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ファーウェイ版“エアドロ”の「Huawei Share」を試す

【HUAWEI P20 Pro HW-01K】

 iPhoneやiPadには、“エアドロ”の愛称で親しまれる「AirDrop」なる機能がある。アップル製品同士で利用可能なファイル送受信の仕組みで、通信経路にWi-Fiを使うため、スピードが速い。端末同士がダイレクトに通信するため、“ギガが減らない”のもメリットだ。共有メニューからサクッと送れるため、ユーザーには重宝されている。

 最近ではこの機能を使って無作為に卑猥な画像を送りつける輩も登場し、「エアドロ痴漢」が一部で問題になっているが、ツールはあくまでツール。まっとうな用途で使うのには、非常に便利な手段だ。

 対するAndroidには、残念ながら同様の機能がない。Wi-Fiダイレクトがそれに近いといえばそうだが、iPhoneのように共有メニューからサッと呼び出せるわけではなく、機種によって対応の有無が異なる。Android Beamも相手側がNFC非対応だと使えないし、通信経路がBluetoothになり、画像1枚送るのにも時間がかかる。端末同士をかなり近づけなければならないため、使い勝手もイマイチだ。

サクッと遅れるiPhoneのAirDrop。エアドロの愛称で親しまれている
ファイルを送受信する手段はあるが、どれもAirDropの使い勝手に達していないのが現状だ。画像はAndroid Beam

 ただし、Androidの場合、メーカー各社が独自に近い機能を実装していることがある。筆者が利用している「HUAWEI P20 Pro HW-01K」のメーカーであるファーウェイも、その1社。同社は独自機能として、「Huawei Share」を用意しており、ドコモから発売されているP20 Proも、きちんとこれに対応している。身もふたもない言い方をすると、Huawei Shareは、ファーウェイ版エアドロといったところ。共有メニューに表示されるところも含め、使い勝手は非常に近い。

 実際に試してみたところ、P20 Proで撮った写真1枚程度なら、ほぼ一瞬で相手に送ることができた。300MB強の動画だと少し時間はかかったが、それでも約50秒程度。クラウドにアップロードして相手に送ったりすることを考えると、かなり時間は短縮される。エアドロと同様、ギガが減らないのもメリットだと感じた。

 何かしらのファイルを相手から受けるときも、「承諾」か「拒否」を選ぶだけでいい。さすがにHuawei Shareでおかしな画像が送られてきたことはまだないが、知らない相手からいきなりファイルが送りつけられてきた際には、拒否した方がいいだろう。アプリのインストールやファイルシステムの自由度がiPhoneより高い裏返しとして、Androidの場合、セキュリティのリスクにもなるからだ。

 単にエアドロを“インスパイア”した機能かと思いきや、ファーウェイならではのプラスαもきちんと加えられていて、評価できると感じた。具体的には、Huawei Shareを使うと、同じネットワーク上にあるPCなどから、端末内のファイルを参照できるようになる。こちらの機能は別途オンにして、IDやパスワードを設定する必要がある。

ファーウェイが独自に実装している「Huawei Share」
画像1枚なら、ほぼ一瞬で共有が完了する
同一ネットワークに接続したPCから、P20 Pro内のデータを参照できる

 今のところのネックは、試してみない限り、なかなかこの機能の出番がないということ。周囲にファーウェイ端末を使っているユーザーが増えれば、活躍する機会は増えるかもしれないが、残念ながら、スマホユーザーの2人に1人が使っているiPhoneと比べると、利用できる確率は低くなる。ファーウェイの端末はSIMフリー市場でシェアを伸ばし、大手キャリアにも続々と採用されているだけに、今後には期待したい。

 とはいえ、やはりAndroidでも、全員が全員、ファーウェイ端末を使うようになるとは考えにくい。多彩なメーカーの顔触れがそろっていることがAndroidの魅力で、1社の寡占状態になるのは矛盾した話でもある。1社のメーカーに依存せず、グーグルが音頭を取るなどして、同様の機能を実現してほしいと感じた。