「らくらくホン6」レビュー

進化を続ける使いやすさ、防水・防塵携帯「らくらくホン6」


らくらくホン6(シルバー)
レッド

 NTTドコモから発売された「らくらくホン6」。従来シリーズの正統派進化モデルとして登場した実機のレビューをお届けする。

外観・デザイン

 らくらくホンシリーズの新作「らくらくホン6」は、従来の使いやすさを重視するだけでなく、今回、防水・防塵性能を取り入れた。

 大きさは約109×50×17.7mm、重さは約122gで、折りたたみ型として標準的なサイズ。ディスプレイは約2.8インチ、240×400ドット(ワイドQVGA)、最大26万色表示の液晶パネルが搭載される。

 らくらくホンベーシックの大きさは約105×51×19.5mm、重さは110gだったことを考慮すると、防水対応したからといってさほど大きくなったというわけではなさそうだ。むしろ、縦や幅は小さくなった印象だ。ディスプレイに関しては変更はない。

 外観でまず目を引くのは背面の大きなディスプレイだ。約1.4インチ、96×128ドットのモノクロ1色のSTN液晶には現在時刻や歩数計機能として、その日の歩行数がわかるようになっている。通常の歩数だけでなく「いきいき歩数」の両方が併記されている。

 背面のフチ部分とヒンジ部分には金属のような光沢処理がされており、全体の質感の向上に寄与している。

 背面のヒンジよりの場所にカメラを内蔵する。カメラと背面ディスプレイの間にはLEDを内蔵。着信時には光って知らせる。このとき、背面ディスプレイには「電話です」と日本語表示もされる。

 本体側面のボタンは防水性能を備えたためか、ボタンは音量の上下と音声読み上げボタンしかない。ボタンが少ないというのは初心者にも抵抗なく使えそうだ。ヒンジにはワンプッシュボタンを備えており、左の親指一本で開くことが可能。

 らくらくホンのシンボルともいえるのが、画面下にある3つのダイレクトボタンだ。今回は防水仕様と言うこともあり、ボタンの構造ではなく、シートが小さく隆起した形状となっている。テンキーとは違い、ここを押すのは発話時の1回だけなので、あまり押しやすさなどは気にならない。

 一方、テンキー部分は、防水仕様であってもキーひとつひとつがしっかりと独立しており、押しやすいようになっている。従来モデルとはキーの構造が異なるのだろうが、違和感は全くないといえる。

 当然のことながら、年配者などを想定して、キーの表記は「メニュー」「電話帳」「決定」「戻る」といったようにすべてわかりやすい表記になっている。

 防水タイプのため、充電台は同梱されている。本体の右側側面にパッキン加工された充電端子は、平型のイヤホンマイク端子と外部接続端子を備える。

 本体背面の電池蓋にはロックが施されており、スイッチをスライドさせることでオープンする。開けるとさらに金属製の蓋があり、パッキンで電池を守っている。電池を外すとmicroSDカードスロットとSIMカードスロットが現れる。

 本体背面には赤外線端子を備える。大きな黒地となっており、さらに「IR」と表記されているのでわかりやすい。その横にはスピーカー、ヒンジ近くにはスライドさせることで音が鳴る防犯ブザーがある。


ネイビーラベンダー
3つのダイレクトボタンらくらくホン初の防水・防塵性能

使いやすさとデザイン

メニュー表示

 らくらくホン6は徹底的に初心者にわかりやすいような配慮が施されている。まず、電源を入れると登場するのが暗証番号の設定メニュー。「初期設定は0000です。暗証番号を変更しますか?」と聞いてくるので、変更するかしないかを選択する。

 電話帳登録に関しても「名前」から始まって「ふりがな」、電話番号の登録方法(直接入力、着信履歴、リダイヤル、入力しない)、2つ目3つ目の電話番号を入力するか、メールアドレスの入力、郵便番号と住所、テキストメモを入力するか、グループの登録先、電話帳の番号を聞いてくる。さらに最後に「ワンタッチダイヤルへの登録」をするかしないかにも答えなくてはならない。

 またワンタッチダイヤルに登録した際には、専用の着信音設定も聞いてくるようになっている。初心者に配慮した設計なっているが、あまりに多くの設定を立て続けにしなくてはいけないため、携帯電話の操作に慣れないユーザーだと面食らってしまいそうだ。

 普段使いにおいても、徹底した操作の説明がされているのが特徴だ。例えば、不在着信があった際には、画面上で「着信あり」と日本語で表示されるだけでなく、どこのボタンを押せばよいのがイラストで教えてくれる。着信履歴を見ている時に「ガイド」というサブメニューを押すと、着信履歴がどういったものかの基礎知識を教えてくれる。
 
 メニュー表示に関しても「電話帳を使う 履歴を見る」「メールを使う」「写真・ビデオを撮る・見る」といったようにすべてが日本語の文章として表記されている(メニュー表記は「設定する」メニューからアイコン表記への変更も可能)。

基本的な機能

 通話機能としては相手の声が聞き取りやすくなる「スーパーはっきりボイス3」と相手の話す声がゆっくりと聞こえる「ゆっくりボイス」を搭載している。

 実際、「ゆっくりボイス」をオンにしたらくらくホン6と、F-09Aで、天気予報(177)を聞き比べてみたが、同じタイミングで発信しても、らくらくホン6のほうが1秒にも満たない程度ではあるが、ほんのわずかながら相手の声がゆっくりと遅れており、聞きやすい印象だった。ただ、本体側面の小さなボタンを押してオンとオフを切り替えるため、通話中に切り替えるのはやや操作が難しいと感じた。

 通話における受話口(スピーカー)はメイン液晶の上、送話口(マイク)は「0」キーの下のほうに設置されており、一般的な設計だ。ボリューム操作は方向キー上下もしくは側面にある上下キーで行う。

 メールは受信ボックスが最大1000件、送信ボックスが最大200件。日本語入力はATOKで予測変換に対応。カナやアルファベットへの変換も可能。

撮影画面

 カメラ機能は外側に約320万画素のCMOSセンサーを搭載し、最大1536×2048ドットの写真を撮影できる。静止画撮影時のサブメニューには、ビデオへの切り替えやフレームの選択、内側カメラへの切り替え、写真の大きさ、接写への変更が選べる。ズームは最大約8倍、32段階となる。

 静止画撮影時はオートフォーカスや手ぶれ防止に対応。カメラを被写体に向けるだけで自動的にピントが合い、接写モードへの切り替えも自動的に行ってくれる(動画は非対応)。

 カメラ機能の起動は、テンキー右下のボタンから行う。短押しで静止画カメラが起動し、長押しすると、写真撮影、ビデオ撮影、拡大鏡、手書きメモ、バーコード読み取りという複数の機能を選べるようになっている。

 拡大鏡はカメラを使って最大12倍までズームができ、新聞などの細かい文字を読むのにも重宝する。気になるものはすぐに撮影もできる。

 テンキー左下にある「テレビ電話」ボタンを長押しすると、ワンセグが起動する。番組名などの表示が従来機種よりも大きくなっているのが特徴だ。加速度センサーと連携し、本体を横にすれば自動的に映像表示も横になる。

 番組表アプリもらくらくホン専用のため、文字が大きくなっている(反面、番組の一覧性はいまひとつ)。ワンセグの連続視聴時間は通常時は270分、省電力モードの場合は320分となっている。ほかにもボイスレコーダー機能やドコモコミュニティへのアクセス機能も備えている。

 国際ローミングサービス「WORLD WING」には3Gのみの対応。iチャネルにも対応するが、おサイフケータイやiコンシェル、iウィジェットなどは非対応となっている。

 GPSと加速度センサーに搭載により、地図アプリでは進行方向が常に上を向くようにもなっている。ワンタッチブザーを鳴らすと事前に登録した相手に居場所を伝える「イマドコサーチ」にも対応する。

 電話帳は最大1000件の名前が保存でき、名前1件につき、電話番号3件、メールアドレス3件が登録可能。iアプリの最大保存件数は100件で、ブックマーク、画面メモもそれぞれ100件まで保存できる。

特徴的な機能

音声文字入力に対応
おまかせ絵文字

 らくらくホン6には初心者のための親切なサポート機能が充実している。

 例えば、写真撮影の際には、決定ボタンが点滅することで、どこを押せばシャッターが切れるかを教えてくれるようになっている。

 また、メール作成時にはどのボタンを押せば、入力文字や大文字/小文字を切り替えられるのかが、きっちりとガイド表示されている。さらにカメラ起動ボタンを押すと、iアプリが起動して、音声入力でメール文書が作成できるようになる(月額210円)。

 実際に60文字程度の文章を音声で入力してみたが、「こんにちは」を「こっちは」と認識した以外は、全く間違うことなくテキストに変換してくれた。もしも、間違った認識をしてしまっても、すぐに代わりの文字を編集できるようになっているので問題ない。

 メールに関しては、今回から「おまかせ絵文字」という機能が追加となった。メールに入力された文字に対して、それにあった絵文字を挿入してくれるというものだ。文章を打ち、メニューから「おまかせ絵文字」という項目を選ぶと、すぐに絵文字を挿入してくれる。気に入らなければ、「次候補」というメニューを選択すると、さらに違った絵文字が入力される。

 「こんにちは」の後に笑顔、「返事」の後にメールの絵文字といったものが挿入される。絵文字を使ってみたいが、文書中にどう入れ込んだらいいかわからない年配層にはウケが良さそうだ。

 もうひとつ、らくらくホン6で注目と言えば、IPX5/IPX7等級の防水性能だ。最近では防水ケータイが一般的になってきているが、らくらくホン6ではさらにIP5X等級の防塵性能も備えており、「水だけでなく泥がついても洗い流せる」としている(編集注:富士通では、IP5X等級について粒径25μm以下の塵埃が入った装置に8時間入れて取り出したときに電話機の機能を有すること、としている)。

 また、歩数計機能により、1日の歩数や活動量、運動量を測定できるようになっている。内蔵iアプリ「健康生活日記」を使えば、タニタ製の体組成計(BC-501)、血圧計(BP-300)と連携が可能だ。実際にBC-501とらくらくホン6を連携させてみたが、体組成計で測った体重や体脂肪を赤外線経由で瞬時に送ることができるのはかなり便利で快適だった。


発表会では田んぼを模した環境に携帯が置かれていたタニタの体組成計などと連携する

位置づけ

 現在、NTTドコモのサイトで「らくらくホンシリーズ」は5モデルが紹介されている(シンプル、V、ベーシック、プレミアム、6)。シンプルは音声通話のみに絞ったモデルで、プレミアムはワンセグに加え、おサイフケータイにも対応した「上級者向けらくらくホン」ともいえるものだ。一方で、ベーシックはワンセグ非対応となっている。

 NTTドコモが注力しているせいか、いつしか、らくらくホンシリーズは種類が増えすぎて、選ぶのが「らくらく」じゃない状態になってしまっている。そのなかで、らくらくホン6は年配層でも比較的使うと想定されるワンセグや国際ローミングにも対応し、さらには防水・防塵といった普段使いでも重宝する機能を盛り込んだ「正統派らくらくホン」として進化している。前モデルから比べても、さらに万人受けする機能や使い勝手を備えている感じだ。

 年配者向けの「はじめてのケータイ」として購入するなら最適な選択肢と言えそうだ。

 



(石川 温)

2009/11/18 11:33