HTC、日本発のグローバル端末「HTC J Butterfly」発表会


 HTC NIPPONは、KDDIから12月上旬に発売されるAndroidスマートフォン「HTC J Butterfly」(HTL21)を紹介するプレスイベントを開催した。会場にはHTC本社からCEOのピーター・チョウ氏が来日し挨拶を行ったほか、KDDI 代表取締役社長の田中孝司氏も登壇、チョウ氏とのトーク・セッションに臨んた。また、後半にはPRキャラクターを務める乃木坂46のメンバーが登場し、新テレビCMや端末の魅力について語った。


 

「これが欲しい」と思ってもらえるものを

HTC CEOのピーター・チョウ氏

 両社の密接な協業は、「HTC J Butterfly」の前モデルにあたる「HTC J ISW13HT」から始まる。冒頭に登壇したHTC CEOのピーター・チョウ氏は、日本市場が特別な市場とした上で、KDDIの田中社長との話の中で特別なモデルを用意することになった経緯に触れる。「田中社長は、エキサイティングな端末だが、もっと違ったことをしなければいけないと語った。日本のユーザーは、ほかとは違ったものを求めており、また洗練され、エレガントなデザインを求めていると。私はその通りだと答えた。田中社長は日本人のデザイナーチームを提供してくれ、一緒になってHTC Jを開発した」とチョウ氏は前モデルでの取り組みを紹介。この「HTC J」がヒットモデルになったことで、新たな日本向けモデル「HTC J Butterfly」の開発が実現したという。

 チョウ氏は、「ハイ・スタンダードで、最先端の技術を投入した。驚き、これが欲しい、そう思ってもらえるものを出す。それをHTC J Butterflyが実現した」と語り、前モデルからさらに技術的な要素も磨き上げた様子を語った。

 

KDDI田中社長「いかにユーザーが求めるものを届けるか」

 続いて、チョウ氏から紹介される形でKDDI 代表取締役社長の田中孝司氏が登壇し、チョウ氏とのトーク・セッションを行った。両社で取り組んだ「HTC J」の成功については、チョウ氏は「共同開発の提案が鍵になった。HTC NIPPONの(代表取締役社長の)村井がリーダーとなり、なにか違うものを導入しようと取り組み、KDDIのサポートもあった。チームワークがうまくいき、感謝している」と両社の作業がうまく展開したことを語ると、田中氏は、「これまでハイエンドモデルとか、横に区切ってきたが、これからはいかにユーザーが求めるものを届けるか、ウォンツ(wants)の話になる。これは間違っていないと思う。今回はHTCの技術をさらに加えて、グローバルでハイエンドだけれども、日本のユーザーにもぴったり合うものができた」と語り、今後の製品ラインナップを考える上でも、こうした視点が重要になるとした。

 両社の協業については、チョウ氏は「パートナーシップとしてさらに一段上に上がったと考えている。今後もKDDIとのパートナーシップは続けていきたい」と方針を示すと、田中氏は「ある日突然手を握るのではダメで、両社は一歩一歩階段を上るように取り組み、HTC Jは成功した。HTC J Butterflyは成功するだろうが、でも満足してはいけない。KDDIはワンタイムでは商売はしない。パートナーシップはロングターム」と語り、協業を今後も続けていく方針を明らかにした。

 チョウ氏はトーク・セッションの最後に、「HTC J Butterfly」について、「最新で、明らかにベストなAndroid端末。端末の中身は、世界で最も進んでいる。でも、日本向けの機能も入っている。発表後、世界中から欲しいとの声が寄せられている」とアピール。田中氏は「一押しはカメラ。カメラはすごい。また、使っていくとネットワークの速さなども体感でき、使い手にもマッチしてくる。今一番ハイスペックで、それでいて使いやすい」と、すでに試用している感想も交えて端末の魅力を語った。


HTC CEOのピーター・チョウ氏KDDI 代表取締役社長の田中孝司氏

 

小寺氏が「HTC J Butterfly」を解説

HTC 最高商品責任者(CPO)の小寺康司氏

 プレスイベントは続いて、HTC本社の最高商品責任者(CPO)、小寺康司氏が登壇。端末のスペックや開発秘話などが語られた。「やれることをすべて盛り込んだ」という渾身のできになっているとする「HTC J Butterfly」だが、薄型でラウンドした形状などを実現するため、通常なら液晶、基板、電池という順番で配置される内部は、液晶、電池、基板という電池を内部に取り込んだ設計になっているという。これにより電池の薄型化や大容量化を実現、各種の問題もクリアしたという。

 最近のHTC製の端末では「Beats Audio」として高品質なオーディオへの取り組みも行われているが、「HTC J Butterfly」ではオーディオ専用チップを搭載して音質にさらに磨きをかけている。液晶パネルは挟額縁設計で本体の幅の増加を最小限に留めているほか、より黒が綺麗に引き締まって見えるよう改良された。液晶パネルの解像度は、5インチで1920×1080ドット、密度は440ppiと超高精細で、160度の広視野角であることにも触れられた。

 カメラは使い勝手が改善され、オートフォーカスのピントが合うと画面のどこをタップしてもシャッターが切れる全面シャッター機能や、インカメラは88度と広角で、片手での自分撮りでも4~5人が入る点をアピール。「美肌モード」や、ギャラリーモードは場所で選んで見られるモード、ワンセグのアンテナを本体に内蔵した点、IPX5の防水に対応した点など、さまざまなポイントを解説した。


 

乃木坂46から7人が登場

乃木坂46

 ステージ上ではここで、「HTC J」から続いてPRキャラクターを務める乃木坂46から、桜井玲香、白石麻衣、生駒里奈、星野みなみ、橋本奈々未、松村沙友理、秋元真夏の7人が登場し、HTCの小寺氏を加えてトーク・セッションが開催された。「HTC J Butterfly」の魅力について、橋本奈々未は画面の綺麗さ、秋元真夏はダンスの練習に使っている動画のスロー再生機能、松村沙友理はフロントカメラの自分撮りの便利さをそれぞれアピール。松村は前列にいた白石麻衣に自分撮りを頼むと、ステージ上で7人全員を画面に入れてインカメラで撮影するといったデモンストレーションも。白石はそのまま、共有ボタンから簡単にTwitterやFacebookに投稿できる様子を紹介した。星野みなみはインターネットを含めてサクサクと軽快に動作する様子を紹介すると、生駒里奈はカメラの写りの綺麗さに感心した様子を語った。


セーラー服姿で登場した乃木坂46テレビ番組のような雛壇のステージ。小寺氏から解説も
桜井玲香橋本奈々未は液晶の綺麗さをアピール
秋元真夏はダンスの練習に使っているという動画のスロー再生を披露松村沙友理は自分撮りカメラがイチオシ
白石麻衣がインカメラで撮影。7人集まったが……撮影した写真を披露する白石。7人がしっかりと収まっている
星野みなみはサクサクうごくインターネット検索などをデモ生駒里奈は「風景がそのまま入ったよう」とカメラ(とディスプレイ)の性能に驚いていた様子

 

 ステージ上には続けて、小寺氏と交代する形でHTC NIPPON 代表取締役社長の村井良二氏が登壇、「これまでの製品は先端層には支持されていたが、一般ユーザーにはHTCって何? という状況だった。そこで、HTC Jでは乃木坂46の力を借りたが、大成功だった」と前モデルでの取り組みを評価。端末は台湾、香港でも発売されたが、台湾では乃木坂46がそのままプロモーションにも参加し注目を集めた。

 村井氏は、「使ってもらって良いと感じる、人に薦めたくなるような商品として取り組んできた。プロモーションの計画もそこを軸に考えている」と語る。すでに撮影は終えているとのことで、12月上旬から放映が開始される。また、12月10日には同社のWebサイトでキャンペーン情報の告知も行っていくという。

 乃木坂46は最後に、桜井玲香が代表して挨拶。「一日がもっと楽しくなります」とアピールし、「HTC J Butterfly」のキャッチコピーにかけて「一目惚れしてください!」と元気に締めくくった。


HTC NIPPON 代表取締役社長の村井良二氏乃木坂46を起用した「HTC J」のCM
乃木坂46は台湾で発売した際もPRに参加日本発のグローバル端末として注目を集めた
店頭の様子HTC J Butterflyでは画面サイズに合わせてフォントも特大サイズを用意
大きなフォントで高い年齢層のユーザーにも便利とした12月上旬から放映されるCMの撮影風景。内容はまだ秘密とのこと。無数のカラフルな風船の中で撮影が行われたようだ

 

質疑応答、Windows Phone 8端末の投入にも前向き

 質疑応答の時間にはタブレット端末の展開について聞かれた。ピーター・チョウ氏は、「常に関心を持っているカテゴリー。現在のタブレット市場は進化中で、計画中だが、経験を活かして市場に入っていけるか、検討中。詳細に考えており、来年には何らかのアイデアが形になるのではないか」とした。

 米Verizon Wireless向けに提供されるHTCの「Droid DNA」と「HTC J Butterfly」は類似の製品かとの問いには、小寺氏は「同一の機種だが、HTC J Butterflyには日本独自の機能を多数追加している」と回答。「HTC J」同様のアジアへの展開については「引きが強く、順次投入していこうと考えている」とした。

 Windows Phone 8を搭載した端末は、HTCから「Windows Phone 8X by HTC」として発売されており、こうしたWindows Phone 8搭載端末の国内投入について聞かれると、チョウ氏は、「希望としては、イエスだ。日本市場でも発売したいと思っている。すでに発売したモデルも前向きな評価をもらっており、将来的に、日本でもぜひ出したいと思っている」と前向きな姿勢を明らかにした。

 HTCはAppleとの特許関連訴訟で和解したばかりとあって、HTCの端末1台あたり数ドルというライセンス料が発生するのではとの噂についてコメントを求められると、チョウ氏は「推測に根拠がなく、また、間違っている。ひどいことだ。具体的にはノーコメントということになるが、和解については本当にハッピー・エンディングといえる。イノベーションに集中できる環境になった」との見方を示し、和解を前向きに評価した。

 また、グローバル市場での端末シェアではすでに競合他社の後塵を拝している形のHTCだが、チョウ氏は「ユニークなイノベーションを出し続けること。そういう方策を続けていく。時に出荷数は重要ではなく、良い物を出すこと、それがHTCのコアバリューになる」と語った。

 

会場で展示された「HTC J Butterfly」


 

 




(太田 亮三)

2012/11/20 21:00