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Google、現実の3次元空間をモバイル端末上に再現する新プロジェクト

 米Googleは、現実世界の3次元空間をモバイル端末上に3次元情報として取り込み、活用できるようにする新プロジェクト「Project Tango」を公開した。開発キットの提供も開始されている。

「Project Tango」(YouTubeで公開された動画より)

 新たに公開された「Project Tango」は、同社の研究開発部門「ATAP」(Advanced Technology And Projects)で取り組まれているもので、1年にわたって大学や研究所、ロボット工学やコンピュータビジョンの分野など、世界9カ国にまたがる産業界のパートナーと協力してきたことを明らかにしている。

 「Project Tango」を公表した同社の「Google+」上の記事では、建物内での移動や、地図などロケーションサービスを発展させた活用、現実世界にキャラクターが登場したかのように楽しむゲームなどを例えとして案内している。

 プロトタイプとして開発された端末は、ハードウェア・ソフトウェアともに大幅に改修されたスマートフォン型で、4メガピクセルのカメラに加えて、モーショントラッキング用のカメラと、デプスセンサー(奥行きセンサー)を搭載。コンピュータビジョン用のプロセッサーも搭載している。これらにより、3次元空間の中での端末の位置や向きを正確に把握でき、端末の周囲の3次元的な構造も端末の中に再現できる。

「Project Tango」で開発されたプロトタイプの端末

 すでにサービスなども提供されている、カメラなどを使ったVR(Virtual Reality)技術との違いは、映像などの2次元の情報ではなく、現実の空間を反映させた奥行きのある3次元の情報で、画面上に空間を再現できる点。目の前にある机などの物体を画像ではなく3次元のオブジェクトとして扱うことができ、文字通り次元の違う活用が可能になる。YouTubeで公開されているビデオでは、端末を持って移動すると、周囲の情報が3Dで記録されていく様子や、現実世界の物体や構造を反映させた画面上の世界でゲームをプレイする様子などが披露されている。

(YouTubeで公開された動画より)

太田 亮三