッチやキーストロークも十分。ノートパソコン以上に快適にキーを打つことが可能だ。また、入力中は、iPhoneを立てておかなければならないので、Dockも一緒に購入した。

 次に、アプリを探した。標準のメモアプリもそれなりに優秀だが、PCへの転送が少々面倒。iTunesで同期するという手もあるが、母艦となるパソコン側にOutlookをインストールしておかなければならない。もう少し手軽にメモを転送したいということで、App Storeをしばし物色した。しかし、残念ながらWindowsユーザーにはおなじみの「秀丸」のような高機能エディタが見つからない。ワードやエクセルを編集できる「Documents To Go」も買ってみたが、動作がやや重いため、素早くメモを取るには向いていなかった。このアプリは、どちらかというと、打ったテキストを編集するために使う方がよさそうだ。

「FastMemo」で原稿を書いてみた

 ほかにも色々試した中で、ようやく「これかな」と思えたのが、「FastMemo」というアプリ。起動するとメモが書けるというシンプルさが特徴で、ファイル管理の概念がなく、1行の文字数なども調整できない。起動してメモを書いて終了する。ただ、それだけだ。書いたメモはメールの本文に貼り付けて送信可能。あらかじめ設定しておけば、ワンタッチで自分宛にメールできる。原稿を書くには機能が足りないが、メモなら十分だ。

 これらのキーボードやアプリを導入し、何度か記者会見で実戦テストを行ってみたが、用途をメモに限れば、ある程度パソコンの代わりになることが分かった。録音しながらでの操作可能なため、取材ツールをiPhone1台にまとめられそうだ。ただ、文字の変換精度はイマイチ。iOS4では辞書も改善され、以前よりは快適に入力できるようになったが、やはりまだ誤変換が多い。キーボード入力と予測変換という組み合わせにも、なかなか慣れることができない。一方で、iPhoneにキーボードをプラスするだけという手軽さは、やはり魅力だと感じる。ワイヤレスキーボードは非常に軽いため、持ち運びもしやすい。

 というわけで、今回はあえてこの原稿を、iPhoneで書いてみた。やはりパソコンで書くより手間はかかるが、無理というわけではない。執筆時間もそれほど変わらなかった。OSのアップデートで辞書が賢くなれば、さらに便利なメモツールになりそうだ。