ニュース

私物スマホの仕事利用、はびこる「勝手BYOD」

私物スマホの仕事利用、はびこる「勝手BYOD」

 MCPC(モバイルコンピューティング推進コンソーシアム)は、スマートフォンの仕事での利用に関する調査結果を発表した。社員が個人所有する携帯電話を仕事で利用する、いわゆる「BYOD(Bring Your Own Device)」について、小規模企業を中心に「勝手BYOD」が進んでいるという。

 調査はWeb上でのアンケート方式。実施期間は2012年9月20日~10月12日。全国のビジネスパーソン8万人を対象に実施され、有効回答数は2153件だった。なお、回答者の属性は、男性93%に対して、女性は7%と少ない。年代別の割合は20代が10%、30代が27%、40代が37%、50代が22%、60代が4%。回答者の業種は、38%が情報通信業、次ぐ28%が製造業、13%がサービス業、7%が卸及び小売業で、これらの業種で85%以上を占める。

スマホの仕事利用は過半数超え、小企業ほど個人所有

 スマートフォンを仕事で利用しているユーザーは1175人と過半数を超えた。とくに、100人未満の企業では7割近くの回答者が仕事で利用しており、小規模の企業の方がその傾向が高い結果となった。

 仕事でスマートフォンを利用している1175人のうち、会社から支給を受けているユーザーは591人で、ほぼ半数となった。この傾向は、大企業ほど高くなった。100人未満の企業では65%が個人所有だった。

 アプリの利用については、メールや電話、地図アプリなどの利用が全体的に高い。SkypeやLINE、Facebookについては、小規模企業ほど利用しており、逆に大企業は利用率が低い結果となった。

スマホの社内利用、MDM導入進まず

 スマートフォンと社内システムとの連携については、メールやスケジューラー、グループウェアなどを中心に利用されており、大企業ほどスマートフォンで利用できる社内システムは多い。

 それと比例するように、スマートフォンの利用規則の整備は、1000人以上の企業では7割が整備している。一方、100人未満の企業では75%が未整備で、利用ルールがないままBYODが進んでいる。

 なお、端末をパスワードでロックしている利用者は約8割と高い。こうした中、管理者が企業のポリシーによって端末に機能制限がかけられるMDM(Mobile Device Management)システムの導入は、大企業でも10%程度。

スマホへの期待とギャップ

 スマートフォンの仕事利用に期待するものは、メールや資料の活用、ネット利用、スケジュール管理、情報共有が5割以上となった。その一方で、資料の活用やスケジュール管理、情報共有は期待は高いものの、実際には使われていない。情報共有への期待は6割と高いが、実利用は3割にまで下がる結果となっている。

 では、なぜ使いたくないのか? 個人の端末をそこまで利用したくないとする回答者は45%程度、また、会社が端末を支給してくれないとする回答も30%を超えている。このほか、セキュリティの不安から使わないユーザーも4割いる。

津田 啓夢