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サムスンの最新フラッグシップ「GALAXY S4」韓国発売レポート

 サムスン電子の最新のフラッグシップモデル「GALAXY S4」が、4月27日、いよいよグローバルでの発売を迎える。このタイミングで発売されるのは一部の地域だけで、日本では発表もされていない段階だが、サムスン電子のお膝元である韓国では、一足先となる4月26日に発売された。さらに韓国では発売の前日、4月25日にプレスイベント「Samsung GALAXY S4 WORLD TOUR 2013 SEOUL」も開催された。

 今回は韓国でのプレスツアーにおいて、WORLD TOURやGALAXY S4の発売の模様、さらにGALAXY S4の開発担当者にグループインタビューする機会を得ることができたので、これらの模様をお伝えしたい。

GALAXY S4

WORLD TOURで韓国プレスにGALAXY S4をアピール

 WORLD TOURは、サムスンがフラッグシップモデルを発売する際、その国・地域で開催する、プレス向けのお披露目イベントだ。日本では昨年11月、「GALAXY Note II」発売に合わせて開催されている。韓国では4月26日の発売にあわせ、その前日の4月25日に、韓国ソウルにあるサムスングループのビルの中にあるイベントスペースにて開催された。

サムスン電子のDJ Lee社長

 イベントのプレゼンテーションステージでは、まずサムスン電子の無線事業部 戦略マーケティング室のDJ Lee社長が登壇し、「GALAXY S IIIではヒューマンセントリックなスマートフォンとしてご愛顧いただいた。本日は、毎日の生活をより価値あるものにしたいというユーザーの思いを反映させた、暮らしに新しい価値を提供するライフコンパニオンのGALAXY S4をご紹介したい」とGALAXY S4を紹介した。

 続いてサムスン電子の韓国マーケティング担当のファン・ソンフン課長が登壇し、GALAXY S4の製品プレゼンテーションを行った。GALAXY S4は「ライフコンパニオン」がグローバルでのメッセージになっている。ファン課長は「ライフコンパニオン」というメッセージに即したGALAXY S4の新機能を紹介した。

 たとえば「Group Play」の機能では、周囲にいるGroup Play対応端末(現時点ではGALAXY S4のみ)同士でWi-Fiを直接つなぎ、画像や音楽をリアルタイムで共有したり、ゲームのマルチプレイが可能となっている。ファン氏はGroup Playについて、「ほかの人と大切な瞬間を共有できる機能」と紹介する。

サムスン電子のファン・ソンフン課長

 従来からも搭載されていたジェスチャ機能も強化された。GALAXY Note IIで採用されている、ペン先を画面上にかざすことでポイントする「Air View」は、GALAXY S4では指でも可能になった。このほかにも、赤外線センサーで手の動きを検知したり、インカメラでユーザーの顔を検知して行うさまざまなジェスチャ機能も搭載されている。

 カメラの機能としては、静止画と同時に音声を記録する「Sound and Shot」やアニメーションする写真を合成する「Animated Photo」などの機能も追加された。さらに撮影した写真を自動的にアルバム化する機能も搭載していて、ファン課長は「GALAXY S4がみなさまの暮らしを特別な物語にしてくれる」と紹介した。

 GALAXYシリーズは、これまでもさまざまなアクセサリ製品がサムスン内外で製品化されているが、GALAXY S4でも、いくつかの純正アクセサリが発表されている。透明な小窓が付いたフリップカバーの「S VIEW COVER」は、GALAXY S4と連動する機能があり、閉じると自動的に小窓に最適化された画面表示に切り替わるようになっている。

 このほかにもHDTVアダプタやワイヤレスチャージャーといった製品も紹介された。ワイヤレスチャージャーは、日本ではNTTドコモの「おくだけ充電」でも使われている非接触充電規格の「Qi」を使ってGALAXY S4を充電するための製品。標準状態のGALAXY S4はQiには対応しないが、背面カバーを付け替えることで、Qiで充電できるようになっている。

 WORLD TOURの展示スペースでは、韓国国内で発売されるGALAXY S4と純正アクセサリが展示されていた。韓国ではSKテレコム、KT、LGテレコムの3つ主要キャリアからGALAXY S4が発売される。GALAXYシリーズは、各国・各キャリアごとにカスタマイズされたモデルが販売されているが、韓国版はモバイルテレビ放送用の伸縮アンテナを内蔵している。ちなみにGALAXY Note IIやGALAXY S IIIも、日本と韓国だけモバイルテレビ放送に対応するなど、日本と韓国の仕様は比較的近いとされている。

 3つのキャリア向けのモデルは、それぞれハードウェアではほぼ同一で、ソフトウェア面で各キャリア向けの独自アプリや独自機能を実装している。各キャリアのコンテンツストアなどのアプリがプリインストールされているほか、LGテレコム向けのモデルでは、通話アプリ上でVoLTE(Voice over LTE)発信も可能となっていた。

GALAXY S4
背面。KTのサービスブランドollehのロゴがある
左側面
右側面
ブラックモデル
ブラックの背面。こちらはSK Telecomのロゴ
こちらはLG Telecomのロゴ。
LG TelecomモデルはVoLTE通話が可能だった
韓国モデルのスペック(韓国語)
韓国モデルは日本語を含む各国語の表示に対応していた
韓国モデルはモバイルテレビ放送用アンテナを搭載している
展示会場の様子
純正オプションのS VIEW COVER。背面のバッテリカバー一体型
S VIEW COVERはさまざまな色が用意される
HDTDアダプタ
ワイヤレス充電器。背面カバーが付属している

GALAXY S4開発者インタビュー

サムスン電子のカン・ミンソ次長

 グループインタビューでは、まずサムスン電子のグローバル商品企画チームのカン・ミンソ次長から、GALAXY S4の製品特徴などが紹介された。

 GALAXY S4は、サムスン電子のAndroidスマートフォンとしては、4機種目のフラッグシップモデルとなる。カン次長は、「初代のGALAXY Sと次のGALAXY S IIでは機能面でお客さまに近づくことに重きを置いたが、GALAXY S IIIでは“designed for human”というコンセプトで、人に重きを置いてデザインした」と語り、GALAXY S 4は同S IIIの流れを汲み、人間中心のデザインをさらに発展させたと説明する。

 GALAXY S4は、「ライフコンパニオン」という基本コンセプトのもと、「Fun」と「Relationship」、「Life Task」、「Life Care」の4つのキーワードでさまざまな機能がデザインされている。

 まず「Fun」については、人生を楽しく過ごすための機能で、GALAXY S4に搭載されているカメラの特殊撮影機能やアルバム自動整理機能などがこれにあたる。

 「Relationship」は、人間同士の関係を深めるための機能で、自動翻訳システムの「S Translate」や機能が強化されたメッセンジャーの「ChatON」、多人数でコンテンツを共有する「Group Play」などの機能がこれにあたる。

 「Life Task」は、生活を便利にするための機能で、Air ViewやAir Gestureといった機能がこれにあたる。

 最後の「Life Care」は、生活をケアしてくれる機能で、GALAXY S4の内蔵センサを使うS HealthやGALAXY S4と連動できるヘルス機器などがこれにあたる。

 カン次長は、「単純な技術革新ではなく、日常生活にバリューのある機能を投入したことに注目して欲しい」とし、GALAXY S4が単なるスペックアップモデルではないことをアピールした。

サムスン電子のパク・ヒョシン課長

 続いて筐体やユーザーインターフェイス(UI)およびユーザー体験(UX)のデザインを担当するサムスン電子のUXデザインチームのパク・ヨンソ課長、製品デザインチームのパク・ヒョシン課長、UXデザインチームのユ・スンヘ課長に、GALAXY S4のデザインについて話を聞いた。

 パク・ヒョシン課長はGALAXY S4のボディのデザインについて、「GALAXY S IIIから続いている、ヒューマンセントリックな機能をベースに、全体的なシルエットを作った」と語る。GALAXY S IIIでは全面的にラウンドシェイプを採用したことがユーザーから好評だったとのことで、その系統を引き継いだ上で、違いを出すようなデザインになっているという。

サムスン電子のパク・ヨンソ課長

 GALAXY S4で5インチディスプレイを採用した理由として「いろいろなプロトタイプを作って比較したが、その中で、もっとも大きく、かつ片手操作可能な最適なサイズを検証して作り込んでいった」とした。大きさが似通っているNoteシリーズとのすみ分けについては、「カテゴリー自体が違う認識。GALAXY Sシリーズはフラッグシップモデルで、より多くの方に愛されて欲しいという気持ちがある。一方でGALAXY Noteシリーズは、手帳のような使い方をする位置づけ」と説明した。

 UI面でいうと、GALAXY Sシリーズは、Androidスマートフォンとしては珍しく、ハードウェア・メカニカルのホームボタンを搭載している。この理由についてパク・ヨンソ課長は、「すべてはユーザーの利便性向上のため」と説明する。GALAXY Sシリーズのユーザーに限らず、初期のAndroidスマートフォンでもハードウェアのホームボタンは一般的だったが、パク・ヨンソ課長は「このボタンに慣れていると、いきなりこれがなくなったとき、不便を与える懸念がある」と語った。

プロモーションイベント「GALAXY Studio」も大規模に開催

 GALAXY S4の韓国における発売は4月26日だが、前日(25日)の段階で、サムスングループ本社ビルにあるショウルーム「d'light」付属のショップでは、GALAXY S4の実機展示が行われていた。平日にも関わらず、夕方には多くの人が実機を試すため、展示スペースに集まっていた。また発売前日にもかかわらず、すでに店内ではGALAXY S4の周辺機器の販売も開始されていた。

GALAXY Studioの入口

 あくる26日、ソウル市内のショッピングモール「COEX」内にあるGALAXYシリーズの専門ショップ「GALAXY ZONE」、そして特設イベントスペース「GALAXY Studio」も披露された。

 GALAXY StudioはGALAXYシリーズの新製品の発売に合わせ、世界各地の街中やショッピングモール内で開催されるプロモーションイベント。日本でもGALAXY Note発売時に各地で開催された。

GALAXY Studioのステージ周辺

 今回、COEX内に設けられたGALAXY Studioは、過去最大級の規模で、3日間開催されるという。ショッピングモール内のフードコートの跡地を利用したステージ、十分なスペースを持ったタッチアンドトライコーナーが用意。実機は100台以上が揃えられ、ステージ上ではタレントによるデモンストレーションも実施された

 GALAXY Studioでは販売自体は行われていなかったが、同じCOEX内には専門ショップ「GALAXY ZONE」がある。予約販売を受け付けていたこともあり、行列は見受けられなかったが、平日ながら、店内ではGALAXY S4の購入手続きが進められていた。

GALAXY Studioのタッチアンドトライスペース。このサムスン特製の展示用テーブルが10個以上並んでいる
タッチアンドトライスペース。金曜とはいえ平日昼でもそこそこの盛況ぶり
タッチアンドトライスペースの説明スタッフ。ひとつのテーブルに2~4名が説明にあたっていた
説明を聞きながら、実機でさまざまな機能を試すことができる
GALAXY Studioのステージイベントのひとつ。料理が上手な芸人を起用し、画面を触れずにGALAXY S4でレシピを見ながら調理する、というデモが行われていた
こちらはカメラに詳しいミュージシャンによるカメラの紹介
GALAXY専門店のGALAXY ZONE。セルラー入り・なしの各種製品を購入できる
GALAXY S4のパッケージ。これまでとはテイストが異なる

白根 雅彦