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NTTグループ、陸上自衛隊と連携した防災訓練を実施
(2014/3/6 18:12)
NTTグループと陸上自衛隊 東部方面隊は、共同総合防災訓練を実施した。会場は陸上自衛隊 朝霞駐屯地で、NTTグループからはNTT東日本、NTTドコモなどが中心となって参加した。
NTTドコモはこれまでも自衛隊と連携し防災訓練を実施してきたが、NTT東日本などを含めたNTTグループとして自衛隊と連携した訓練を公開するのは今回が初めて。訓練の内容は大きく2つに分けられており、大規模災害発生時の初動として行われる自衛隊による人命救助を、NTTグループが通信設備の面で自衛隊と連携して支援する訓練と、被災地やインフラの復旧活動を、自衛隊の支援と連携して行う訓練が実施された。
訓練会場ではこのほか、使用した車両の展示や衛星携帯電話、NOTTVによる災害時専用のデータ放送の画面などが紹介された。
初動では自衛隊の人命救助を通信面で支援
NTTグループは「指定公共機関」として、災害発生時には自衛隊や自治体に対し通信面で支援を行うこととなっており、物資輸送訓練や搭載検証、搭載訓練も実施している。
今回、埼玉県の朝霞駐屯地で実施された訓練では、首都直下型地震の発生を想定。地震発生後、災害対策本部を設置し、自衛隊のヘリコプターによる観測映像を共有した後は、人命救助活動の支援として自衛隊の活動拠点に対し、通信手段の構築を支援する訓練が実施された。ここでは、自衛隊のヘリコプター「UH-1J」による通信機材の搬送と、回線の設置や携帯電話の貸し出しが行われる。ヘリにはNTT側の人員も同乗、ヘリが着陸するとトラックに機材を積み替えて搬送、ドコモは衛星携帯電話を、NTT東は可搬型ディジタル無線装置による専用回線の設備の構築を行った。
エリアの応急復旧を自衛隊が支援
人命救助活動の後か、平行して行われるという、避難所の通信確保では、通信が途絶している避難所に対し、衛星回線を利用して携帯電話のエリア化を行う。交通網が遮断されている地域に対応するため、自衛隊の輸送ヘリ「CH-47JA」による、機材や機材を搭載した車両の搬送を行い、ドコモは可搬型衛星基地局によりエリア化を実施、NTT東は可搬型衛星通信装置により特設公衆電話の設置やWi-Fi環境の構築を行った。また、車両が進入できる地域では、衛星移動基地局車や、衛星IP電話のIP-STARと移動基地局車を組み合わせたエリア化を行い、これらも車両が登場して装備を展開する訓練が行われた。
基地局など既設のインフラも復旧へ
避難所などでのエリアの応急復旧が済んだ後には、通信インフラの復旧が行われる。ドコモは光回線が断となるなど被災した基地局に対し、5GHz帯マイクロ無線システムを構築、非常用のマイクロエントランスで伝送路の応急復旧を行い、既設の基地局の復旧を行う。NTT東は可搬型ディジタル無線装置により、各家庭への回線の応急復旧や、携帯電話基地局の復旧を行う。
訓練では、上記の内容が実際に行われ、機材の輸送、設置、動作といった一連の流れが確認された。また、通信ビルなど大型施設にも電源を供給できる2000kVAの移動電源車がドコモ、NTT東から1台ずつ参加。ジェットエンジンのような音を響かせる巨大なガスタービンエンジンが稼働する様子も披露された。
初動の連携を強化「いち早く連携し動き出すことが重要」
訓練に先立って行われた説明会で、NTTドコモ サービス運営部 災害対策室 室長の山下武志氏は、「3.11以降、さまざまな対策を行ってきたが、いかに運用していくかが重要。自衛隊の人命救助では、被災地が広範囲になると通信面からの支援も要請される。今回の訓練では、初動や人命救助などを迅速に行う」と語り、自衛隊の活動を通信面で支援する取り組みを解説した。
なお、無線通信を担当するドコモは、これまでも共同訓練を実施してきた陸上自衛隊のみならず、海上自衛隊、航空自衛隊とも連携できる体制を構築している。海自、空自との共同訓練については、実際の災害の発生などもあって実施には至っていない。
共同防災訓練が終わると、陸上自衛隊 東部方面総監部 幕僚副長(防衛)の沖邑佳彦氏が訓練を総括した。沖邑氏は、NTTドコモとの共同訓練が9回目で、朝霞駐屯地では5年ぶりの実施になることに触れた上で、「着実に成果が出ている」とし、2013年の伊豆大島への災害派遣では、NTTグループの協力のもと、いち早く通信回線を復旧できたことを紹介。「人命救助は最初の3日間が重要で、いち早く動き、連携することが重要。通信は“神経”であり、NTTグループとの協定に基いて、一層連携を強化していく。双方の能力をきちんと認識し、災害時にどういう連携をしなければならないか、イメージアップしながら連携を深めていきたい」と締めくくった。