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LGがグローバル向けフラッグシップ「G4」、現地レポート
(2015/4/30 21:11)
LGエレクトロニクスは日本時間の4月29日、ニューヨーク、ロンドン、パリ(現地時間4月28日)、シンガポール、イスタンブール、ソウル(現地時間4月29日)の世界6都市でイベント「LG G4 Day」を催し、同社のフラッグシップ「G」シリーズの最新モデル「G4」を発表した。
グローバル向けフラッグシップモデル「G4」
「G4」は、全世界で1000万台を超える販売を記録した従来モデルの「G3」の後継モデルで、基本的なコンセプトを継承しながら、ハードウェアやデザインを一新すると同時に、快適なユーザーの利用環境を実現するユーザーエクスペリエンスを目指したモデルとして仕上げられている。
イベントでは最初にLG MC事業本部 韓国営業担当のチョウ・ソンハ副社長が壇上に立ち、今回のG4に対する取り組みが紹介された。スマートフォンがより広い世代へ普及していく中、「Visual Generation」と呼ばれる世代の人たちが生まれ、映像体験を通じた、さまざまな感動が求められるようになり、G4はこうしたニーズに応えるべく企画されたという。本革をあしらった背面パネルをはじめ、F値1.8という明るいレンズを組み合わせたカメラ、量子ドット技術を採用したIPS液晶ディスプレイなど、ハードウェアとしてのアドバンテージだけでなく、ユーザーがより快適に使えるように、新しい「UX 4.0」を採用し、今までのスマートフォンにはなかった体験ができるように作り込まれているとした。LGでは、グローバルで約4000名のユーザー体験プログラムを実施することを発表しており、こうしたプログラムが提供できることは、優れたユーザー体験に対する自信の表われだという。
次に、ゲストとして招かれたクアルコムアジアのト・ジンミョン副会長が登壇し、LGとクアルコムは20年間以上、パートナーシップを締結して、さまざまな製品を展開してきたことが紹介された。なかでも「Optimus G」に始まるラインアップではすべてのモデルにSnapdragonが搭載されてきたが、今回のG4では「Snapdragon 808 Processor with X10 LTE」が採用され、通話品質や高速で安定したネットワーク品質を実現しているという。カメラや4Kビデオレコーディング、GPSの感度向上などもユーザーの利用体験に大きく寄与できるだろうと語る。
続いて、LG MC事業本部 MC商品企画 チェ・ジョンソ部長が登壇し、G4の具体的な製品説明を行った。まず、デザインの基本的なコンセプトの背景として、スマートフォンのデザインは年々、少しずつ変化してきているが、基本的には「ひとつの板」であり、各社とも差別化が難しく、ユーザーからも飽きられてきたのではないかとした。こうした状況に対し、LGエレクトロニスとしてもどのように差別化していくのかを常に考えており、今回のG4ではその点について取り組んだという。
現在、各社のスマートフォンはどちらかと言えば、シンプルさを追求した「ミニマリズムデザイン」のアプローチが多く見受けられるが、LGでは「アナログ的感性」を活かし、人の手や顔にフィットする「スリムアーク(Slim Arc)」デザインを採用したという。ディスプレイ部分もわずかな曲線が付けられた形状に仕上げられており、画面を下にして落としたときの耐久性も従来モデルより20%向上させている。
また、バッテリーを着脱できない固定式を採用したスマートフォンが増えている状況に対し、G4ではユーザーの利便性を考慮し、背面カバーを外して、3000mAhのバッテリーを着脱できるデザインを採用したという。ちなみに、バッテリーは本体に装着するもの以外に、予備バッテリーとこれを持ち歩くためのケースも同梱される。
外観でもっとも特徴的なのは、植物性タンニンなめしを本革に施した6色のフルグレインレザーを採用した背面パネルで、ブラック、ブラウン、レッド、スカイブルー、ベージュ、イエローがラインアップされる。単純に本革を背面パネルに貼り合わせるのではなく、ステッチなどをあしらうことにより、これまでのスマートフォンにはない独特の質感を演出している。使い込んでいくと、使う人によって違う個性が醸成されることを狙っているという。本革のパネルは同社が約3年間、研究を重ねて実現したもので、革の質もブランド品などに採用されるものと比較して、遜色ないものを採用している。本革製パネルを採用したモデルのほかに、3Dパターンを採用したセラミック素材パネルのモデルもラインアップされ、セラミックホワイト、メタリックグレー、シャイニーゴールドが用意される。
F値1.8のレンズと大型センサーを採用したカメラを搭載
カメラについては、従来モデルよりも40%大きい1600万画素のセンサーに、従来モデルよりも80%明るいF値1.8のレンズを組み合わせることにより、暗いところでも美しい写真を撮影できるようにしている。手ブレ補正については、X軸とY軸の補正を1度から2度に強化すると同時に、Z軸の動きの補正にも対応した「OIS 2.0」を採用する。カメラの起動も高速化され、背面のリアキーをダブルタップするだけで、わずか0.6秒で起動できる「クイックショット」が搭載される。
インカメラについては、セルフィー(自分撮り)をより美しく撮影できるようにするため、800万画素のセンサーを採用する。手のひらを開いて閉じる動きに合わせて撮影できるジェスチャーショットでは、2秒間に最大4枚の写真を撮影し、ベストな写真を撮れるようにしている。
これまでにないカメラの機能のひとつとして、新たにカラースペクトルセンサーが搭載された。RGBセンサーと赤外線センサーを組み合わせたもので、被写体から反射される光や周辺の光を正確に読み取り、これをホワイトバランスの最適化やフラッシュのカラーの調整に活かし、人間の眼で見たときに違い色合いを再現する。会場ではライバル機種と並べたデモが行われ、ライバル機種がファインダー内に白い紙が入り込んだときに色合いが変わってしまっていたのに対し、「G4」は標準状態でも人間の眼で見た色合いと差がない上、白い紙などを写り込ませても影響をほとんど受けない状態を実現していた。
撮影機能については、マニュアルモードにも対応しており、フォーカスやシャッター速度、ISO、露出補正、ホワイトバランスなどの項目を手動で設定できるようにしている。保存形式も一般的なJPG形式だけでなく、RAW形式にも対応し、撮影後の写真をパソコンなどで編集(現像)することも可能だ。プレゼンテーションでは「microSDカードに対応しないライバル機種もあるが、『G4』は大容量のmicroSDカードを利用できるため、RAW形式などのデータも安心して保存できる」とコメントしていた。また、イベントでは韓国のプロカメラマンがライバルモデルといっしょにさまざまなシーンで撮影した写真が紹介され、実際に撮影した写真をポスターサイズに引き伸ばしてプリントしたものも写真展として、公開されていた。
量子ドット技術を採用した5.5インチIPS液晶
「G4」のもうひとつのトピックはディスプレイだ。プレゼンテーションでは、映像の世界でもっとも画質を重要視する業界として、映画業界が挙げられ、そこで標準的に採用されている規格「DCI(Digital Cinema Initiatives)」が紹介された。現在、ディスプレイなどでは色域を表わす規格として、sRGBやNTSCなどが使われているが、「G4」に搭載されたディスプレイは、DCI基準によるキャリブレーションが行われており、これまでのスマートフォンに比べ、より広い色域を再現できる。
スペックとしては、2560×1440ドット表示が可能な約5.5インチのクアッドHD IPS クアンタムディスプレイを搭載する。この「クアンタムディスプレイ」は最近、液晶テレビでも注目を集めている量子ドット技術を活かしたディスプレイで、従来モデルと比較して、色再現性で約20%、輝度で約25%、コントラスト比で約50%向上させている。構造的には従来の液晶パネルが黄色い発光体に、青いバックライトを組み合わせていたのに対し、クアンタムディスプレイでは赤と緑の蛍光体を使い、青いバックライトを組み合わせることで、色を強く出すことができる。LGとしては、従来モデルの「G3」でいち早くクアッドHD対応ディスプレイ搭載モデルを世に送り出し、スマートフォンの解像度競争を仕掛けたが、「G4」では色の再現性という新しい競争軸を提案したいという。
また、「G4」に搭載された液晶パネルは、クアッドHD対応パネルとして、はじめて「Advanced InCell Touch(AIT)」技術を採用し、液晶パネルとタッチパネルを統合することで、より高いタッチ感度と色再現性を実現している。
この他にも「ヒューマンセントリック UX(ユーザーエクスペリエンス)」と名付けられたユーザーインターフェイスを進化させており、ギャラリーアプリでは時間や場所によっての自動整列、「メモリーズ」機能による自動アルバム生成、複数のカレンダーやSNSからの情報をひとつのカレンダーにまとめる「イベントポケット」機能、ユーザーの好みや週刊に合わせて必要な情報をカスタマイズして通知する「スマートノーティス」など、使い勝手の面もよく考慮されたスマートフォンとして仕上げられている。
イベントのプレゼンテーションでは、全体を通して、本革やセラミックを使った背面パネルなどのアナログ的感性のアプローチをはじめ、microSDメモリーカード対応や着脱可能なバッテリーなど、さまざまなメーカーのライバル製品とは違った方向性を積極的にアピールしていた。なかでも本革による背面パネルは今までにないアプローチであり、実際に触った質感も良く、今後の市場での反応が注目される。
「G4」は、4月29日、韓国での発売を皮切りに、全世界180カ国での販売が予定されている。日本ではauから従来モデルのG3をベースに開発された「isai FL」「isai VL」が発売されており、今回の「G4」についても国内向けモデルの登場が期待される。
項目 | 内容 |
チップセット | Qualcomm Snapdragon 808 Processor with X10 LTE |
ディスプレイ | 5.5インチ クアッドHD IPS クァンタムディスプレイ(2560×1440ドット、538ppi) |
メモリ | 32GB eMMC ROM、3GB LPDDR3 RAM / microSDスロット |
カメラ | リア 16MP、F値 1.8 / OIS 2.0 / フロント 8MP、F値 2.0 |
バッテリー | 3,000mAh(着脱型) |
OS | Android 5.1 Lollipop |
サイズ | 148.9×76.1×6.3~9.8mm |
重さ | 155g |
ネットワーク | 4G / LTE / HSPA+ 21Mbps (3G) |
ネットワーク接続 | Wi-Fi IEEE802.11 a/b/g/n/ac / Bluetooth 4.1LE / NFC / USB 2.0 |
色 | セラミック:メタリックグレー/セラミックホワイト/シャイニーゴールド 本革:ブラック/ブラウン/レッド/スカイブルー/ベージュ/イエロー |
その他機能 | マニュアルモード/ジェスチャーインターバルショット/クイックショット |