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モバイラーズ★EYEタイトルGIF
iPAQ Pocket PC日本語版ファーストインプレッション(後編)
山田道夫
1996年に開設したサイト「携帯電脳」を模様替えし、1999年1月スタートしたWeb&メールマガジン「MOBILE NEWS」編集長。モバイルノートPCからデジタルガジェットまで「小さくてデジタルなもの」にこだわった最新情報を提供している


フリーウェア・シェアウェアを追加してみる

iPAQ Pocket PCでもPOBoxを利用することができる。カナを入力していくことで登録された単語が表示されていく。学習効果もあるため使い勝手はいい
 Pocket PCでも、付属のソフトウェアだけでは物足りない、というユーザーも多いだろう。筆者の場合は、E-700ではファイラやラウンチャソフトウェアを追加し、PIMソフトウェアもシェアウェアの「さいすけ」を利用している。iPAQ Pocket PCではまだまだフリーウェア・シェアウェアの対応ソフトウェアが少ないけれど、今後対応ソフトウェアが増えていくと期待されている。

 筆者がインストールしたソフトウェアは、HPC Notes(簡易データベース。メモ互換)、さいすけ(PIMソフト)、GigaBar(多機能ランチャ)。画面のスナップショップを撮る前にGigaBarをインストールしたのは失敗だったかも……。標準的な画面を撮るために一度外す必要がある。このほか、POBoxも試してみた。

 「さいすけ」は私の愛用しているPocket PC専用のPIMソフトだが、E-700で使っている時はやや重たいという印象があるのだが、iPAQ Pocket PCの場合はほとんど瞬時に表示される。非常に高速でストレスを感じない。手書き入力もなかなかの認識だと思う(英字の小文字の中には苦労させられるものもあるが)。

 また、日本語入力においては、手書きも併用しているが、携帯電話に搭載されたことで話題になった「POBox」を使っている。iPAQ Pocket PCにもPOBoxをなんとかインストールし終えた。

 また、シェアウェアのOutlookの「メモ」互換の「HPC Notes 3.07 Standard Edition」も気に入って利用している。簡易データベースとして利用できるだけではなく、PCのOutlookのメモとシンクロナイズすることができる。Windows CEだけで利用可能な「Lite」(14.95ドル)、PC用のソフトウェアも同梱された「Professional」(49.95ドル)もあるが、「Standard」(29.95ドル)で十分だろう。シェアウェアとしては安い方ではないが、30日間の試用が可能なので、取りあえず使ってみて気に入ったら支払うということができる。


シェアウェアの「さいすけ」。高速で利用することができる。月表示だえけではなく、週表示や1日の表示、仕事を一瞬で表示することもできる シェアウェアのHPC Notes。Outlookのメモと互換の簡易データベース HPC Notesをタップしてみた。さまざまな情報を入力することができる。キーワードを使った高速な表示も可能

「Gigabar」。非常に優れたラウンチャであり、コピー&ペーストや画面のキャプチャなども可能な総合ソフト。ファンクションの変更によりiPAQ Pocket PC風の画面でiPAQ Pocket PCに最適化した機能を追加することができる。お薦めの1本。フリーウェアだというのが信じられない 「Pocket Infomant」は、非常に多機能なPIMソフトウェア。前から多機能だったがようやくiPAQ Pocket PCの速度で実用的になった。すばらしいのはファイルや項目へリンクが可能なこと。日程の項目に、アドレスやメモをリンクすることができる!

【フリーウェア・シェアウェア入手先】



・PocketPC “iPaq H3650”のPalmユーザによる評価レポート

href="http://www12.big.or.jp/~t-hiruma/iPAQ/palm-index.html">http://www12.big.or.jp/~t-hiruma/iPAQ/palm-index.html

 ここからPOBoxのStrongArm対応版をダウンロードできる。日記の「今日の感想」は英語版についてだが示唆に富み参考になる。辞書やPOBoxの入手先にもリンクされている。



・eグループのipaq-jグループ入会ページ
http://www.egroups.co.jp/join/ipaq-j
 英語版ユーザー中心だったが日本語版ユーザー(候補)も増えてきた。非常に参考になる。



・Greg’s iPAQ Software List(英文)
http://www.ipaqsoft.net/
 まだ多いとは言えないiPAQ

Pocket PC対応のソフトウェアも随分増えてきたことがわかる。英語による英語版だけの紹介だが。



・Pocket Informant
http://www.pocketinformant.com/
 レジストレーションすると専用のBBSに入会可能。要望を伝えることもできる。



・HPC Notes Product Family(英文)
http://www.phatware.com/hpcnotes/index.html
 HPC

Notesの入手先。30日間試用することもできる。



・さいすけfor PocketPC
http://www.saysoftware.net/jpn/sayschePPC.htm
 PIMソフトウェアとしてPocket

Outlook互換のさいすけの入手先。1,800円のシェアウェア。



・Gigabar
http://www.gigabar.com/
 フリーウェアのラウンチャ、ファイラ。いまだに全部の機能は使いこなしていない。iPAQ用の画面にすれば、iPAQ専用の機能を利用できる。フリーウェアだなんて信じられない出来だ



・TascalRegEdit for Windows CE
http://www2r.biglobe.ne.jp/~tascal/
 レジストリエディタの定番TascalRegEdit

for Windows CEがある



・DicTool
http://www.netlaputa.ne.jp/~teturo_s/dictool/dictool.htm#DOWNLOAD
 PocketPCのIME単語登録・削除ツールがStrongArm対応になった。本当にありがたいことだ。しかし本来はマイクロソフトが行なっているべきことだろう


バッテリ駆動時間

 iPAQ Pocket PCのバッテリ駆動時間はMPWファイルの連続演奏で5時間54分だった。バックライトを消した状態でだ。前に英語版で試した時は6時間40分くらい持ったはずなのでまた試したかったが、試す前に返却日になってしまった。

 さらに、別売のPCカードジャケットに230MBのマイクロドライブを挿入してバッテリ駆動時間を試してみた。5時間13分でPCカードのバッテリが切れ、マイクロドライブは認識されなくなった。本体での余力を残しているが、本体分をPCカードジャケットで利用することもできない。PCカードジャケットのバッテリがなくなってしまったために、本体のバッテリが残っていてもPCカードが認識されなくなってしまった。こういったものって実際に使ってみないとわからないものだ。

 マイクロドライブはバッテリが持たないことで有名で、CFカードを使えば倍以上のバッテリ駆動時間が可能なはずだ(前にjornada 720で試した時は、やはりWMPの連続演奏で、jornada 720がCFカード利用時で13時間56分、マイクロドライブの場合は6時間18分だった)。


周辺機器、特にTARGUS Stowaway Potable Keyboardを使ってみて

 別売のPCカードジャケットで、マイクロドライブやスマートメディアアダプタを試したりした。PCカードジャケットを装着したままでシンクロナイズすることができる。また、バッテリの充電も、二股に別れたコードをさして本体と同時に行なうことができる。

 PCカードジャケットは、かなり厚みもありそれなりに重く感じられるが、実際に日常的に使ってみると片手でも持ち続けることができた。丸みのあるデザインが、逆にそれなりに握りやすく感じさせるようだ。私はでかくて重いPDAは嫌いなつもりだったが、逆にそれよりもPCカードにそのままつないで使えるという行為が簡単に行えることの方が気に入ったようだ。SIIのC@rd H"機などをさしたまま使うことが多かった。P-in Comp@ctの場合も、コンパクトフラッシュの状態では、パルディオ611sなどよりもかなり電波の拾い方が落ちるようなので、できればPCカードを使いたいところだ。


PCカードジャケットにSIIのDDIポケット用のc@rd H" 64 MC-P200を入れてみた。出っ張っているのは元々製品が出っ張るようになっているからだ。PCカードがそのまま使えるのはかなり嬉しい PCカードジャケットはバッテリを内蔵しているため、本体と同時に充電するためには、付属する二股のケーブルを装着して充電してもよい。充電中は付属のオレンジ色のLEDが点滅してわかりやすい(写真左下と右上)。充電が完了すると発光したままになる

 また、英語版のTARGUS Stowaway Potable Keyboardがイケショップモバイルプラザで1万5000円弱で販売していたので購入して使ってみた。


TARGUS Stowaway Potable Keyboard。かなり大きい。持ち運ぶ時はPDAを2個持ち運ぶ感覚だろうか
 日本語入力フロントエンドプロセッサにMS-IMEを使い、TARGUS Stowaway Potable Keyboard英語版で入力してみた。かなり高速に入力できる。ほとんどデスクトップPCで入力しているのとかわりがない。Escキーがないことを除けば。Escキーがないのは、最初Visor用のキーボードとして登場したかららしい。

 Escキーは、Fn+Tabで入力可能だが無意識にEscがある位置を押してしまう。結構キーボードは波打っているがそれほど気にはならない。日本語を入力する場合は、一度ソフトウェアキーボードでひらがななどを選んでやる必要があるようだ。まあ、このあたりは日本語版が出たら解決しているところだろうけれど。早く日本語版が販売されることを期待したい。

 英語と日本語の切り替えはソフトウェアキーボードでなんとかなる。デフォルトが英語のままでも、ソフトウェアキーボードを出して、かななどを選択すると日本語で入力が可能になる。ただ、そのまま使えないのはちょっとめんどくさい。7月ともいわれる日本語キーボードが早く出て欲しいものだと思う。

 すばらしいのはCtrl+Qキーでアプリケーションソフトウェアが終了することだろう。また、日本語入力時にもCtrlキーを使ったアサインが可能なことだ。

 TARGUS Stowaway Potable Keyboardの欠点のひとつは、カバーをつけたまま使うことができない点だ。CFカバーさえもつけたままでは使用することができないと最初は思った。しかし、実際は、ややぐらぐらするような気がするし角度もちょっと変だが、CFジャケットをつけたままで利用可能だ(マニュアルにも記載がある)。たださすがにPCカードジャケットは無理なようだ。

 また、メカニズムがかなりシンプルというか直裁的なので壊れそうな予感がしてしまう。iPAQ Pocket PCのシリアル/USBコネクタはかなり小さくまた繊細そうに見える。実際に壊れるかどうかはともかくとしてかなり脆弱に見えるので物理的にぶすっと刺すだけ(本体は金属で支えてもくれるわけだが)なのはちょっと心配になってくる。1年後どうなっているか、かなり本気で心配だ。


通信ポートに接続する。CFカードアダプタまでは一緒に接続することができる。結構ぐらぐらしていて大丈夫かなという気になる。早期の日本語版発売が期待される 本体にセットした状態。非常に高速な入力が可能。Pocket PCでもフリーuウェアを使って単語登録が可能になってのはありがたい

 バックライトの点灯していない反射型TFT液晶はかなり写り込みがする点も気になる。iPAQ Pocket PCは、自動的に明るさをセンサで感知してフロントライトを点灯してくれるが、自動にしているとやや暗い時でも点灯しない印象がある。液晶自体は見やすい。フロントライトを点灯していればあまり不満もない。


筐体の上部やや左側にセンサがあってバックライトの明るさは自動的に調整してくれる。ただし、数秒実際の明るさより遅れるのと、やや暗めに設定されるような気がするので、好みで自分で調整するべきかもしれない
 TARGUS Stowaway Potable Keyboard英語版では、最初文字化けして入力できなかった日本語表示がHPC Notesでも可能になった。最初は文字化けしていてまったくだめだったのだが不思議だ。ただし、テキストを入力中はフォントがちらちらして多少見にくい。まあ、普通はディスプレイを見つづけるということはあまりないだろうから、困らなかったということなのかもしれないけれど。まあ、このくらいだったら十分実用的かもしれない。

 現在は、Pocket WZ Editorのベータ版をインストールして使っている。E-700などでさんざん何度もインストールしたので手順は慣れたものだ。いまだにベータ版だというのが気になるといえば気になるが。7月まで利用できるβ版が配布されたことで、製品化が遅れているらしいのが残念なところだ。

 テキストはデフォルトのフォントの場合、38字(半角)×21行表示だ。原稿用紙1枚弱を一度に見ることができるわけだ。悪くはない。結構気に入ったかもしれない。キーボードを使用できればjornada 710/720より高速に入力が可能だろう。私は、Libretto 20で慣れて以来、小さなキーボードはまったく苦にしないが、正確さは通常のキーボードの方が確かで間違いも少ない。もっとも、WZ Editorでは、なぜかスペースを押すと半角でも全角でも2文字入力されてしまうのが不思議だ。ちょっと不便だ。まあ、英語版のキーボードをそのまま使っているだけだからこういった部分も日本語版では改善してほしいところだ。


試用してみてのまとめ

 iPAQ Pocket PCにフルリセットをかけた。実データを使っているので、返却する前にはいつもフルリセットをかけることにしている。本当はすばらしいのことなのだが、フラッシュROMに住所録のバックアップが取ってあったようで、データがリストアされてしまった。実際には設定によって工場出荷状態にも戻せるとのことだが、バイク便が取りにくる時間が近かったため、逆にあわててしまって300件以上のデータを手作業で削除する羽目になった。人生、いつ何が起こるかわからないものだ。時間に余裕を持って行動することが望ましいのは確かなことだ。

 そのとき気になったのは、名前などのふりがなが読み込まれていなかったことだ。そのため、リストアされた住所禄のデータはJIS順(だと思う)に並べられてしまっていた。この点はちょっと残念だが、今後改善したいとのことだ。

 全体の印象としては、非常に気に入った。英語版もちょっと使ったことがあって、どれだけ日本語版で表示速度などが落ちるのか心配していたが、やや遅くなった印象はあってもほとんど気にならないほどだ。E-700もjornada 500シリーズに比べてやや高速な印象だが、さらにE-700よりもiPAQ Pocket PCは高速でストレスなく利用することができる。明るいところでも、暗いところでもそのまま使えるディスプレイというのもすばらしい。ただし、液晶の視認性自体は、室内などであればE-700のTFTカラー液晶の方が美しいと思う。やはり、4096色のフロントライトを搭載した反射型TFT液晶では限界もある。

 今の不満は、価格が比較的高いことと、販売日に入手可能かどうかということ、それと本体とターガスキーボードを手軽に入れるバッグがないことくらいだろうか。

 結局筆者は、この原稿を書き上げたあと、発売日にiPAQ Pocket PCを購入し、バリバリ活用している。ほとんどすべての作業はiPAQ Pocket PCかノートPCで行なうようになってしまった。jornada 720とE-700はほこりをかぶりつつある。パワーと速度と拡張性は魔力だ。その分重くなってしまっても。


・ 「Compaq iPAQ Pocket PC」ニュースリリース
  http://www.compaq.co.jp/press/press627.html
・ iPAQ製品情報
  http://www.compaq.co.jp/products/handhelds/pocketpc/
・ iPAQ サードパーティ製品リスト
  http://www.compaq.co.jp/products/handhelds/pocketpc/partners.html
・ iPAQfan.com(公式のiPAQユーザー向け情報提供サイト)
  http://www.ipaqfan.com/
・ iPAQnet(iPAQでの閲覧に最適化されたWebニュースサイト)
  http://www.ipaqnet.ne.jp/


(山田道夫)
2001/05/25 00:00

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