後半では、具体的に各製品を見ていく。記事中のバッテリー駆動時間は、実際に筆者が試したもののみ記載した。各社の基準がまちまちなため、カタログスペックを記載してもいたずらに誤解を与えるだけだと感じたからだ。また、記事中の実勢価格は、12月24日時点での量販店などの価格を元にししているが、ご存じの通り価格は生モノなので、あくまで参考として見ていただければと思う。
ソニー CLIE PEG-T600C(実売価格3万9800円)
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CLIE PEG-T600C デザインやインターフェイスは一新されている。従来の周辺機器は使用できなくなったが、今後を考えれば仕方のないことかもしれない。美しいデザインだ
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現在(2001年12月末)売れ行きナンバーワンは、発売直後ということもあって、CLIE PEG-T600Cのようだ。ボディカラーはロイヤルシルバーとサテンブルーの2色。従来機種からデザインが一新され、ボディはずっとスリムになった。カラーのPalm OS搭載機では、最薄・最軽量だという。バックライト付きで6万5536色表示の320×320ドットのカラーTFT液晶ディスプレイの表示は非常にきれいだ。118×71.8×12.5mm(縦×横×厚)と、コンパクトな筐体だが持ちやすさも問題ない。液晶カバーが標準で付属しており、デザインや色使いも美しい。画面の切り替えなどは、やや待たされる場合もあるが、我慢できないというほどではない。
PEG-T400同様、音楽機能はないが、別売のリモコンPEGA-SA10(実売1万2800円)で音楽機能も追加可能だ。ただし、バッテリーを入れ替えられないPDAでは、音楽機能の利用はなかなか難しい選択かもしれない。PIMを使いたい時に、利用できない可能性がなくもないからだ。警告が十分早めに出る本機の場合は、あまり心配しすぎる必要がないのかもしれないが。
メモリースティックGPSモジュール「PEGA-MSG1」(1万9800円)や メモリースティックカメラモジュール「PEGA-MSC1」(1万4800円)も用意されている。通信を行なうためには、リチウムイオン充電池を内蔵したカードアダプター「PEGA-CF60」(1万4800円)または、モバイルコミュニケーションアダプター「PEGA-MA15」(1万2800円)が必要だ。
オリジナルのソフトウェアも数多く、Palm機の非力なマシンパワーで十分に実用的な速度に仕上がっている点には素直に驚かされる。中でもNavin’ You Pocketは、PC用のNavin’ Youから切り出した地図のブラウザだが、十分に実用的な速度で描画が可能で、検索やGPS(別売)機能も使えて非常に面白い。もっとも、GPSモジュールは、残念ながら現状では実用的速度での測位は難しいようだ。地図ブラウザと素直に割り切った方がいいだろう。
欠点は、ボタンが押しにくいことだろう。特に、中央にあるスクロールボタンは1個に変更され、かなり押しにくくなったと感じる。Palm OS搭載機では、スクロールボタンを使って1画面ずつジャンプするソフトウェアが多いので、使い勝手としてはマイナスと感じる場面が多い。
また、単純なPIMブラウザとして使うなら問題ないが、使い方によってはバッテリーの持ちに不満が出るかもしれない。バックライトオフ、メモリースティックを入れない状態では6時間と言われている。筆者が実際にバックライトオンでメモリースティックを入れたままの状態でWWIIというゲームソフトをプレイし続けてみたところ、2時間42分で最初の警告が出て、その17分後に3、4回警告が出た後に電池切れで終了してしまった。標準では充電はクレードルからしか行なえないが、連続して使うことの多いユーザー、特に通信を行なうユーザーの場合は別売のバッテリーを内蔵したCF用のPHS用通信アダプタ「PEGA-CF60」の購入を考えた方がいいかもしれない。
総合的には非常に魅力的な製品だし、筆者も使えば使うほど気に入ってきている。ただし、オプションのGPSやカメラは機能があるなら全部使わないと気がすまないヘビーユーザーや、人を驚かせたいといったユーザー向けだろう。
□CLIE PEG-T600C製品情報 http://www.sony.co.jp/sd/products/Consumer/PEG/PEG-T600C/index.html
ソニー CLIE PEG-T400(実売価格2万9800円)
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CLIE PEG-T400 薄さとデザインが非常に魅力的。画面の描画速度がPEG-T600Cと比べて遅いので、店頭で実機を確かめた方がいいだろう
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モノクロの新型CLIEだ。液晶ディスプレイは16階調の深みのある黒に近い色になっている。ソフトウェアや周辺機器などはほぼPEG-T600Cと同様だ。ボディの厚みは、PEG-T600Cが12.5mmであるのに対して、アルミ一体形成ボディのPEG-T400ではわずか9.9mm厚と非常にスリム。そのため、PHS用通信アダプタ「PEGA-CF60」を装着してもスマートに利用できる。
ただし、画面の描き換え速度がPEG-600Cに比べて明らかに遅い。なぜ遅いのかは、この原稿執筆時点では確認できていない。ある説明会でソニーの方はグラフィックアクセラレータの有無と説明していたが、別の場所で別の担当の方からは「液晶以外のハードウェアは一緒」と聞いているので、どちらが正解なのか確認できていないのだ。また、液晶ディスプレイもやや暗いので、気になる人もいるかもしれない。この点は、実機を確認した上で購入した方がいいだろう。とにかくスタイリッシュでかっこいいPDAを使いたい人向きだ。また、最新モデルにしては結構安価なので、とりあえずPDAという人にも向いているのかもしれない。
□CLIE PEG-T400製品情報 http://www.sony.co.jp/sd/products/Consumer/PEG/PEG-T400/index.html
Palm Computing ハンドヘルド m505(実売価格3万4800円)
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Palm m505 シンプルなPIMブラウザとしてはなかなかいいかもしれない。Palm独自のWebクリッピングというWebサービスも利用可能
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Palm Computingのフラッグシップモデルだ。6万5536色対応の反射形TFT液晶ディスプレイを搭載。やや暗い気もするが十分に許容範囲内だろう。ただし、解像度は160×160ドットだ。サイレントアラーム機能、バイブレーションアラーム機能を搭載し、会議中などでも音を出さずに時間がきたのを知ることができる。内蔵メモリは8MB、ボディカラーはシルバーのみ。
MMC/SDカードスロットを搭載しており、ようやくSDカードの周辺機器も登場しつつあるが、基本的には外部メモリ用スロットと割り切った方がいいだろう。最近では、辞書やゲームなどSDカードで販売されるソフトウェアも登場してきている。また、ハギワラシスコムからは、m500シリーズ専用に、ボディ背面に取り付けるタイプのPHSカード用Communication Card Adapter「HPD-PMCP」(実売価格1万1800円) も販売されている。
国内でもm505はかなり売れていて、PIMブラウザとして割り切れば、なかなかよい選択と言える。160×160ドットに最適化されたオリジナルフォントが搭載されており、ビジネス関係のソフトウェアも多くバンドルされている。ほぼ同様のスペックで、バンドルされているソフトウェアが異なり、ボディカラーが黒の日本IBM版「IBM WorkPad c505」もある。
なお、m500シリーズでは従来のVxなどとはインターフェイスの形状が異なるため、豊富にあった従来機種用の周辺機器は利用できない。Palmの周辺機器を持っている従来機種ユーザーの買い替え用途の場合、注意したい点だ。
□Palm Computing ハンドヘルド m505製品情報 http://www.palm-japan.com/catalog/m500/m505.html
お買い得モデルやマニア向けPalm機
Visor Deluxeが9800円で投げ売りされて以来、旧機種が非常に安価な価格になった(Visor Deluxeはすでに販売終了)。現在の注目は、4800円で販売されているPalm m100だろう(ただし、流通在庫限りなので、すでにこの原稿が記事化されている頃には販売終了している可能性がある)。PIM機能だけで十分というユーザーの場合、試しに使ってみるのにはいい価格だ。液晶は16諧調の160×160ドットモノクロを搭載。2MBのDRAM、4MBのフラッシュROMを搭載している。PCとのインターフェイスはシリアルで、シンクロナイズ可能なシリアルケーブルが付属している(クレードルは別売)。
ほかに、現在安価で販売されているPalm OS搭載機としては、カラーモデルではPalm IIIcがある。1万2800円で期間限定で販売されているが、以前の価格に値上げされることはあまり考えられないので、おそらく在庫限りで販売終了となると思われる。256色の160×160ドットのバックライト付きのTFT液晶を搭載し、内蔵メモリは8MB(フラッシュROMは4MB)。シリアルクレードルが付属する。仕様は最新のCLIEなどと比較すると、すでに“時代モノ”という感もあるが、安価なカラーのPalm OS搭載機を使ってみたいというユーザーにはいいかもしれない。
さらに、Palm Vxも1万2800円の価格で、また売れているようだ。外付けのキーボードやデータ通信用のアダプタなど周辺機器も豊富なので、割り切って使う場合には結構いい選択肢かもしれない。また、m500も2万4800円と安価になった。m505との違いはカラーかどうかだが、日本ではカラーモデルの方が人気があるようだ。
低価格化の口火を切ったHandspringからは、スタイリッシュで薄型のモノクロモデルVisor EdgeやカラーモデルのVisor Prism、Visor Platinumが安価に販売されており、Visor Prismで2万円を切る程度となっている。独自の拡張スロットSpringboardに取り付けるモジュールなどの周辺機器も多数販売されているので、拡張派には魅力的かもしれない。ただし日本国内での今後の販売戦略が不透明なため、継続的なサポートや周辺機器の充実という点ではやや不安がある。
また、安売り機ではなく、ややマニアックな機種として、エム・ディ・エスとアスクよりHandEra 330(4万9800円)が販売されている。英語版のためJ-OSで日本語化する。モノクロディスプレイながら、240×320ドットと広いオリジナルのディスプレイを持つ。タップする部分がソフトウェアで表示されているため、消して表示領域を広げるといった使い方ができる。CPUは、DragonBall VZ 33Mhz、OSは、Palm OS 3.52だ。SDカードとCFカードのダブルスロットと、本体だけではPalm OS搭載機で一番の拡張性を持っている。そのままPHSカードが利用可能な唯一のPalm機だ。ただし、価格の割に筐体がチープな感じを受けるので、購入前に店頭で実機を確認してからの方がいいかもしれない。わかっているユーザーのこだわりの一品と言うべきかもしれない。
東芝 GENIO e550X(実売価格6万4800円)
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GENIO e550X デュアルスロットが魅力。本体だけで楽にGPSが可能(GPSはCFスロット、地図データはSDスロット)
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コンパクトなボディで、CFカードとSDカードのデュアルスロットを搭載したPocket PC 2002搭載モデルだ。前機種では、iPAQ Pocket PCに比較して画面の切り替えなどがやや遅い印象があったが、本機では遜色ない速度となった(ただし、東芝によれば、まったくハードウェアは変更しておらず、OSをPocket PC 2002日本語版にしただけだという)。
小型軽量ながら、デュアルスロットを搭載したおかげで、GPSカードをCFカードに挿入し、SDカードに地図データを入れるといった使い方も可能だ。ただし、ヘビーユーザーには外部拡張が付属のシリアル/USBインターフェイス経由でしかできない点や、外部バッテリも現状では用意されていない点などが気になるかもしれない。なお、バッテリー駆動時間は、e550Xになって12時間と、e550の8時間より増えているが、これはiPAQ Pocket PCの計測基準に揃えたためで、実際にバッテリ駆動時間が延びたわけではない。実際には、8時間以下と思っていた方がいいだろう。液晶ディスプレイは、他機種に比べてやや小さめだ。
なお、専用の周辺機器として、小型の引き出しタイプのキーボードが、エイサーより販売される予定。また東芝は、SDカードタイプのBluetoothモジュールを販売する(GENIO e専用)など、周辺機器も出揃ってきている。可能なことが多い分だけバッテリー駆動時間がやや気になるが、非常に魅力的な製品だ。
□東芝GENIO e製品情報 http://genio-e.com/pda/index_j.htm
NEC PocketGear(2002年2月以降発売、予想店頭価格5万7000円前後)
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PocketGear 発売が延期されたが、NECのことなのでそれだけ完成度の高い製品が期待できそうだ。32MBのRAMだという点が満足できれば、拡張性も高く非常に魅力的な機種だ
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発売が再度延期され、2002年2月以降になってしまったが、PocketGear MC/PG5000もおもしろいマシンだ。Pocket PC 2002製品としては、それなりに安価な部類だ。欠点は、内蔵RAMが32MBしかないことだろう。Pocket PC 2002日本語版搭載モデルとしては、唯一32MBのモデルだ。フラッシュROMが他機種同様32MBあるので、発売延期を機会に64MBになると嬉しいのだが、そういった動きは残念ながらないようだ。
3.8インチ反射型TFT液晶はやや青みがかかっている気がするが十分美しく、240×320ドット、65,536色表示が可能だ。また、CFカードType II、SDカードのデュアルカードスロットを搭載している。また、別売だが、PCカードが利用可能なバッテリー搭載の拡張アダプタも用意されている。最大3スロットが利用できるのはこの製品だけだろう。また、Visor風の液晶保護カバーが標準で付属している点でもポイントが高い。
Pocket PCでiモードの勝手サイトを見ることができるWebブラウザiディスプレイもポイントが高いと感じるユーザーもいるかもしれない。さらに勝手サイトで公開されているiアプリを利用可能なi-enablerもある。ストラップホールがついているなど、ユーザーの使い勝手を十分に考えた設計になっている。
2月以降まで待てる人は、待って実機を触ってからPocket PC 2002マシンを購入するのもいいかもしれない。RAMが32MBしかないなど、欠点も大きいが魅力的な製品だと思う。
□NEC PocketGear製品情報 http://121ware.com/pg/
hp jornada 568(実売価格6万7800円)
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hp jornada 568 スタイリッシュな液晶カバーが大変美しい。拡張性も高いだけに、CFスロットがType Iなのが惜しまれる
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美しい液晶カバーなどのスタイリッシュさが魅力のjornada 568は、バッテリーオプションの交換で、拡張性を強化できる。SD/MMCスロット付バッテリーやPCカード+SDコンボスレッドバッテリー、小型で本体に取り付けるタイプのキーボードなど周辺機器も豊富だ。ただし、CFスロットがType Iのため、PHSカードは本体だけで利用する場合は、TDKのDDIポケットのAirH"用のC@rd petitしか利用できない。また、GPSカードなどCF Type IIの周辺機器は、PCカード+SDコンポスレッドバッテリーで使うしかない。
液晶はやや青みを帯びているが、反射型TFT液晶ディスプレイを採用しており視認性は高い。240×320ドット、6万5536色表示などは他の機種と同様だ。ただし、画面の描き換えは多機種より少しだけ遅い気がする。厳密に比較したわけではなく、印象なので気のせいかもしれないが、気になる人は店頭で確認してほしいところだ。実用上は問題ないレベルだと思う。
非常に魅力的な機種であり、価格が高いことと、CFカードスロットがType Iであることを除くと欠点らしい欠点はない。輝度センサがiPAQ PocketPC同様搭載されているため、明るさに応じて自動的にフロントライトのオン・オフが可能だ。PHSカードもTDKのを利用すればいいだけだ、という人にはなかなか優れた機種だと思う。外付けキーボードはまだ利用したことがないのでキータッチなどの使い勝手についてはコメントできないが、試みとして大変おもしろいと思う。また、フラッシュROMにデータをバックアップ保存できるので、万が一のハードリセット時にも安心だ。嬉しい配慮だと思う。
ソフトウェアはこれといったものはないが(シェアウェアの定番のPIMソフト「さいすけ」のドーネーションが支払済みだったり、PC用だった翻訳ソフトウェアがバンドルされている点が嬉しいユーザーも多いかもいしれないが)、独自のユーティリティの使い勝手もおもしろい。なかなか魅力的な1台だといえる。
□hp jornada 568製品情報 http://www.jpn.hp.com/hho/jornada/568/index.html
カシオ l’agenda BE-500(実売価格2万9800円)
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l’agenda BE-500 安価なWindows CEマシンとして定着したようだ。内蔵ソフトだけで一通りのことは可能だ
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カシオ計算機が発売しているl’agenda BE-500は、Windows CE 3.0をベースとした独自のPDAだ。価格がWindows CEマシンとしてはかなり安価で、PHSカードを装着すればメールやWebブラウズも可能だ。ただし、組み込み用のWindows CE emeddedを搭載しているため、Pocket PC用のソフトウェアは利用できない。また、Windows CE用のプログラムであれば、Palm-size PC用を始め動作するプログラムも多いが、l’agendaには搭載されていないDLLもあるため、動作するものとしないものがあるようだ。
液晶はSTN液晶だが、輝度を高くしておけば外でもそれなりに見ることができる。インターフェイスはオリジナルだが、メニュー形式で逆にシンプルでわかりやすいともいえる。
l’agenda専用でもなかなかおもしろいプログラムが多いし、PCカードユニットや外部電源パックが用意されているなど拡張性も高い。内蔵されているソフトウェアだけで、Webブラウザ、メーラ、などの通信、MP3プレイヤー、画像ビューワ、動画再生などのマルチメディア、スケジューラ、住所録、ToDo、メモといったPIMソフトウェアなど必要なソフトウェアがかなり揃っているといえる。
フラッシュROMに一度プログラムを読み込むという特異なスタイルながら、それなりの速度で動作する。l’agenda対応のフリーウェア・シェアウェアも基本的なソフトウェアはほとんど揃ってきており、安価にCEマシンを使ってみたいというユーザーにはなかなかおもしろい選択かもしれない。
□カシオ l’agenda製品情報 http://www.casio.co.jp/lagenda/
今後発売予定のPocketPC
すでにコンパックコンピュータは、iPAQ Pocket PCの新モデルの発売を予告している。H3835はSDカードスロットを搭載した標準モデルで、Bluetooth機能を内蔵したH3870がある。従来までのジャケットはそのまま利用できる。メモリは、64MBのRAM、32MBのフラッシュROMと標準的。なかなか個性的な筐体カバーが付属する。PHSカードを利用するためには、CFカードジャケットなどが必要になってしまうが、魅力的な製品であることは確かだ。少し触った印象では、楕円形になったカーソルキーはやや使いにくくなった気がした。OSのアップグレードを実施してくれるなど、嬉しいメーカーだ。
また、カシオ計算機も、アメリカではCASSIOPEIA E-200をすでに発売している。CF Type IIとSDカードスロットのデュアルスロットを実現している。USB機器の接続対応ということで、夢は広がる。また、ジャケットを装着することでPCカードを含めた3タイプのスロットを実現できる。ただし、好みの問題かもしれないが筐体はやや安っぽく見えてしまう気がする。
NTTドコモ シグマリオンII(実売価格4万9800円以下)
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シグマリオンII コストパフォーマンスは抜群。安価で機能豊富でメール用途にはお薦めのマシン
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ハンドヘルドPCは、シグマリオンIIでほぼ決まりだろう。後述のhp jornada 710/720は、PCカードとCFカードを併用できるメリットはあるが、コストパフォーマンスには圧倒的な差がある。
シグマリオンIIはNECのOEM機で、ハードウェアやソフトウェアなどはNEC製であることを思い出させる作りだ。ポリメッシュガンメタル、ポリッシュブルーのカラーバリエーションモデルがある。スタイリッシュなデザインは好評のようで、NECではよく似たデザインでゼロハリバートンデザインのノートPC「LaVie Z」を出したほどだ。
キーボードの配置は少し特殊だが、使っているうちに慣れる人が多いだろう。キーは小さいが十分にタッチタイプ可能な大きさだ。CFカードスロットは1基しかないため、PHSカードを装着している場合、データカードを装着することができない。32MBのRAMと16MBのフラッシュROMでやりくりするしかない。フラッシュROMを16MBとはいえ搭載しているのは、NECの伝統かもしれないが、バッテリ切れなどの後でもフラッシュROMに保存したデータは残るのでとても便利だ。他機種でもぜひフラッシュROMはユーザーが利用可能にしてほしいと思う。なお、メモリには限りがあるため、メールなどはこまめに削除する必要があるかもしれない。
□NTTドコモ シグマリオンII製品情報 http://www.nttdocomo.co.jp/p_s/products/mobile/win_ce/sigmarion2/sigmarion2.html
hp jornada 710/720(実売価格 710:6万9800円/720:8万2800円)
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hp jornada 710 シグマリオンIIより価格が高いが、PCカードとCFカードの両スロットを搭載。バッテリー駆動時間も長いが、フラッシュROM非搭載
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CPUにStrongARM 206MHzを搭載した高機能なキーボード搭載型ハンドヘルドPC。710と720の主な違いは、710には内蔵モデムがなく、PC接続は、720はUSBクレードルが付属するのに対して、710ではシリアルケーブルである点だ。CFカードスロット(蓋を閉めてしまうタイプなのでメモリカードしか利用できないだろう)とPCカードスロットを搭載している。シグマリオンIIがPHSカードを利用するとメモリカードを利用できないのに対して、PHSカードを利用しつつCFカードにデータを保存できるだけでも便利だろう。価格差は2万円以上の開きがあるが、ヘビーユーザーなどはjornada 710が便利かもしれない。
キーボードはキーピッチ13.2mm、キーストローク1.5mmで慣れれば十分にタッチタイプ可能なキーボードだ。バッテリの持ちは非常によく、jornada 720でCFカードスロットに入れたWMAファイルをWindows Media Playerで画面を消去して演奏し続けたら13時間56分持った。また、同じ条件でマイクロドライブ340MBを使用した場合6時間18分と非常にもった。さらに、倍くらいある大容量バッテリも用意されており、長時間のバッテリ駆動が可能となっている。
□hp jornada 720/710製品情報 http://www.jpn.hp.com/hho/jornada/720/
シャープ ザウルスMI-E21(実売価格5万4800円)
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ザウルス MI-E21
非常に魅力的な製品で、おそらく史上最強のPDA用Webブラウザが搭載されている。ただし、シングルタスクOSなのでアプリを切り替えて使う操作性はいまひとつ
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ザウルスの現行機種は、正直なところどこからどこまでかよくわからない。確実なのは、MI-E21、MI-L1だろう。MI-E21は、9月7日に発売されたことから、やや古い機種となってしまった。冬モデルの発売がなかったたが、これまでのザウルスOSモデルとしては、ほぼ完成形と言えるのかもしれない。そのため、まったく新しくPDAを使用し、メールやWebブラウズをやりたいというユーザーには結構お薦めできる。MI-E1も現行機種のようだが、機能的にはかなりMI-E21に劣る。よほど安価でなければMI-E21を購入した方がいいと思う。
MI-E21については、本連載ですでに詳しく書いているが、本当に優れたハードウェアだし、個々のソフトウェアも魅力的な製品だと思う。メモリがすべてフラッシュROMなため、バッテリーが切れたからといってデータがなくなるといった不安がまったくないのもいい。バッテリー駆動時間は長時間とはいえないが、可能なことも多いからバッテリ切れになる可能性も高いだけで、取り外し可能なバッテリを余分に持てばいいだけのことだ。PDA用のWebブラウザとしてはおそらくNo.1だと思う。しかし、使い勝手は他機種に慣れたユーザーからするとかなりイライラさせられる時がある。
MI-L1は、反射型TFT液晶を搭載しながらフロントライトを持たないという、かなりいさぎのよいマシンだ。直射日光下では非常に見やすいが暗いところではちょっとつらい。割り切って使うマシンだと思う。実勢価格は3万4800円程度のようだ。
□シャープ ザウルスMI-E21製品情報 http://www.sharp.co.jp/products/mie21/index.html
PSION series 5mx Pro(実売価格7万9800円)
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PSION series 5mx Pro日本語版
PIMソフトウェアは非常に優れている。乾電池駆動であるという点も嬉しいユーザーがいるかもしれない。モノクロ液晶であることと通信機能の弱さがネックだ
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エヌフォーは、OSにシンビアンのEPOC OSを搭載した初の日本語モデル「PSION 5mx Pro日本語版」を2001年12月末より発売開始している。
非常にスタイリッシュで、キーボードを開ける時の特異なギミックが魅力の製品だ。OSやWebブラウザをはじめとしたアプリケーションソフトウェアはすべて日本語化されており、そのまま日本語のマシンとして利用することが可能だ。ただし、液晶はモノクロ16階調であり、価格も安価とは言いがたいこともあり、EPOC OSのファンが利用するマシンという色彩が強いかもしれない。
乾電池駆動なため、さらにマニア心をくすぐるかもしれない。CFカードスロットが1基搭載されているが、実質的にメモリカードのスロットとしてしか利用できない。通信を行うためには、携帯電話に赤外線通信用のアダプタを装着するか、今後発売される対応モデム用のケーブルを購入する必要がある。
□PSION series 5mx Pro日本語版 http://www.enfour.co.jp/psion/5mxpro/index.html
(山田道夫)
2001/12/27 23:38
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