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オープンワイヤレスネットワーク、WiMAX事業の執行体制を発表

 オープンワイヤレスネットワーク(通称:OpenWin)は、2.5GHz帯のWiMAX事業展開に向け免許申請を行なったことを受け、執行体制や免許申請の内容などに関する説明会を開催した。免許取得に向けた意気込みや同社の戦略が明らかにされた。

 OpenWinは説明会の冒頭で、早期に経営体制を確立するためとして、執行体制および取締役を明らかにした。代表取締役兼COOには、イー・アクセス執行役員副社長の深田 浩仁氏、代表取締役にソフトバンク代表取締役社長の孫 正義氏、取締役 CEOにソフトバンクBBの宮川 潤一氏、取締役にイー・アクセス取締役会長の千本 倖生氏、監査役にイー・アクセス執行役員内部監査室長の柴田 雄司氏、CFOにイー・アクセス取締役のエリック・ガン氏、CTOにイー・アクセス専務執行役員 CTOの小畑 至弘氏がそれぞれ就任する。

 OpenWin 代表取締役兼COOの深田 浩仁氏は、執行体制を明らかにした後、説明会の出席者に孫 正義氏、千本 倖生氏がいないことに自ら触れ、「これは我々で協議した結果。今回の免許要件改めて見ると、総務省が期待しているのは3G事業者から独立したもの。執行体制としては今日の出席者のようなものがいいのではないか」と述べ、免許付与前の戦略説明会ということで出席者の顔ぶれにも配慮がみられた格好となった。

 同氏は続いて株主構成を説明。その中で9月28日には200億5,000万円が全額、出資各社から振り込まれたことを明らかにして、出資各社が免許獲得に向けて本気であることを示した。


OpenWin 代表取締役兼COOの深田 浩仁氏 OpenWinの執行体制。孫 正義氏、千本 倖生氏も取締役に

2009年3月、ADSL並の価格で

事業計画では、2009年3月にサービス開始予定とする
 免許申請に伴い総務省に提出された事業計画も明らかにされた。それによれば、2009年3月に無線データ通信サービスを開始予定としており、エリア展開は2009年度中に全国人口カバー率50%以上、2015年3月末までに全国人口カバー率90%以上を目指す。加入者数は、2015年3月末までに400万人としたが、これはパソコンユーザーを想定したもので、さらに多くの加入者を獲得できるとする。

 サービス提供価格は、エンドユーザー向けの価格として、現在のADSL程度としている。設備投資額は2015年3月末までの累計で約2,500億円を予定し、資金確保に向けて増資・借り入れの準備を進めているという。


オープンなビジネスモデルを基本に

OpenWinの5つの特徴

OpenWinはホールセールに特化し、MVNO各社からサービスが提供される

WiMAXのプラットフォームもオープンにするとされた
 OpenWinの戦略については、深田氏から「ホールセールに特化したMVNOパートナー戦略」「水平分離型の事業構造」「豊富な立ち上げ経験を生かした迅速かつ堅実な事業展開」「世界で普及が見込まれるWiMAXの採用」「FTTH対抗としてのWiMAXサービス」の5つの項目で解説された。

 「ホールセールに特化したMVNOパートナー戦略」は、OpenWinの基本的な戦略ともいえる部分で、同社はインフラ側の整備に徹し、エンドユーザー向けのサービス、製品はMVNEおよびMVNO各社から提供されるというビジネスモデルが示された。ソフトバンクやイー・アクセスのADSLユーザー、OpenWinに参画するISP各社のユーザーなど、MVNOの対象となりうるユーザーは1,500万人以上になるとした。

 深田氏は、「ほかの事業者に対しても100%ホールセールに特化したビジネスモデルで、あらゆる事業者がサービスに通信を付加できるオープンなビジネスモデル」と語り、開かれたビジネスモデルであることを強調した。

 オープンなビジネスモデルという側面はWiMAXネットワークにおいても同様とされ、「認証や位置情報など、従来のモバイルネットワークでは難しかった要素を提供でき、柔軟なサービスが可能になる」という。端末に関しても「自由に販売できるようにしたい。家電やカーナビなども、現在の限定的なネットワーク利用が自由になり、非常に大きな市場を形成できる」とした。

 「豊富な立ち上げ経験を生かした迅速かつ堅実な事業展開」の項目では、ソフトバンクモバイルの基地局展開能力や、イー・モバイルの最新のネットワークを構築した能力、各社の販売戦略などのノウハウがそのまま引き継がれるとし、設備の一部は併用しながらネットワークを早期に展開できると説明。

 WiMAXが世界標準として期待されている点については、「当たり前のようだが、WiMAXを採用した一番大きな理由は、実質的な世界標準になるということ」と述べ、「日本独自の基地局や端末は国内で成功しても、世界を見れば全然違う。販売奨励金に頼るモデルで国内の端末メーカーは疲弊している。莫大な開発費をかけた基地局も国内での出荷は少しで、結果的にユーザーに影響する」と国内の高コストな現状を指摘。「基地局、端末はグローバルでの生産台数増加で劇的にコストダウンしていく」と世界標準を採用するメリットを挙げた。

 FTTH(光ファイバー)に対抗するサービスとしてのWiMAXでは、ネットワーク事業者として「どうしても参入しにくい分野がFTTH。いろいろな協業を試みてもコスト面の障壁がある」と語り、「WiMAXは理論的には70Mbpsを超えることも可能で、FTTHに勝るとも劣らないスペックを持っている。価格も現在のADSL並で提供できる予定」として、FTTHに対抗できる内容になるとする。


ソフトバンクとイー・アクセスの豊富なノウハウを引き継ぐという 基地局、端末ともにコスト面でのメリットを強調

WiMAXでFTTHに対抗

OpenWin 取締役 CEOの宮川 潤一氏
 また深田氏は、「OpenWinのグループではFTTHに対するしがらみはない。数十Mbpsもあれば普通のサービスは問題ない。今のFTTHは、スポーツカーで近くのスーパーに買い物に行くようなもの。また、我々のサービスなら開通まで何カ月も待たせることはない」と語り、市場性についても「あえて言えば、無限の機器が対象。非常に大きな需要があると確信している」と自信を見せた。

 このほか質疑応答の中で深田氏は、音声通話サービスの提供の可能性について「音声もアプリケーションサービス。MVNOでVoIPによる音声通話サービスを提供するというなら、それを制限するものではない。ご自由にやっていただく」と語った。免許付与対象の2社の枠に入った場合については「オープンなので他の事業者に対しても提供していく」とし、逆に2社の枠から漏れた場合については「他社の事業計画が現時点では分からないが、(免許を)取るつもりでやっている」とした。

 深田氏はWiMAXのメリットについて問われ、「本当の私の感想では、分からない、と言いたいところ。非常に高速なデータ通信があらゆるデバイスに搭載されていく中で、ユーザーはどこにメリットを感じるのか。ユーザーが享受できるメリットは計り知れない。何でもできるが、それが何かは事業者に考えてもらうことになる。簡単なところでは、FTTHが外にでていくようなもので、膨大なメリットが詰まっている」とし、新たな市場の創出に意欲を見せた。

 質疑応答の中では取締役 CEOの宮川 潤一氏も登壇した。同氏は「我々が望んでいるのは長年の思いでもある“0種”のサービス。リテールをやるとどこが原価が分からなくなるという面もあり、リテール、エンドユーザー向けは一切やらないのが我々の特徴。これまで、NTTに対し、我々に対するMVNOの話をしてきたが、牛歩活動をとられてらちがあかなかった。我々に主導権を与えてみてくれ、という思いで我々は立ち上がった」と新事業への思いを語るとともに、「MVNOには行政、学校などもあっていい。日本に無かったビジネスモデルを一から作り上げたい」と新事業にかける意気込みを語った。



URL
  ソフトバンク
  http://www.softbank.co.jp/
  イー・アクセス
  http://www.eaccess.net/

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(太田 亮三)
2007/10/11 18:58

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