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jornada 568の日本語入力環境はすてきだ!
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山田道夫 1996年に開設したサイト「携帯電脳」を模様替えし、1999年1月スタートしたWeb&メールマガジン「MOBILE NEWS」編集長。モバイルノートPCからデジタルガジェットまで「小さくてデジタルなもの」にこだわった最新情報を提供している |
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jornada 568とPocketキーボード
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Pocket PC 2002を搭載した日本ヒューレット・パッカード(以下hp)のPDA jornada 568の日本語入力環境について新たな動きがあった。筆者も2週間程度の短期間だが、jornada 568のpocketキーボードや日本語の手書き入力環境であるDecumaを使用する機会に恵まれ、非常に気に入ったので、ご紹介したい。
日本hpでは、『“入力”ならジョルナダ! キャンペーン』を4月15日まで実施中で、期間中はjornada 568本体と同時購入すればpocketキーボードが3000円、手書き日本語認識ソフトウェア「Decuma Japanese」は無償で入手できる。
なお、jornada 568本体のレビューは、すでに広野忠敏氏が本誌連載「おとなのおもちゃ」の2月13日の回と2月20日の回で詳しく取り上げているので、そちらをご参照いただきたい。ここでは、日本語入力環境に絞ってご紹介していく。
jornada 568とpocketキーボード
日常的にjornada 568とpocketキーボードを持ち歩いて使ってみたところ、キーボードを装着したことでサイズ的には大きくなるが、これが実はあまり気にならなかった。大きい割に軽く感じるからかもしれない。pocketキーボードを取り付けたjornada 568は、非常にスタイリッシュでスポーティな車を連想させる(もっとも、液晶カバーを閉じた状態だと、うちのカミサンに言わせれば、昆虫を連想してしまうという)。蓋を跳ね上げる機構や材質はよく見ると少々安っぽい気もするが、ぱっと見た時の印象は大変すばらしい。一見キーボード一体型のPDAのように見えるほど、本体と馴染んでいる。
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液晶カバーを跳ね上げるとそれなりに本体は長く見える
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標準付属のカバーと比較してみた。右の標準のカバーより本体は少しだけ大きいだけだから、かなり大きくなることがわかる
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個人的にはザウルスのキーボードが気に入っているのだが、ザウルスと同程度には入力可能だと感じる。ザウルスの場合は、キーボードを引っ張り出すタイプのため、筐体の表面より低いところにキーボードがある感じで、端の文字を打とうとすると壁にぶつかってしまうことがあったが、jornada 568では当然そういったことはない。日常的にメールが多いユーザーとか、長いメモなどを書いたりするユーザーには非常にいいと思う。やはり、キーボードに慣れた筆者には親指によるキーボード入力でもキーボードからの入力はとても快適だ。
キーボードは小さいながらもクリック感がしっかりしていてなかなか入力しやすい。キーボードのキーのレイアウトは、標準的なQWERTYキーボードだが記号などのレイアウトには特色がある。Back Spaceは2行目、Enterキーは3行目にあるので慣れないうちは間違えやすい。筆者の場合、特に「p」とBack Spaceは頻繁に間違えていた。
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英字の配列は標準的なQWERTYだが、記号や特殊キーはそれなりに入力が面倒だ。スペースバーが大きいのはいい
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入力は両手で持って親指で行なう。片手で持って持った方の親指で入力できないこともない
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さて、ドライバのインストールが終了しても、そのままではキーボードからの入力ができない。実は、pocketキーボード用のドライバは通常のプログラムのようで、「hpポケット・キーボード」ソフトウェアを起動する必要がある。
jornada 568のpocketキーボードでは、ローマ字入力を行う場合特殊な切り替えキーがないため、ソフトウェアキーボードを↑(Shift)+スペースバーで表示させ、スタイラスで「かな」「英数」を切り替えなければならない。ただし、「かな」入力モードで↑キーを押しながら入力すると、半角の英字が入力できる。そのため、日本語の中に英単語を入れるくらいだったらあまり切り替えずに利用できる。もちろん、最初の1文字目は大文字となってしまう。pocketキーボードなどを小文字で始まる文字を入力したい場合は、余分にPpocketなどと入力し、Pを削除したりする必要がある。文字の区切りはShift(↑)+→←で直すことができる。
jornada 568の電源のオンは、画面タップで電源オンにすることもできる(設定による)し、筐体向かって左側面の電源ボタンを押すことで可能だ。jornada 568の電源をオフにする場合は、特殊キー+スペースバーで電源オフは可能だ。もっとも、pocketキーボードを取り付けたまま電源をオンにしても、「hpポケット・キーボード」を起動していないと、pocketキーボードを外すして電源ボタンでオフにするか、pocketキーボードプログラムを起動した後で、特殊キー+スペースバーを押すしかない。
ちなみに、スリープから復帰した場合にすぐ入力することはできない。押したキーは、記憶されているようで少し後で文字が表示される。というわけで、ちょっと待ってから入力する必要がある。また、英字と日本語のキーの切り替えはキーボードからはできない。その他気になった点では、ctrlキーを使ったキーのオペレーションに慣れてしまっている筆者の場合は、ctrlキーがないのはかなり気になった。このほか、キーのコンビネーションで利用する特殊キー(黄色い左下のキー)も左下に配置されており、やや使いにくい。なお、escキーは一見ないようにも見えるが、これは特殊キー+PGDNキーで代用される。MS-IMEでも結構使うので、esc代わりに利用できるのは便利だろう。
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pocketキーボードを利用するためには、「hpアプリケーション」の「hpポケット・キーボード」を起動する必要がある
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「hpポケット・キーボード」では、各種の設定やキー入力の練習が可能だ
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jornada 568でかな入力時、ローマ字と半角スペースを入力する方法
かな・ローマ字字混じりの文を入力する場合、Shiftキーを押しながら入力することで、それなりになんとかなる。しかし、半角のスペースを入力する場合は、切り替えない限り無理がある。そこで、半角スペースを単語登録してしまえばいい。MS-IMEに単語登録するためのフリーウェアのユーティリティ「DicTool for Pocket PC」を使用する。
初期バージョンでは、スペースをはさんだりした英字などは単語登録できなかったような記憶があるが、現行バージョンでは問題なく登録できる。そこで、筆者は半角スペースは単語登録することで対処した。数字についても、もし余裕があれば、100くらいまでは単語登録してしまってもいいだろう。
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特殊キーとSYMキーを同時押しすると、特殊なキーの入力も可能だ
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DicTool for Pocket PCを利用すれば単語登録ができ便利に利用可能だ
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pocketキーボードでの片手入力
電車の中での立ちながらのキーボード入力は、結構つらいだろうと思っていた。試しにやってみたら、頭で考えていたよりは平気なようだ。右手と左手のどちらがいいかは、一概には言えない。筆者は右利きだがどちらが入力しやすいということはない。Enterが押しやすい分、右かなとも思うけれど。
まあ、両手ほどではないけれど、十分に入力は可能だと感じられる。ちょっとしたメモ程度だったら十分だろう。そういった意味では、片手入力が可能なわけで、手書きよりも電車の中で吊革につかまって利用したいといった場合にはいいかもしれない。もっともこれは、pocketキーボードに限らず、小型のキーボード全般に言える。
pocketキーボードの欠点?
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pocketキーボードを外す場合は、まず側面の電源キーをoffにして赤い部分が見えるようにする
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欠点の1つは、充電しながらキーボードを使えないことだろう。最初、取り付けと取り外しは面倒な気がしていたが、すぐに慣れてしまって、カバーのように上部だけ取り付けて使ったり、ちょっと浮かして使ったり、完全に取り外したり、場合によって使い分けている。取り外し方は、筐体向かって左側面のスイッチをオフにし、クレードル接続部分をぐいっと引っ張る。取り付ける場合は、逆の手順を踏むだけだ。最初はおっかなびっくりだったが、慣れてしまうと普通のカバーを使用している感じで利用可能だ。
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コネクタ部を引っ張って外す。あまり強く引っ張りすぎてはいけない
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ACアダプタはキーボードを浮かさないと利用できない
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pocketキーボードは、外付けとしては非常に良い仕上がり
筆者は、非常に気に入った。外付けのキーボードでは、入力しやすい製品もPalm用をはじめ各種すでに存在している。それらに比べてのメリットは、使っていても不自然ではない一体型のデザインであるという点だろう。キーボードを取り付けたとか、取り出したという違和感がないのだ。非常に整合性がとれた美しいデザインであるという点が大きい。もちろん、キーボードの入力のしやすさもこの手のキーボードではトップクラスだと感じた。そういったこともあって非常に魅力的な製品に仕上がっていると思う。
jornada 568とPDApex
PDAPexは、前回も簡単に紹介したが、Pocket PCやPalmデバイスでPS/2キーボードを利用可能にする赤外線アダプタだ。jornada 568でも利用可能だ。なんといっても、使い慣れたキーボードで利用可能なのが特色だ。筆者の場合、Ctrlキーが使えるからすごく快適に利用できる。もちろん、jornada 568では、ターガス・ストアウェイ・キーボードも利用可能なので、好みと使い方の問題になってくる。
キーボードと赤外線アダプタ、jornada 568の配置が難しいが、タッチタイプが可能であれば、奥にキーボード、真中に赤外線アダプタ、手前にjornada 568というのが一番なじむような気がする。新幹線などで利用する場合は、赤外線アダプタ、jornada568、そして膝の上にキーボードといった感じだろう。ただし、入力はしやすいものの、こういったニーズがどれだけあるは疑問で、折りたたみ可能なPS/2キーボードでもあればおもしろいかもしれない。
筆者の場合は、PS/2キーボードを使うことで、一般的なCtrlキーを使ったキーアサインの利用が可能になった。そのため、Pocket PCにおいても、ハンドヘルドPCやPCとそれほど変わりがない環境が利用可能になったのだ。わざわざそれなりにある大きさのキーボードを持ち運んでまで入力したいかという根元的な問いには目をつぶることにして、筆者はキーボードライフを楽しんでいる。
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jornada 568とPDApexの組み合わせは入力だけ考えれば非常に快適
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ただし、どこで使うか、あるいはわざわざ持って歩くかが問題だ
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Decuma Japanese
スウェーデンの会社の「日本語の手書き認識」システム。それだけ聞くと大丈夫なんだろうかと不安にならないだろうか。筆者も実際に使ってみるまでは、メーカーの方には申し訳ないけれどまったく期待していなかった。pocketキーボードを借りたら、一緒にDecuma Japaneseが付属していたので試しに使ってみたら、非常に使い勝手がよく驚かされた。
Decuma Japanseseは、現在ではjornada 568でしか利用できない(他のStrongARMマシンで利用できないのはプロテクトによる)。非常によく考えられており、また、使い勝手もいい。認識率もまずまずで手書き嫌いの筆者でも、あまり手書きが苦痛に感じらずに利用できた。
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Decma Japanseでは、漢字やひらがな、カタカナの文字種によってバックグランドの色が異なっている。文字の認識率はまずまずといったところだろう
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「あ/ア」入力モードでガシガシ入力している。左から3文字目が誤認識でカタカナの「ガ」になってしまったが、色が違うことで簡単に間違っていることが確認できる
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認識率だけを見ると、確かに悪くはないが、それほど極端に良いというわけでもないと思う。一番優れている点は、修正があまり苦痛には感じられない点だろう。
すべての日本語を入力可能な「標準」、ひらがなとカタカナとしてだけ認識される「あ/ア」、英数字として認識される「英数」という3つのモードを持つことで、数字の0と欧文のOを間違えて認識する可能性が減っている。誤認識の訂正の仕方は、間違っているマスをタップすればいい。候補が8個と削除するための「×」が表示される。候補にない場合は、×をタップして再度入力する必要がある。文字で書くとめんどくさそうだが、実際に入力してみると、自然な動作で訂正もさほど苦痛ではない。
「標準」入力モードでは漢字、ひらがな、カタカナ、英字、数字の入力が可能だ。簡単な漢字はここで入力すればいい。「標準」入力モードは、4マスしかないが、それ以上の文字を入力したい場合は左端のマスに続けて入力すればいいだけだ。
「かな」モードは6マスあり、ひらがなまたはカタカナとして認識される。複雑な漢字はここでひらがなで書いて「変換」をタップして変換させてもいい。「標準」同様、はみだした文字は最初から続けていけばいい。高速にひらがなを入力でき、たちまち漢字混じり文変換することが可能だ。
「英数」は8マスあり、英字と数字として認識される。これもなかなか認識率は高く、高速な入力が可能だ。ただし、1マスの幅が他の入力方式に比べて狭いので、筆者はまだ隣にまではみ出して書いてしまって誤認識させてしまうことがある。
また、文字種ごとに別の色を採用したことで、「カ」「力」や「ー」「一」「?」などの特にPDAの解像度の低いディスプレイで見た場合には区別がつきにくい文字も簡単に判断できる。似たような文字が認識された時でも、バックグラウンドの色を変えたことで似た文字でもわかりやすくなった。PDAでも高速なCPUを持ち、カラーだからこそ可能なインターフェイスであるとも言える。カラーだからこそ、色の違いによって文字種を変えて見せることができる。見てしまうとなんだというアイデアだが、これはすばらしいと思う。
もちろん、まだまだ足りない部分もあり、将来的には学習機能などを備え、各人の癖を学習してくれるようだ。不満な点は、OEM販売しか行わないため、jornada 568でしか利用できない点だろう。手書き嫌いの筆者でも、これだったらちょっとしたメモとかPIMの入力だったら、これで十分かなと思わせてくれる。
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アルファベットや数字中心であれば、英数キーがいいだろう。アルファベットの認識率は高い。筆者の場合は枠が狭いため、隣まではみ出して書いてしまって誤認識の元になってしまったりする
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訂正は四角い升をタップするだけだ。8個の候補の中に正しい文字があればタップするだけでいい。ない場合は、再度手書きする必要がある
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結論に変えて
日本語入力環境については、非常に気に入った。特にpocketキーボードは、何をどう気に入ったのかわからないというくらい気に入っている。この文章も、元になるテキストのほとんど(文章の量の比率で8割程度)は、pocketキーボードで入力したものが元になっている。今週は、ソニー、富士通、コンパックから各種のPDAの新発売が発表されており、筆者も試作機を発表会場で使ってみたりしたが、それでもjornada 568ごと購入してしまうかもというくらい気に入ってしまった。返却してしまってまだ1日しか経っていないが、ないのが寂しくて仕方がなくなってしまっている。外付けの小型キーボードが好きだという理由も大きいのかもしれないが。新型iPAQ Pocket PCの外付けキーボードのできを確認してから、どちらかを購入しようかと考えている。
・ ニュースリリース
http://www.jpn.hp.com/companyinfo/pressrelease/fy2002/cbo01jor568.htm
・ “入力”ならジョルナダ! キャンペーン(日本hp)
http://www.jpn.hp.com/hho/jornada/campaign/inputcampaign/index.html
(山田道夫)
2002/03/15 17:41
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