2.5GHz帯を使った高速無線通信システムの導入に向け、各事業者から総務省への認定申請が出揃った。計4社から申請が行なわれたが、免許付与は2社に対して行なわれる予定。免許が付与される事業者は年内にも決まる見込み。
申請を行なったのは、申請順にウィルコム、オープンワイヤレスネットワーク(OpenWin)、ワイヤレスブロードバンド企画、アッカ・ワイヤレスの4社。申請の受付期間は9月10日~10月12日で、ウィルコムは9月28日に、そのほかの3社は10月11日に申請を行なった。
同周波数帯は基本的に新規事業者に割り当てる方針が明らかにされており、携帯電話の3Gサービスを展開している事業者およびそのグループ会社は対象外とされている。一方で、既存の携帯電話事業者が参入するには、出資比率が3分の1以下であれば参入が認められており、NTTドコモはアッカ・ワイヤレスに、KDDIはワイヤレスブロードバンド企画に、ソフトバンクとイー・アクセスはOpenWinにそれぞれ出資し、間接的ではあるものの、2.5GHz帯でのサービス展開を目論んでいる。また、3社はいずれもWiMAXでの参入を表明している。
■ ウィルコムは次世代PHSで参入表明
ウィルコムは2.5GHz帯において、「次世代PHS」でのサービス提供を目指す。現行のPHSをベースにOFDM技術やMIMO技術といった最新技術を加え、最大20Mbps以上の高速伝送を実現する通信システムとしており、現行の設備を活用し早期に効率的な展開ができるとする。
■ ホールセールに特化、MVNOで展開するOpenWin
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OpenWinの事業計画
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OpenWinは、ソフトバンクとイー・アクセスのほか、ゴールドマン・サックス、テマセク・ホールディングス、NECビッグローブ、ソネットエンタテインメント、ニフティ、フリービットの計8社の出資により設立された。WiMAXでの参入を表明し、ホールセールに特化するビジネスモデルを明らかにした。これはMVNOという形でサービス事業者にデータ通信のネットワークを提供するもので、MVNO事業者がエンドユーザーにさまざまなサービスを提供する。NECビッグローブやソネットエンタテインメント、ニフティなど大手インターネットプロバイダがOpenWinに出資しているのも特徴。
事業計画によれば、2009年3月に無線データ通信サービスを開始予定としており、加入者数の目標は、2015年3月末までに最低400万人。サービス提供価格は、エンドユーザー向けの価格として、現在のADSL程度としている。
■ WiMAXの技術力をアピールするワイヤレスブロードバンド企画
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ワイヤレスブロードバンド企画の事業構想
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ワイヤレスブロードバンド企画は、KDDI、インテル キャピタル、東日本旅客鉄道(JR東日本)、京セラ、大和証券グループ、三菱東京UFJ銀行の計6社の出資により設立された。KDDIがWiMAXフォーラムに参画した実績や標準化への取り組み、技術力をアピールしており、当初はモバイルPC向けのデータ通信サービスを予定している。MVNO展開も行ない、米スプリント ネクステルとの協力で日米の国際ローミングも構想に入っている。
■ さまざまな分野の企業が参画するアッカ・ワイヤレス
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アッカ・ワイヤレスの事業計画
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アッカ・ワイヤレスには、アッカ・ネットワークス、NTTドコモのほか、東京放送(TBS)、三井物産、アイテック阪急阪神、京浜急行電鉄、韓KT Corporation、朝日ネット、NECビッグローブ、ソネットエンタテインメント、ニフティ、フリービット、YRP事業開発研究所、JPモルガン証券、Ignite Group、DCMの計16社が出資する予定。申請4社の中で唯一テレビ局を加えているほか、私鉄、韓国の事業者も参画する。
事業計画によれば、2009年3月にパソコン向けデータ通信でサービスを開始を予定としており、加入者数の目標は2013年で500万人。定額制とするサービス提供価格は、現状のデータ通信カードを含めたサービスの価格よりかなり安くなるとしている。
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(太田 亮三)
2007/10/11 20:45
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