ニュース

Jabraが国内戦略を披露、受話器型など業務用3機種も

 GNネットコムジャパンは、「Jabra」ブランドで展開するヘッドセットについて、業務用を含めた国内の戦略を明らかにした。同日、業務用の新製品として、日本市場向けに開発された3機種も発表された。

 新たに発表された業務用のヘッドセットは、3万450円という比較的手頃な価格でラインナップされる無線の片耳用ヘッドセット「Jabra PRO 900シリーズ」、パソコンにUSBで接続する仕様でありながらオフィスの受話器のような形を再現した「Jabra DIAL 550」(1万500円)、有線接続でノイズキャンセル機能を強化した「Jabra BIZ 2300シリーズ」(1万6800円~)の3機種。日本市場では片耳タイプが好まれることから、ヘッドセットはいずれも片耳タイプとしているほか、ヘッドセットですらない受話器型の「Jabra DIAL 550」も、オフィスでは受話器を耳にあてるスタイルへの需要が根強いことから、日本向けに開発された。

「Jabra PRO 900シリーズ」
「Jabra DIAL 550」
「Jabra BIZ 2300シリーズ」

「職場や会話の分散に対応する高品質なソリューションが重要」

 27日には都内で記者向けに発表会が開催された。デンマークの本社から来日したJabra CEOのMogens Elsberg(モアン・エルツバーグ)氏は、年間5億ドル(約507億円)の売上規模がある同社において、40%がコンシューマー向け、60%がビジネス向けであるという内訳を説明し、世界市場のヘッドセットのシェアはコンシューマー向けで約20%、ビジネス向けでは約30%であるとした。年18%の伸びで成長しているとのことで、「1分間に40個のペースで製品が売れている」と、事業が好調に拡大している様子を語る。

Jabra CEOのMogens Elsberg(モアン・エルツバーグ)氏

 その同社が世界市場でフォーカスしているのは、同社の情熱とユーザーのニーズが重なる「スイートスポット」であるとし、「ナレッジワーカー(企業内の知識労働者)にいかにインパクトを与えていくか、常に考えている」と、需要の調査を丁寧に行っている様子を紹介。一方で、フォードが1908年にT型を開発・販売したことを例に出し、「もしユーザーに調査を行ったとしたら、『もっと速い馬が欲しい』と答えたに違いない」というヘンリー・フォードの言葉を引用し、真に新しい考え方は、必ずしもユーザーから出てくるわけではないと指摘した。知識労働者への製品についても「将来の答えは、なかなか出てこない」と難しさを語る。

 エルツバーグ氏は、世界で起こっている3つの“メガトレンド”として、ITのコンシューマー化が進行したことによる「BYOD」(私物IT製品の業務利用)、空港やホテルでも仕事ができるといった、場所を問わない業務環境の整備、そして、個人の能力がグローバル市場に通用、あるいはグローバル市場から求められる“タレントのグローバル化”を挙げた。

 これらのトレンドは、企業にとっては職場、そして“会話”が分散することを意味しており、それらをいかに集約するかが重要になるという。同社はさまざまなパートナー企業を通じてこうした体制や過程を分析・検証しており、製品に反映していくとしたほか、「新しいナレッジワーカーが勃興しており、そこにいかに最適化していくかが重要。本当に世界中に散らばっており、カンバセーション、会話が重要になっている。高品質なソリューションが重要になる」と語り、今後も新しい仕事のスタイルに合った製品を開発・提供していく姿勢を示した。

「コンシューマーもビジネスも積極定的に出していく」

 GNネットコムジャパン 代表取締役社長の安藤靖氏からは、日本市場での戦略や新製品について説明が行われた。

GNネットコムジャパン 代表取締役社長の安藤靖氏

 同社は、日本市場では1986年からヘッドセットを提供しており、国内のヘッドセット市場では推定シェアが約35%、売上は約13億円とした。2012年から2013年にかけて約20%の成長を実現したとのことで、売上比率はコンタクセンター(コールセンター)向けが約75~80%、オフィス・一般向けが約20~25%としている。

 コールセンターでのヘッドセット利用率は98~99%と、実質的に必須の機器になっているのに対し、オフィスでの利用率は5%に留まっているという。ただし、オフィスでの利用率はこの3年程度の間に急速に伸びているとし、今後の拡大に期待を寄せた。

 日本向けとして新たに発表された3製品は、ヘッドセット型がコールセンター業務に向けたもので、人員が密集する日本の環境に対応するため、ノイズキャンセル機能を強化。また、ワイヤレスタイプは安価なものが求められているとし、価格を抑えたモデルをラインナップした。オフィス向けとした受話器型のモデルは、企業が一括導入する際などに、受話器を持ちたいという根強い需要に応えたものであるとし、ディスプレイは日本語の表示にも対応している。

 安藤氏からはこのほか、スポーツシーンや音楽用スピーカーなどもラインナップしていることが紹介され、「この中のいくつかはオフィスでも使える」としたほか、弁護士事務所やアートディレクターのオフィス、医療現場でも利用されている様子を紹介。「2014年は、日本で40%のシェアを目指したい。コンシューマーもビジネスも、積極的に出していく」と意気込みを語った。

 発表会後には、製品の展示・体験コーナーで安藤氏が自ら製品の特徴を解説する一幕も見られた。音声コマンドや音声応答機能などは、多言語対応を進める中で、日本語にも対応する予定とのこと。2014年中には日本語を認識できる製品を出したいと語っていた。

会場のそのほかの展示

太田 亮三