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FREETELの新製品と世界展開、増田氏への一問一答

 プラスワン・マーケティングは10月27日に発表会を開催し、2015年の年末に発売する端末を中心に、今後の展開を解説した。「SAMURAI 極」の発売日などについてや、発表会の模様はそれぞれ別記事にて掲載している。

 発表会で質疑応答の時間は設けられなかったが、増田氏は囲み取材に応じた。以下は一問一答形式でその内容をお伝えする。

囲み取材に応じるプラスワン・マーケティング 代表取締役の増田薫氏

「雅」「極」

――「雅」の売れ行きは予想以上だったというが、10万台を超えるような規模か?

 予想以上だった。(10万台は)超えると思う。本当にありがたい話だ。

 2年前に第1弾製品として「Priori」を発売した。販売台数は、「Priori 2」でグンと伸びた。1万9800円といった価格帯の「nico」も出したが、これの動き(売れ行き)ははっきりいって良くなかった。製品も足らない部分があった。

 なので「雅」はどれぐらいいくのか、不安があった。「Priori 2」の成功があったので、それなりに“弾”は仕込んだが、一瞬で売り切れてしまった。今回増産している台数は、さきほどの台数(10万台)をすでに超えている。

――「Simple」は完売して、もう増産しないのか。

 あれは、ある法人からのニーズで作った製品だった。コンシューマ向けには、“Simple 2”とでも言うべき製品を元々開発している。新しい展開をいずれ発表できると思う。あの「Simple」は、計画した台数で終了する。

――「極」を台数限定にしたのはなぜか。

 FREETELとしての初めてのフラッグシップモデル。まずはエンドユーザーに限定価格で提供し、ぜひ評価してほしいという意味を込めている。

――「極」の売れ行きの予想は?

 分からないが……本当に心を込めて作った。「和柄」でないほうも、手作りに近い状態で開発した。スペックはできる最大限のクラスを入れた。逆に、どうユーザーに評価されるのかが楽しみだ。

――「極」は3万9800円だが、他メーカーは3万円前後が売れ筋だ。価格帯を引き上げる狙いがあるのか。

 ハイエンド、ミッド、ローを出して、どれも心をこめて作っている。ハイエンドが欲しい、というニーズはやっぱりある。今までは、中国メーカー、iPhone、韓国メーカーしかない。日本のメーカーもあるが、昔に比べると勢いが弱まっている。そんななかで、日本メーカーはここにいるぞ、と示したい。それは強く思っている。

世界展開

――世界展開でメキシコとカンボジアが第1弾になった理由は?

 さまざまな場所に展開する予定の中で、ローンチ日が決まったのがこの2つだった。

――所得水準などを考えると(ミドルクラスの)「SAMURAI 雅」でも高い、という場合があるのではないか。

 「ICE」という端末を用意している。これは日本では販売しないモデルで、30ドルとかそういう価格帯。例えばベトナムでは、一番売れているモデルは220ドル。スマートフォンは娯楽のひとつになっている。安いものを買う人もいれば、高いものも普通に売れている市場だと感じた。当然、国によって違うが、「極」「雅」「Priori 3」もそういった市場に入っていけるのではないか。

――海外展開で紹介されたドバイなどの中東や、アフリカ、北米なども、リリース日が決まっていないだけか。

 実際に話が進んでいる。我々の支店は、ドバイ、シンガポール、韓国、中国、香港、ロサンゼルス、メキシコにある。なぜこのエリアかというと、このエリアの顧客と以前から話を進めていたから。これらの地域と、その周辺の国で展開する。

――海外で「FREETEL」は知られていない。プロモーションやブランド認知はどうするのか。

 これからしっかりとやっていく。地場のマーケティング会社を含めて話をしている。

 例えば、3年前にXiaomi(シャオミ)を知っている人はいなかった。でも、中国で売れているメーカーがある、と話題になって知られるようになった。

 うちは日本からスタートして、おかげさまで非常に多くのユーザーに買っていただけている。しかも、企画開発だけでなくR&D(研究開発)も自社で抱えている。開発だけでなく、製造も含めて、どんどん日本の会社、日本のものにしていく。そうすると、おのずと大きな差別化ができるというストーリーがある。

 ビジネスはどこの国でやっても一緒だと思っている。良い製品をしっかりと作り、魅力的な価格で提供し、しかも販売だけでなくカスタマーサポートもしっかりと提供する。我々は日本でも、カスタマーサポートは外に出さす自社のオフィスの中でやっている。どこの国でも同じようにやる。そういうところは大きな差別化になる。

――海外で販売する端末も「FREETEL」ブランドなのか。

 海外でも「FREETEL」ブランド。しっかりと打ち出していきたい。OEMで作ってくれないか、という依頼もあるが、全部断っている。最低でも子ブランド。FREETELの名前が付かない限り(他社向けに)端末は作らない。

アプリ連携SIMに新展開

――訪日外国人向けとして、Facebookのパケット通信料が無料になるといったSIMカードが発表された。日本人向けは?

 いろんなことを考えている。これは、ほかのMVNOにはできなくて、ウチにできることだと考えている。もともと、海外の事例は前職でたくさん研究していた。そこで分かったのは、L2接続はスタートに過ぎないということ。L2接続の後に、この3年間資金を投入してきた。iPhone用SIMカードのように、アプリと連携できて差別化する、こういったSIMカードは今までなく、ユーザーのニーズがある。しっかり深掘りして、随時発表していきたい。

――日本人向けに同様の施策がある?

 はい。

――発表された中にLINEが含まれていなかったが。

 他意はない。同様のことを考えている。訪日外国人向けなので、海外で使われている特徴的なサービスにまず対応した。

Windows 10 Mobile

――Windows 10 Mobileの端末は、マイクロソフトの発表会で一気にライバルが増えた。

 Android端末のメーカーに比べたらまだまだ少ない。しかも日本ではWindows Phoneの市場が過去4年間、無かった。いろいろなメーカーが出てくるのは、いいことではないか。

――Windows 10 Mobileの端末でどう差別化していくのか。

 他社のラインナップがクリアになっていないので申し上げにくいが、フルラインナップでいくとお伝えしている。すでに2製品は発表しているが、ユーザーそれぞれのニーズにあった製品を出していくのは変わらない。

――年内には出せそう?

 ウチはもちろんできる。あとはマイクロソフトさん次第。準備は全部できている。部材の準備もテストも全部やった。あとはゴーサインが出れば最速で出す。そこは変わっていない。

太田 亮三