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シャープ、高感度化とセンサー統合でディスプレイの競争軸を変える
(2015/3/10 16:41)
シャープは、液晶パネルにタッチセンサーを一体化したインセル型タッチパネルの生産に着手するとともに、その他のセンサーを統合したディスプレイを開発していくと発表した。
同社 代表取締役 専務執行役員 デバイスビジネスグループ担当の方志教和氏は、10日に開催された報道関係者向けの説明会において、「ディスプレイの競争軸は、従来の高精細化、狭額縁化、低消費電力化から、デザイン性や環境性能、ユーザーインターフェイス(UI)の革新といった方向に変化していく」とした上で、小型、中型、大型のサイズを問わず同じようにタッチ入力が行える環境として「フリードローイング」というコンセプトを追及していくと語った。
スマートフォンやタブレットでは静電容量方式、車載器などでは抵抗膜方式や静電容量方式、電子黒板などではIR方式やカメラ方式といったように、用途に応じて異なる方式が採用されてきている。それぞれの方式にはメリットとデメリットが存在するが、シャープでは感度が低下するとされていたインセル型タッチパネルの高感度化を実現することで、従来よりも幅広いシーンでの期待している。
同社では、高感度化を実現することで、鉛筆のような細いペン先を検知したり、接触面積を検知することで毛筆入力を実現したり、厚い板越しや手袋をつけた状態での入力に対応したりできるとしている。
インセル型のパネルは、2015年度中にもスマートフォンやタブレットに採用された後、2016年度から中型・大型のデバイスにも適用範囲を広げていく計画。
また、シャープでは「Free Form Display」(FFD)として様々な形状のディスプレイを発表しているが、こうしたディスプレイにセンサー技術を統合することで、新たな価値を提案していく。例えば、AQUOS CRYSTALのようなフレームレスディスプレイの外周にタッチセンサーを統合することで「フレームレスUI」を実現したり、円形ディスプレイにフリーフォームのタッチセンサーを統合することで「円形UI」を実現したりすることが想定されている。
同社ではこのほか、NFCのアンテナを透明化することでディスプレイ前面にカードリーダー機能を搭載したディスプレイも披露。テレビやパソコンのモニターでのログイン操作や自動販売機での購入動作、カードを置くだけで認証して利用可能となるテーブル型ディスプレイ、タブレットの上に置いたキャラクターグッズが内容に反映されるゲームなどのアイデアが紹介された。今後はさらに様々なセンサーをディスプレイに統合していくとしている。
方志氏によれば、ディスプレイデバイス事業統轄部門の再編に加え、電子デバイス事業統轄部門との連携を強化することで、こうした取り組みを加速させていくのとこと。