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対話し考える“おでかけ”アプリ「mia」、ドライブモード追加
(2013/6/4 15:50)
イナゴ(iNAGO)は、対話をしながら欲しい情報を絞り込める無料のAndroid向けエージェントアプリ「mia powerd by netpeople」(mia、ミア)に、運転中の利用を想定したドライブモードを追加する。最新バージョンは6月10日より、Google Playでダウロードできる。利用料は無料。
miaは、音声認識による対話を通じてユーザーの意図をくみ取り、ユーザーの欲しい情報を提供するエージェントアプリ。国内では、2011年6月より、サムスン製Android端末に導入されており、2012年7月からはGoogle Playでも配信されている。Android 2.3.3以上で動作する。
現在提供されているモバイルモードでは、グルメ情報や乗り換え案内、周辺地域情報やイベント、Web検索、音楽再生などが、単なる音声認識による操作ではなく、対話を通じて絞り込みながら行える。
6月10日より提供される最新版では、運転中に利用しやすいよう、詳細情報を画面表示することなく、音声で伝える形のドライブモードが追加される。ナビ機能は「モバイル Google マップ ナビ」と連携する。
画面表示は日本自動車工業会(JAMA)のガイドラインに則した形がとられる。このため、ドライブモードでは、Web検索やTwitterやメールとの連携機能は利用できない。ドライブモードからモバイルモードには切り替えられる。
現在、Android向けに提供しているが、iOS版についてはすでに完成している。音声エージェント「Siri」と似ているため、アプリの申請をしても審査を通過しないという。
SEAMANやAQUAZONEの開発陣が手がける音声エージェント
カナダと日本に開発拠点を置くイナゴの歴史は古く、2000年から対話型インターフェイスソフト「netpeople」を手がけている。開発チームは、電子ペット育成ゲーム「SEAMAN(シーマン)」や、アクアリウムシミュレーター「AQUAZONE(アクアゾーン)」を手がけてきたメンバーで構成されている。
netpeopleはこれまで、ゼンリンやケンウッド、トヨタ自動車など、さまざまな対話型インターフェイスに採用されており、懐かしいところではバーチャルアイドル「伊達杏子」(二代目)も手がけたという。現在、netpeopleはクラウド型のソリューションとして展開されている。
考え対話
イナゴの代表取締役社長であるロン・ディカールアントニオ氏は、miaについて、「特徴は考えることと対話すること。ユーザーが言ったことを検索し、結果を分析、ユーザーの意図を理解しようとする。人間同士は意図を理解するために、何度も対話しながら考える」とする。このため、イナゴではキャッチコピーを「あなたと一緒に考え対話(たいわ)」としている。
ディカールアントニオ氏の説明によれば、音声認識の技術はこの20年間で飛躍的に進歩しているという。しかし、認識精度が高まっただけではうまくいかない。同氏は「耳がよく聞こえても、脳みそが無ければコミュニケーションできない。Context aware、つまり会話の流れを理解する必要がある。たとえば、“イタリア”と言う言葉は、スポーツの話であればサッカーチームのことに、食べ物ならばイタリア料理のことになる」と説明する。
対話によってユーザーの目的を絞る
ただ、会話の文脈を判断する特徴は、アップルの「Siri」でも、ドコモの「しゃべってコンシェル」でも、特徴の1つとしてアピールされている。
ディカールアントニオ氏は、「グーグルの音声認識はすごく耳がいい。ただ、それで終わりだ。アップルやドコモのアシスタントは、自然言語の理解がよくできている。しゃべってコンシェルは文脈の認識も限定的だができるし、Siriの英語版はよくできている。分野の違いもあるので1つのアシスタントアプリで全てできるとは考えていないが、我々はずいぶん前からそれをやってきている」と語る。
miaには、会話の流れを判断するエンジンのほかに、現在、特許出願中というゴールを想定した会話を思考する仕組みが用意されている。ユーザーエージェントが会話を促し、会話の迷子にならないよう呼び水を用意してくれるというものだ。ユーザー側が何を言えばいいのかわからない、といったことにならないという。
具体的に言うと、例えば焼き肉屋を探したい場合に、飲食店を検索するとともに、予算はいくらなのか、家族や恋人、接待なのかといった適切な質問によって、ユーザーの目的を絞り込んでいく。ドライブモードでは、画面表示をできるだけ控え、上位の検索結果を音声で伝える。営業時間などの詳細も音声で紹介される。
netpeopleは、クラウド型の対話型インターフェイスソリューションとなり、今後のスマートデバイスの普及拡大を見据えて、マルチデバイスへ展開していく計画だ。現時点では自動学習機能はなく、ユーザーとの会話を経験値として蓄積していないが、将来的に提供する予定。miaは無料のアプリとなるが、今後、広告展開により収益化していくという。