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香港のCOVID-19ワクチン投与はネット予約、スマホで接種記録を確認可能
2021年6月1日 06:00
新型コロナウイルスのワクチン接種、香港では混乱も無く予約と接種が進んでいます。
2021年2月26日から予約が開始されたワクチン接種は、60歳以上の香港市民(70歳以上の場合は、2名まで付き添い同時接種可能)、医療従事者、老人ホームなどケア施設入居者とスタッフ、公共サービス維持に必要な公務員(郵便局員や街頭清掃員など)、越境運送業者と出旧教関係者(飛行場職員やフライト乗務員など)を優先的にスタート。重症化しやすいといわれる年配者だけではなく、医療や公共サービス従事者なども優先されました。
香港で提供されているワクチンはBioNTech/Fosun製(日本などではファイザー)のコミナティと、シノバック製のコロナバックの2種類。費用は無料です。
その後、3月15日には対象者を教職員やヘルパー(フィリピンやインドネシアなどからの出稼ぎ住み込みお手伝い)などに広げ、さらに対象年齢を「30歳以上」に引き下げるとともに、海外からの留学生の場合は16歳以上が接種可能に。
3月後半にコミナティの瓶に不良があり一時的に投与が中止になりましたが4月に再開。4月15日からは16歳以上(コミナティ。16、17歳は親の同意書が必要)または18歳以上(コロナバック)へとさらに対象年齢が引き下げられています。
日本ではワクチン接種予約で混乱が生じたところもあったようですが、香港ではオンラインでスムーズに予約できます。香港在住20年の筆者なりに混乱なく投与が進んでいる理由は、
人口700万人と日本より数が少ない
IDカードで個人情報が一元管理されている
狭い土地なので年配者をヘルプする隣人などが多い
といったあたりかな、と感じます。
予約は香港政府のワクチン情報サイトから行います。「Book Vaccination」から、2種類あるワクチンのうちどちらを打つかを選択。その後、注意事項を読み(英語・繁体字中国語・簡体字中国語対応)、予約へと進みます。
そのあと本人登録をします。香港の居住者は身分証明書としてIDカードを所持しているため(16歳以上)、番号や誕生日を入力。IDカード番号で身分証明が一元管理されているので虚偽の申請といったものは出来ません。そのあとの画面で氏名や携帯電話番号を入力します。なお香港は世界でももっと早い時期に携帯電話普及率が100%を超えているので「携帯電話(スマートフォン)を持っていない」という概念がありません。
最後に接種の日にちを予約します。筆者が予約したとき(4月中旬)は、予約操作日から3日以降の日時が予約できました。時間は朝8時から夜の20時まで、希望時間を指定。1回目の予約と、14日後の2回目の予約も同時に行えます。またワクチン接種場所は香港内のCVC(地域ワクチンセンター)や医療機関など、100か所以上を選択可能。コミナティとコロナバック、それぞれ接種場所は異なります。
予約が終わればすぐにショートメッセージ(SMS)で通知が来ます。特定のソーシャルサービス(SNS)ではなく、あらゆる携帯電話・スマートフォンで受信可能なSMSを使って通知が来るのは海外では一般的なことでしょう。また接種前日にもSMSで連絡が届きますが、内容は同じもの。なお2回目の接種の前日にも同じSMSが届きます。
さて当日は会場へ。時間指定されていますが、実際は多少ずれても問題ないようです。会場の入り口ではスタッフにSMSを見せ、入場時には「LeaveHomeSafe」のQRコードをスマートフォンで読み取ります。LeaveHomeSafeについては過去に書いたのでそちらをどうぞ。
会場内でのワクチン接種方法は以下の通り。
- ワクチン接種案内ビデオ(5分ほど)を見つつ、説明書を読む。説明書の最後のページの同意確認にボールペンで印をつける
- 指定されたブースへ案内される
- 医師にIDカードを渡し、簡単な問診を受ける。受けるワクチン名を確認
- ワクチン接種
- ワクチン接種証明書を受け取ってブースを離れる
- 待機場所で10分間待機後、会場を後にできる
入場から退出までは30分程度でした。なお2回目の時も同様です。
ワクチン接種証明書はA4サイズで、下端側を切り取って携帯できるようになっています。QRコードがあり、それをスマートフォンで読み込むと接種情報を画面表示できます。とはいえこの紙を持ち歩くのも面倒なもの。香港政府の医療関連アプリ「eHealth(医健通)」を使えば、同じ情報をアプリで見ることができます。アプリのログインもIDカード番号を使いますから、それだけで情報閲覧できるわけです。
予約から確認、当日の接種、そしてアプリでの確認と香港のワクチン接種は簡単に利用できました。現時点ではこのワクチン情報を一般生活で使うことはないのですが、今後ワクチン接種者に対して規制緩和などが行われる際に、アプリの情報を表示するようになるのかもしれません。