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個性派モデルで多様なユーザーニーズに応える702iSシリーズ
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、PDAに至るまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindowsXP基本編完全版」「できるポケット LISMOですぐに音楽が楽しめる本」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。asahi.comでも連載執筆中


左からD702iF、P702iD、N702iS、SH702iS、M702iS、M702iG
 NTTドコモは7月4日、夏商戦向けモデルの第2弾として、FOMA 702iSシリーズ6機種を発表した。市場ではすでにFOMA 902iSを中心としたnew 9シリーズが順次、販売されているが、702iSシリーズはこれに続く形で投入される。詳細については発表会レポートが掲載されているので、そちらを参照していただきたいが、ここでは筆者が発表会で試用した印象を中心に、各モデルのインプレッションを紹介しよう。


コンセプト重視路線を継承するFOMA 702iSシリーズ

 FOMAの契約者数が半数を超え、いよいよ本格的にムーバからFOMAへの移行が進みそうなNTTドコモ。しかし、その一方で、今年は番号ポータビリティが控えているということもあり、例年以上にラインアップが拡充されるペースが早い。

 FOMA 70Xiシリーズについては、2005年2月からFOMAの普及モデルとして、ラインアップされてきたが、今年1月に発表されたFOMA 702iシリーズではクリエイターとのコラボレーションモデルを加えるなど、少し方針を変更したようだ。今回発表されたFOMA 702iSシリーズ6機種も今年1月からの新生FOMA 70Xiシリーズの路線を継承したようで、個性とコンセプトを重視したモデルがラインアップされている。それぞれのモデルを発表会で試用した印象を紹介しよう。


D702iF

D702iF
 ファッションデザイナーの幾田桃子氏とのコラボレーションによって開発されたD702iFは、女性ユーザーを強く意識したモデルだ。型番末尾の「F」は「Fashinable(ファッショナブル)」「Feminine(フェミニン)」から取っている。マーキスラインと呼ばれる少し縦長に見えるボディが特徴的だが、手に持ったときのフィット感も良く、なかなか持ちやすい。端末を開くとき、ネイルなどを傷つけないように、サイドラインに丸みを持たせたとのことだが、正直なところ、もっと開きやすいデザインの端末もあり、まだ十分ではないという印象も残る。

 搭載されるコンテンツも外観デザインと一貫した世界観のもので、内容もかなり女性ユーザー向けのものとなっている。機能的には側面の[MEMO]キーを長押しすることで、着信音を鳴らし、電話が掛かってきたように見せられる「ほっとメロディ」が注目される。同様の機能はNシリーズなど、他機種でも過去に搭載されてきたことがある。実機を触ってみて、少し気になったのは方向キーの操作感だ。全体的にフラットに仕上げられていること、操作するユーザーの指の太さなども大きく関係するが、今ひとつ操作しにくい印象が残った。

 これだけ女性向けであることを強く打ち出した端末というのもあまり過去に例がないが、「女性向けだから……」というコンセプトに対し、「YES」も「NO」もあり得ると推察されるので、その点が女性ユーザーにどのように受け入れられるかが判断のポイントになりそうだ。


画像左から、ライラック・ミラージュ、コーラル・コーラル、グリーン・エア、ホワイト・サンド

FOMAの基本機能に加え、フルブラウザも搭載する 女性ユーザー向けの工夫が随所に見られる

P702iD

P702iD
 昨年秋に発売されたP701iDに引き続き、グラフィックデザイナーの佐藤卓氏とのコラボレーションによって開発されたモデルだ。基本的に、従来のP701iDのデザインを継承し、トップパネル側(メインディスプレイ裏側)に埋め込まれたLEDが光る「ヒカリドロップス」が楽しめる。対応サービスも着うたフル、プッシュトーク、着もじと充実し、SD-Audio対応の音楽再生機能も搭載されている。

 ボディ形状とカラーリングのバリエーションも継承されているが、手に持った印象は従来モデルとの差があまり大きくない。目新しいところでは通話中の声を分析し、通話後にFlashによる45パターンのアニメーションで、その通話中の気持ちを表現する「Feel*Talk」が搭載された。遊び要素の機能としてはなかなか面白いのだが、アニメーションするキャラクターの表示が大きくなく、最初は何が動いているのかが今ひとつわかりにくい。

 端末そのもののデザインや対応サービス、ワンプッシュオープンなどのメカニズムも特徴があり、なかなかお買い得感のある端末に見えるが、従来モデルとの差別化が今ひとつ伝わりにくい印象もあり、ややインパクトに欠ける感の残る端末とも言えそうだ。


左からスクエア・ブラック、スクエア・ホワイト、ラウンド・シルバー、ラウンド・コーラル

シンプルなデザインのP702iD ヒカリドロップス、着うたフルなどに対応

N702iS

 デザイナーの佐藤オオキ氏とのコラボレーションによって開発されたモデルだ。コップをイメージしたというデザインは、光る卓上ホルダともマッチして、デザイン的にも非常に新鮮なイメージだ。トップパネル側の小さい○は飲料の気泡をイメージしたもので、カメラやサブディスプレイ、カメラライト、LED、スピーカーによって、構成されている。端末の先端及び底面部はフラットになっており、卓上ホルダがない状態でも端末が単独で立つ。

 非常にユニークなのは3軸の加速度センサーが搭載されている点で、加速度センサーの反応に合わせて、待受画面をアニメーションさせたり、時計などの機能を連動させることができる。赤外線通信も開いた端末を水を注ぎ込むように傾けると、送信が開始されるなど、なかなか芸が細かい。この加速度センサーについては、特に仕様を公開する予定がないため、当面はN702iSに搭載されている機能のみで利用できる。ただし、メーカー側が仕様を把握しているので、NECの公式サイトなどで追加データが配布されることはあるかもしれないとのことだ。

 この他にもイヤホンマイク端子を敢えて丸型コネクタにして、ストローに見立てるようにしたり、8種類のスタイルプラスはいずれもドリンクをイメージしたカラーにするなど、全体的に見て、作り手のこだわりが感じられる端末だ。


N702iS Mineral Water Strawberry Milk
Cafe Latte

水泡のようなデザインのアクアイルミネーション 加速度センサーを使ったユニークなインターフェイス

8種類のスタイルプラスを用意

SH702iS

 今回発表された6機種の内、クリエイターとのコラボレーションモデルではなく、スタンダードな位置付けになるモデルだ。ボディは通常の折りたたみデザインで、2.4インチモバイルASV液晶を搭載していることもあり、やや大ぶりな印象だ。手に持った印象もSH902iSやSH902iとほとんど変わらない。ただ、SH702iDに比べ、画面サイズが大きくなったため、より幅広いユーザー層が利用できる端末に仕上がったという印象だ。

 サービスはプッシュトークや着もじに対応し、フルブラウザも搭載される。SH902iSでは中央の決定ボタンでPIM機能やICカード機能などをロックできる「まとめて簡単ロック」が搭載されているが、SH702iSにも同様の機能が受け継がれている。FeliCaは搭載しないが、電話帳などのプライバシーを守ることを考慮しての搭載だそうだ。

 プライバシーという点では視野角の広い液晶ディスプレイを横からのぞき込まれないようにするため、「プライベートフィルタ」という機能が搭載されている。D902iSに搭載されている「オンリービュー」同様、画面のコントラストを下げて、周囲からのぞき込まれないようにするしくみだ。

 他のデザイン端末ほどの個性はないが、機能的にFOMA 902i/iSシリーズに匹敵する内容になっており、お買い得感の高いモデルと言えそうだ。


SH702iS オレンジ
ホワイト
ブルー

大型ディスプレイとフルブラウザを搭載 90Xiシリーズに近い機能を搭載している

M702iS/M702iG

M702iS

M702iG
 FOMA端末としては最薄の14.9mmを実現したM702iS、それをベースにしたグローバルモデルがM702iGだ。モトローラとしては、昨年のFOMA M1000に続く、NTTドコモ向けの端末開発で、同社初のiモード端末ということになる。デザインはモトローラが海外で販売する「RAZR V3」をベースにしたもので、アルミボディとステンレスキーが独特の質感を醸し出している。

 M702iSが通常のFOMA 702iSシリーズという位置付けに対し、M702iGはGSM方式にも対応したグローバルモデルということになる。両モデルの機能差はあまり多くなく、GSM対応以外の部分ではカメラの画素数、マクロ撮影の対応、カメラ用ライトの有無、赤外線リモコン機能の有無などで、M702iGはボディの厚さと高さが少し大きくなっている。ステンレスキーはキーの切り方(デザイン)が若干、異なるが、割り当てられている機能は変わりない。

 メニュー画面などは分割アイコン形式を採用しているものの、国内メーカーの端末とは少し趣が異なり、画面上部に選択している項目名が表示される。操作には若干の慣れが必要とされそうな印象だ。M702iSは3G、M702iGは3G/GSMの国際ローミングに対応しているが、海外でのiモードやiモードメールに加え、iチャネルにも対応している。海外でも最新情報が随時、得られるのはなかなか便利だが、海外でのパケット通信はパケ・ホーダイなどの割引サービスが適用されないため、その点は十分に注意する必要があるだろう。iチャネルの海外利用については、更新を有効にするか否かを設定することも可能だ。

 機能面では、70Xiシリーズ初のBluetooth搭載が注目される。ちなみに、モトローラは日本市場で「H500」というコンパクトなBluetoothヘッドセットを販売している。M702iSとM702iGのBluetoothの対応プロファイルは未定としているが、基本的にはベースのRAZR V3に準じることが予想される。

 ハードウェア的には両モデルとも外部接続端子がUSBのminiB端子となっているため、FOMA用ACアダプタをUSB miniB端子に変換するアダプタが同梱される。苦肉の策という感は否めないが、独特のボディ形状や薄さなどを考えれば、しかたないと言えなくもない。ただ、海外メーカーでも日本市場に仕様を合わせた端末を供給するところが登場している。ボリュームゾーンをターゲットにした70Xiシリーズだからこそ、修正すべきではなかったのだろうか。

 また、まったく根拠のない推測でしかないが、先日も本誌のニュースで報じられたように、モトローラはアジア市場向けのプロモーションキャラクターとして、世界的なプロサッカー選手のデビット・ベッカムと契約しており、もしかすると、ベッカムを使ったM702iSやM702iGの広告などが見られるかもしれない。


M702iS Neo black Hot pink Cool silver

M702iG ボルドーパープル スパークリングホワイト

M702iSはW-CDMA方式、M702iGはW-CDMAとGSM方式の国際ローミングに対応 英語の予測変換機能やBluetoothに対応

FOMA 70Xiシリーズの方向性

 NTTドコモはムーバ時代、普及モデルの20Xシリーズ、主力モデルの50Xiシリーズという位置付けで、端末のラインアップを構成してきた。FOMAでも主力モデルと普及モデルというラインアップ構成を狙ったが、日本全体で9,000万契約を超える市場においては、単純な機能や対応サービスの差などによって、主力モデルと普及モデルを差別化することが難しくなっている。

 それに対する解のひとつが今年1月の新生FOMA 70Xiシリーズであり、今回のFOMA 702iSシリーズではその方向性がさらに鮮明に見えてきた感がある。FOMA 90Xiシリーズについては従来同様、すべての機能を網羅した高機能モデルとして展開するが、FOMA 70Xiシリーズについては個性とコンセプトを重視した端末を開発し、ユーザーの多様なニーズに応えようという考えなのだろう。ただ、その一方で、発表会の質疑応答で指摘されたように、FOMA 901iSシリーズなど、旧機種の在庫が残っていることも事実で、販売店としては売り方が難しくなってきたとも言える。

 今回のラインアップでは、N702iSのこだわりの演出、M702iSの独特の質感、SH702iSのお買い得感などが印象に残ったが、個性やコンセプトのハッキリしたモデルだけに、ユーザーによってはまったく違うモデルが響くかもしれない。対応サービスや機能差が見えにくいことも気になるが、発売時に本誌記事などを参照して、自分だけのお気に入り端末を選んで欲しい。



URL
  ニュースリリース
  http://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/page/20060704.html
  製品情報
  http://www.nttdocomo.co.jp/product/foma/702i/index.html

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(法林岳之)
2006/07/06 12:00

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