DATAで見るケータイ業界
大詰めを迎える新周波数割当の行方
2018年3月30日 06:00
総務省による新周波数の割り当てが大詰めを迎えるなか、楽天の参入もあり、その行方が注目されている。
今回、新たに割り当てられる周波数は、具体的には東名阪以外(東名阪はNTTドコモが使用中)の制約バンド1枠を含んだ1.7GHz帯3枠と3.4GHz帯2枠の合計5枠となっている。審査は、基地局の設置場所や設備の調達計画、1.7GHz帯で8年後に80%、3.4GHz帯で5年後に50%の人口カバー率を満たすことなどの一定基準(絶対審査基準と比較審査基準)があるが、各社の差はつきにくいとされる。
そこで審査を大きく左右するとされるのが、「指定済みの周波数を保有していない」または「指定済みの周波数に対する契約数の比率が大きい」事業者を加点するという項目。これに従えば、前者は楽天が該当するし、後者は下記の表から分かるようにNTTドコモということになる。
KDDIは、auだけなら1MHz幅あたりの契約者数は33.76万人、ソフトバンクは21.95万人だが、実態はグループ会社(auならUQ回線、SBならWCP)も利用していることから、さらに少なくなる可能性がある。ただしKDDIは、auの周波数とUQの周波数をキャリアアグリゲーションで束ねてau契約者に提供しており、UQの契約者数にはその分の数字が含まれている。そのためauとの単純合算はできない点に留意いただきたい。
言うまでもなく、携帯電話会社にとって保有する周波数帯幅は、『競争力の源泉』である。そのため、今回のような周波数割り当ての機会は、極端な言い方をすれば、取れるだけ欲しいというのが本音である。
ただし、先に述べているように今回の割り当て枠は5つあり、全ての携帯会社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天)が獲得できる可能性がある。問題は、たとえば楽天であれば参入にあたって国際バンドの1.7GHz帯は当然として、可能なら3.5GHz帯も欲しいかも知れないし、KDDIはまだ取れていない1.7GHz帯が、となるだろう。それぞれの思惑通りの結果となるのか注目される。