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「J-SA03」「J-NM01」のモバイルカメラでどう遊ぶ?
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、メール端末、PDAまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindows XP基本編」「できるADSL フレッツ・ADSL対応」「できるZaurus」「できるVAIO Windows XP版」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。iモード用EZweb用J-スカイ用、H"LINK用(//www.hourin.com/H/index.txt)を提供。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。


バリエーションが増えたモバイルカメラ内蔵端末

 モバイルカメラの楽しさは先週のJ-SH07のレビューでも紹介した通りだが、J-フォン端末にはシャープ製以外のモバイルカメラ内蔵モデルがラインアップされている。少し発売が遅れていたが、三洋電機製「J-SA03」とノキア製「J-NM01」の2台を試用することができたので、レポートをお送りしよう。


三洋電機とノキアのモバイルカメラ内蔵ケータイ

 J-フォンのモバイルカメラ内蔵モデルは、シャープ製「J-SH04」に始まり、「J-SH06」「J-SH07」と進化しているが、シャープ以外のメーカーからもモバイルカメラ内蔵モデルが続々と登場している。かつて、カラー液晶搭載端末をいち早く充実させたように、今後、モバイルカメラ内蔵モデルがJ-フォン端末共通のセールスポイントになる可能性も十分ありそうだ。

 今回試用した三洋電機製「J-SA03」、ノキア製「J-NM01」は、その外見を見てもわかるように、共通のハードウェアを利用している。しかし、ボディデザインは微妙に異なり、提供されているサービスなども異なる。ある意味、似て非なる端末ということになるわけだ。

 ご存じのように、折りたたみ式デザインは国内で販売されているケータイのトレンドになっているが、その元祖はNECであり、これに松下通信工業やソニー、シャープなどが続いている。しかし、実は三洋電機も各事業者向けに折りたたみ式デザインの端末を提供し、NECに次ぐ「折りたたみ式デザインを得意とするメーカー」を目指している。国内向けにはDDIポケットのfeelH"初代モデル「RZ-J90」及び「RZ-J91」、auのEZweb@mail対応第1弾「C401SA」、国際ローミング端末「C412SA」が発売されている。

 対するノキアは、言わずと知れた世界最大手の携帯電話メーカーだ。国内向けにはJ-フォンやNTTドコモに端末を供給した実績があり、筆者も旧デジタルホン時代にDP-154EXを愛用していた。今回のJ-NM01はハードウェアこそ、J-SA03と共通化しているが、ノキアならではの独自の工夫が盛り込まれており、明確な差別化が図られている。


J-SA03 J-NM01
 J-フォン『J-SA03』。サイズ:48(W)×94(H)×25(D)mm(折りたたみ時)、99g。シルバーシェル(写真)、チェリーブロッサム、ベリーピンクの3色をラインアップ。  J-フォン『J-NM01』。サイズ:48(W)×94(H)×25(D)mm(折りたたみ時)、99g。パウダーブルー(写真)、コーラルローズ(J-フォン東海/西日本のみ)をラインアップ。

 両製品の違いやモバイルカメラの出来などを踏まえながら、それぞれの製品をレビューしてみよう。


7色に光るサブディスプレイを装備

 製品の細かいスペックなどについては、J-フォン各社の製品情報ページや「ケータイ新製品SHOW CASE」を参考にしていただきたい。ここでは実際の端末を触った印象を中心に紹介しよう。

 ボディはRZ-J90やC401SAなどと同じコンセプトに基づいた折りたたみ式デザインを採用する。しかし、折りたたんだときの印象はJ-SA03がRZ-J90などに似ているのに対し、J-NM01はグラフィックやカバー部分の処理などの違いにより、やや異なった印象を受ける。J-SA03にはチェリーブロッサムというカラーバリエーションがラインアップされているが、個人的にはノキアのコーラルローズとパウダーブルーの方が品が良く見える気がする。意外に、年齢層を問わずに持てるのではないだろうか。ちなみに、両モデルとも折りたたみ式ボディの開閉動作に効果音が割り当てられている。


J-SA03(閉) J-NM01(閉)
 ボディを閉じたときの印象はJ-NM01の方が品が良く見える。  トップパネルのデザインも微妙に異なる。

液晶

 液晶ディスプレイはフロントライト式のカラー液晶を採用。やや奥まったところにセットされている。色味も全体的に薄い印象だ。
 液晶ディスプレイは他の三洋電機製端末同様、120×160ドット/256色表示が可能なSTNカラー液晶を採用する。光源はフロントライト式を採用しているため、やや奥まった場所に液晶パネルがセットされている印象だ。サイズは実測値で30×40mmとなっており、折りたたみ式としてはトップクラスの画面サイズだ。ただ、全体的に色味が薄く、暗い印象は残る。その半面、屋外での視認性は良好だ。

 また、メールやウェブの画面はフォントサイズを10/12/16/20ドットの4段階で変更できるようにしているため、メール画面は全角で6文字×6行、7文字×7行、10文字×9行、12文字×11行での表示が可能だ。さすがに20ドットフォントは大きすぎる気もするが、年齢層や視力を考慮して、こうした選択肢を用意していることは評価できる。ただ、液晶ディスプレイがあまり明るくないので、太字フォントも用意しても良かったのではないだろうか。


サブディスプレイ

 J-NM01のサブディスプレイ。バックライトは7色に光る。
 液晶パネルの裏側には、サブディスプレイを装備する。これもC401SAなどと共通だが、バックライトが7色に光る点が異なる。掛けてきた相手によって5色に変化させたり、後述するモバイルカメラでシャッターを切るときやセルフタイマーなどで撮影するときにも光る。ただのディスプレイで終わらせていない点は評価できる。

 ボタン類はレイアウトこそ変わらないが、デザインは2機種でハッキリとした違いを見せている。J-SA03はメタリックの楕円ボタンで構成しているのに対し、J-NM01は独特のデザインのボタン(ティアドロップデザインとでも言うべき?)をレイアウトしている。テンキー部分はJ-SA03の方がキートップが大きく使いやすいが、中央のマルチカーソルキー部分はJ-NM01の方が大きく押しやすい。マルチカーソルキーの左右には[J-スカイ]ボタンと[メール]ボタンを配し、最上段には場面によって機能が変更されるソフトキーをレイアウトしている。

 ちなみに、[J-スカイ]ボタンは「メール」「ウェブ」「ステーション」のいずれかの直前に利用したメニューが表示され、[メール]ボタンは通常が新規メール作成、長押しがメールボックス表示に割り当てられている。これらのうち、メールボタンの割り当ては、ユーザーによって使いにくく感じるかもしれない。メールを頻繁に出す人にはこの割り当ててでも問題ないが、メールの受信が中心のユーザーには逆の方が使いやすくないだろうか。


J-SA03(ボタン) J-NM01(ボタン)
 ボタンデザインは2機種で明らかに異なる。  J-SA03は無難なデザインだが、J-NM01はティアドロップ型とも言えるボタンデザイン。

 メールは4つのフォルダに振り分けて管理することができ、フォルダ名は自由に変更することができる。振り分けは手動だけでなく、各フォルダごとに7人まで登録しておき、自動的に振り分けることもできる。これはなかなか便利な機能だろう。


NOKIA Picsは便利!

カメラ

 背面にモバイルカメラを内蔵。デザインは共通。ミラーがやや小さいので、自分撮りやツーショット撮りはやや難しい。
 両製品とも背面にはモバイルカメラを装備している。このモバイルカメラは7万画素のCMOSイメージセンサーを採用したもので、カメラ部の横にはおなじみのミラーも備える。ただ、シャープ製のJ-SH04/05/07に比べ、ミラー部分が小さいため、自分撮りやツーショット撮りは今ひとつ使いにくい印象も残る。また、シャッターは方向キー中央の[OK]ボタンだけでなく、側面の[メモ]ボタンを利用することもできる。

 カメラモードへの切り替えは、ともに[*]キーの長押しに割り当てられており、非常にわかりやすい。feelH"の[H"]ボタン長押しに共通する考え方だ。今後、各社からカメラ内蔵ケータイが登場してくることは容易に予想できるが、開発者の方にはカメラモードへの切り替えをぜひわかりやすいキー割り当てにしていただきたい。

 撮影そのものはいたって簡単だが、折りたたみ式ボディの片側に液晶ディスプレイ、もう片側の背面にカメラが装備されているため、液晶ディスプレイをファインダーとして撮影すると少し違和感がある。思うように、被写体を合わせることができないのだ。撮影した画像はJPEG及びPNG形式で保存することができ、ロングメールに添付して、パソコンや他の端末に送信することが可能だ。

 ただ、この「他の端末に送信する」という部分で、両機種に決定的な違いが見られる。現在、JPEG及びPNG形式の画像を添付したメールを受信し、端末で見ることができるのは、J-フォン端末、au及びツーカーのEZweb@mail対応端末に限られている。NTTドコモのiモードメールは503iシリーズから「画像付きメール対応」としているが、これは画像が保存されているURLが送信できるだけで、一般的な画像添付メールには対応していない。そのため、J-SA03で撮影した画像をiモード端末に添付メールで送信しても何も見ることはできないわけだ。また、他の画像付きメール対応端末でも画面サイズに合わないため、うまく待受画面に設定できないということも起きる。

 そこで、J-NM01ではユーザー向けに「NOKIA Pics」というサービスを提供している。これはJ-NM01専用のサービスで、画像付きメールに対応していないiモード端末をはじめ、他の端末に撮影した画像を送信できるというサービスだ。NOKIA Picsはノキアがサーバーを提供し、登録ユーザーがそこを介して、画像付きメールを送信するという仕組みだ。送信した画像はサーバー上に保存されているため、画像添付メールが扱えないiモードなどでも画像を参照することができるわけだ。


NOKIA PicsでN503iに画像付きメールを送信

 まず、J-NM01の内蔵カメラで画像を撮影しておき、J-NM01に登録されているブックマークから「NOKIA Pics」に接続する。登録したIDと暗証番号を入力してログインし、登録してあるアドレス帳から宛先を選ぶ。続いて、[メール作成]と書かれたリンクを押し、[選択]キーを押していくと、NOKIA Picsの専用メールアドレスが宛先に代入されるので、あとは端末に保存されている画像を添付して、メールを送信するだけだ。

 画像を送られたユーザーにはURLが書かれたメールが送信されてくるので、そこに接続し、表示された画像を画面メモなどで保存する。表示されている画像は拡大や縮小、コントラストの変更ができるだけ、自分の端末にフィットする形で保存することもできる。


手順

PCからアクセス

 送られてきたURLにPCでアクセスすると、同じように画像を見ることができる。
 ちなみに、J-NM01ユーザーであれば、NOKIA Picsは無料で利用することができ、送信された画像は30日間保存される。また、現在は提供されていないが、今後、指定した日時にメールが送信できる「タイマーメール」も提供される予定だ。

 こうしたサーバー経由の画像変換サービスは、すでにいくつか提供されているが、拡大/縮小やコントラストの変更などを含め、作り込んであるサービスはない。事業者自身が提供することは難しいかもしれないが、メーカーとしてこうしたサービスを提供したことは高く評価できる。画像添付メールが使えないiモードユーザーに対し、モバイルカメラで撮影した画像をNOKIA Pics経由で送り、自慢するというのもなかなか楽しい使い方だ(笑)。


モバイルカメラを楽しく使うには?

 さて、最後にいつものように、買いの診断をしてみよう。J-SA03とJ-NM01は折りたたみ式を採用し、モバイルカメラを内蔵するなど、J-フォン端末のトレンドをしっかり押さえている端末だ。ハードウェアは基本的に共通のものだが、デザインやサービスの提供などに微妙な違いを見せている点も興味深い。

 まず、おすすめできるのは手軽にモバイルカメラを使いたいユーザー層だろう。現在のJ-フォン端末のラインアップ中で、先週紹介したJ-SH07が最強モデルであることは間違いないが、JavaアプリやTFTカラー液晶によるバッテリー駆動時間の短縮を考慮すると、やや躊躇する部分もないわけではない。価格的にも3万円前後と高価なため、なかなか手を出しにくいというユーザーもいるだろう。そういったユーザーが手軽にモバイルカメラを楽しみたいのであれば、J-SA03やJ-NM01はおすすめの端末だ。やはり、実売価格で1万円もの差は大きいだろう。

 ただ、モバイルカメラを使うという観点で見た場合、本当に「買い」と言えるのはJ-NM01の方だろう。J-SA03も同じようにモバイルカメラを使うことができるが、NOKIA Picsがあるのとないのとでは、かなり活用の範囲が異なる。モバイルカメラで撮影した画像は端末の画面で見ることも楽しいが、やはり、友だちに送ってこそ、意味が出てくるというもの。その点、J-NM01にはモバイルカメラを楽しく使うための仕掛けとして、NOKIA Picsが用意されており、思う存分、活用することができる。友だちがどこのケータイを使っているのかは気にせず、いろいろ撮って送って遊ぶことができるからだ。

 惜しむらくは液晶ディスプレイの出来と発売のタイミングだろう。両モデルにはフロントライト式のカラー液晶が搭載されているが、半年前にRZ-J90やC401SAに搭載されて登場したときはそれほど不満を感じなかったものの、TFD及びTFTカラー液晶を搭載した端末が登場した現状ではやや見劣りがする感は否めない。その点さえ納得できるのであれば、「買い」の候補に加えても何ら問題のない端末と言えるだろう。

 また、これはメーカーの責任によるところが大きいのかもしれないが、J-SA03の発売時期については非常に残念な限りだ。当初の発表では、J-SA03は4月上旬に発売される予定だったが、6月半ばまでずれ込んでしまい、結果的にJ-SH07とバッティングすることになってしまった。そのため、Javaアプリに対応していないなどのマイナス点も生まれている。開発を急ぐあまり、不具合が発生するのは勘弁して欲しいが、あまり発表時とのスケジュールがずれてしまうのも消費者に対する責任を果たしていないのではないだろうか。もし、発売時期がズレるのであれば、事業者とメーカーからはきちんとしたコメントを発表して欲しいところだ。


・ J-SA03ニュースリリース(J-フォン東日本)
  http://www.j-phone-east.com/company/n/2000/010214.htm
・ J-NM01ニュースリリース(J-フォン西日本)
  http://www.j-phone-west.com/press/ms/130405_1.html
・ J-NM01商品情報(ノキア)
  http://www.nokia.co.jp/products/nm01/

J-SA03 (SANYO)


(法林岳之)
2001/07/03 00:00

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