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私鉄の普通・特急と東海道新幹線でCDMA2000 1x接続を試す
山田道夫
1996年に開設したサイト「携帯電脳」を模様替えし、1999年1月スタートしたWeb&メールマガジン「MOBILE NEWS」編集長。モバイルノートPCからデジタルガジェットまで「小さくてデジタルなもの」にこだわった最新情報を提供している


今回試用したのは「A1011ST」
 モバイルのための通信手段もさまざまな方法が可能になった。また、今後も楽しみな方式がいろいろ登場してくるようだ。現在、個人が外でノートPCやPDAを利用して通信を行なう場合、人気のあるのはDDIポケットによるAirH"による通信だろう。定額方式もあること、128kbpsに対応したこと(ベストエフォート方式で実際にはとてもそこまでの速度は出ないが)、パケット通信を利用した部分が中心なため、移動中も切断されにくいことなどメリットが大きい。

 しかし、AirH"にも苦手な点はある。料金はこの際おいておく。これはどこまでデータ通信するかによって大きく異なってくるとはいえ、定額も可能になりまずまずの状態だと言える。これは実際に試してみた結果だが、Webサイトをブラウズしていると、新幹線の車中では、AirH"をもってしてもほとんど更新されなくなる。切れてしまうことは、トンネル内にもアンテナが設置された結果もあってかほとんどないが、高速で移動中はほとんどまったくといっていいくらい更新されなくなってしまう。首都圏の高速電車でもゆっくりとは言え更新されていたのが、新幹線の車中ではほとんど更新されなくなってしまうのはとても残念なことだ。


CDMAでは新幹線の車中でも通信が可能

144kbpsパケット通信に対応したauの「USBケーブルC」
 一方、かねてより、auのCDMA方式はパケット通信として新幹線で移動中でもデータ更新が可能など、高速移動に強いということでは定評があった。それが、4月よりCDMA2000 1xに対応し、144kbpsのデータ通信が可能になるなど機能強化されている。必要なのは対応の携帯電話とUSB接続のケーブル「USBケーブルC」、ノートPCなど。auの対応する携帯電話をすでに使っている人にとってはUSBケーブルを購入するだけで利用可能になる。ただし、価格的には1万円を越え、お手軽とはいかないようだ。

 筆者はKDDIよりA1011STとUSBケーブルを借りたので、4月中(4月19日、20日)であったが実際に私鉄や新幹線、適当な場所で接続や速度を試してみた。利用したノートPCは日本IBMのThinkPad s30(Windows XP Homeモデル)、プロバイダーはau.NETだ。試用させていただいたのは、「SPEED TEST」で、ここにアクセスし、3回ストップウォッチで計測している。

 筆者が計測したところでは、なぜか最初の回が一番速い場合が多かったようだ。ちなみに、筆者の事務所(東京都江戸川区)では、1回目が42.4kbps、2回目が82.4kbps、3回目が69.8kbpsだった。アンテナは1本か2本程度だ。かなり速度にばらつきがあることがわかる。なお、最速だったのは、本八幡駅近くの蕎麦屋で100kbpsを越えた。

 なお、これらは実際に計測したものではあるが、条件が異なればまた異なった結果になるだろう。また、KDDIも日々環境を向上させているであろうから、あくまで参考程度に考えていただければと思う。

 しかし、料金は結構微妙というか厳しいかもしれない。30分弱、あまり熱心でもなくテキスト中心のWebをブラウズしたら、200万byteを越えていた。128byteが1パケットなので、おおよそ2万パケットくらいということになる。

 PacketOneミドルパックで契約している場合は2400円/月で1万円分、PacketOneスーパーパックの場合は8500円/月で4万5000円分の無料通信分が用意されている。ミドルパックの場合、ざっと考えて5時間程度のWebブラウズ、スーパーパックでは20~30時間程度まで基本料で利用できるという感じだろうか。もちろん、利用の仕方によってデータ量が全然違うのでこの計算もあまりあてにはならないのだが。超過した場合は、ミドルパックが0.03円/パケット、スーパーパックが0.02円/パケットとなる(ただし、au.NET利用の場合は、プロバイダ料込みで5割ほど高くなる)。Webブラウズ中心だとスーパーパックでもちょっと辛いかもしれない。


東京私鉄車内での速度(江戸川→日暮里、京成本線)

 江戸川駅から日暮里まで電車の中からSPEED TESTに接続をし計測し続けてみた。江戸川駅で106kbpsが出たのが最高だった。3回計測したら2回目は85kbps、3回目は87.1kbpsだった。移動中は10数kbpsから30数kbpsくらいが多いようだ。十分実用的だ。駅での停車中やあちこちでは、80kbpsを越えるくらいだろうか。何度か切断されたりしたが原因がどこかはわからない。


 江戸川駅で計測した1回目では106kbpsを越えた。100kbpsを越えることはあまりない。


江戸川駅計測1回目 江戸川駅計測2回目 江戸川駅計測3回目

 江戸川→小岩間は38.5kbpsと遅くなったが、移動中であることを考えるとまあまあの速度だろうか。接続は比較的安定している。


江戸川?京成小岩間 京成小岩?京成高砂間 京成高砂駅

京成高砂?青砥間(1) 京成高砂?青砥間(2) 青砥駅

 青砥からは特急に乗り換えたため、駅に停車することなく日暮里まで計測した。各駅の電車では安定していたが、こちらではかなりばらつきが出てきた。閲覧中のページがほとんど更新されなくなる場合もあった。


【特急】青砥?日暮里間(1) 【特急】青砥?日暮里間(2) 【特急】青砥?日暮里間(3)

【特急】青砥?日暮里間(4) 【特急】青砥?日暮里間(5) 【特急】青砥?日暮里間(6)

【特急】青砥?日暮里間(7) 【特急】青砥?日暮里間(8) 日暮里駅


新幹線車内での利用(東京→掛川、東海道新幹線)

 東京駅ではなぜかアクセスできず。リスタートしているうちに筆者が乗車したこだまは発車してしまったので、新横浜の手前から計測した。新横浜までは30kbpsを越えるくらいのアクセスが可能だった。144kbpsのサービスエリア外に出てしまったので、最高でも64kbpsということになるが、新幹線での移動中でも結構実用的だと感じた。ただし、駅で停車中でも30kbpsに満たない場合も多い。また、何度かエラーとなった。これはタイムアウトということなのだろうけれど、どこに原因があるかはよくわからない。試用したのがトンネルの中でも利用可能になった後だったため、切れるということもない。

 周囲が開けたところを通過中の時は、多少更新が遅くても、じりじりと更新されていくようだ。新幹線の移動ということでは、かなり実用的なサービスだといえる。問題というかネックは価格だけだろう。江戸川・日暮里間でおおよそ370万byte、新横浜の手前から掛川までで900万byte弱だった。ということは、2万9000パケットと7万パケットくらいになる。もっともこれは、頻繁にダウンロード速度の計測のために、ダウンロードしている結果でもある。接続時は常にダウンロードしているような状態だったため、実際にWebサイトを見たりメールを送受信する場合よりは、はるかにパケット量は多くなっていたと思う。


 新幹線では基本的にかなり遅い速度となる。とはいってもまったく更新されないということではないので、気長に待つしかない。駅間によっては極端に更新されにくい箇所もある。


東京?新横浜間 新横浜?小田原間(1) 新横浜?小田原間(2)

新横浜?小田原間(3) 新横浜?小田原間(4) 新横浜?小田原間(5)

新横浜?小田原間(6) 新横浜?小田原間(7) 小田原駅


小田原?熱海間のトンネル 小田原?熱海間 熱海駅

熱海?三島間 三島駅 三島?新富士間

新富士駅 新富士?静岡間 静岡駅

静岡?掛川間(1) 静岡?掛川間(2) 掛川駅


結論に代えて

 月に何度か新幹線を利用する機会があって、その間Webサイトを見たいなという人には結構いいサービスだと思う。もちろん、メールの確認などにもいいだろう。AirH"の場合は、駅間でも接続が切れるということはないが、更新はほとんどできなくなってしまう(やり続けていれば可能な場合もある)。しかし、CDMA方式の場合は、高速だとは言い難いし、144kbpsでサポートされている場所もまだまだ限られているようだが、切断されたりせずにゆっくりでも更新される。速度さえ気にしなければかなり実用的だと思う。また、アンテナ本数が3本でも、地下街などだとタイムアウトになってしまう場合もある。

 問題となるのは、料金体系だけだろう。定額がないため、使い方によってはかなり割高になってしまう可能性がある。グラフィックを表示させないなどの工夫が必要かもしれない。

 今後、新幹線でも無線LANを利用可能になるとかしない限り、当面はcdmaOneの利用が一番現実的な選択かもしれない。FOMAのアクセスポイントが増えたりすればまた別の選択が可能になるかもしれないが。



(山田道夫)
2002/05/17 13:54

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