au版「LINE」登場、200万会員を突破した「auスマートパス」
NHN JapanとKDDIは、auスマートパス版「LINE」アプリを9月3日より配信する。今回の提供は7月に発表されたもので、その詳細が明らかにされた。
auスマートパスは、月額390円でアプリやクーポン、クラウドストレージなどが利用できるauのスマートフォン向けポータル。サービス開始から169日目となる8月17日に200万会員を突破し、好調に推移している。
「LINE」は、ユニークなスタンプなどを使ったチャット機能や無料のVoIPサービスなどが楽しめるメッセンジャーアプリ。日本発のサービスで、会員は世界で5500万人、国内だけでも2500万人にのぼる。7月にこれまでのメッセンジャーアプリから、ソーシャル化する方針が示された。
■auスマートパス版「LINE」登場
auスマートパス版の「LINE」アプリでは、KDDIの契約情報を利用して、年齢確認が行えるようになった。オリジナルのスタンプとして、モグラの「トーマス」、カエルの「ハル」といったキャラクターが無料で利用できる。これらのキャラクターはNHN側でデザインしたもの。
さらに、有料スタンプの購入決済に携帯電話の毎月の利用料と合算して支払える「auかんたん決済」が利用可能で、auのポイントサービスで決済も可能になる。ポイントでの有料スタンプ購入について、NHNでは「(他社ポイントサービスとの協業を)決まったものはないが、否定はしない」とコメントしている。
■年齢確認で出会い系LINEをシャットアウト
NHN Japanの舛田氏 |
「LINE」は、スマートフォンなどの電話帳データと連携して、電話番号を知っている者同士が繋がるコミュニケーションサービス。電話番号を知らない者同士でもユーザーが設定したIDを検索して、一般的なメッセンジャーサービスのように利用できる。
このID検索機能を利用して、無作為にユーザー検索したり、逆に自分のIDをさらしたりすることで、出会い系サービスのように利用するユーザーが現れた。auスマートパス版では、auの契約情報を元に年齢確認をしなければ、このID関連の機能が利用できない仕様となっている。
NHN Japan執行役員/CSMO ウェブサービス本部 事業戦略室 室長の舛田淳氏は、未成年者に対する出会い系対策を早急に進めているとし、auの契約者情報で年齢確認することで未成年がID検索できない仕組みを用意したと説明。LINEの名前を騙る非公式のアプリの提供中止を呼びかけたり、アプリレビュー枠でのID公開には削除要請も行っているという。
なお、年齢確認の仕組みは、LINEのアプリからKDDI側に年齢確認を要求し、auの会員データベースからその結果を返すというもの。KDDIとNHN Japanで契約者情報を共有することはないという。舛田氏は「年齢確認の導入効果は高い」と話しており、サービス提供後に実際の効果を調査し、他キャリアへも年齢確認を展開していきたい考え。また、KDDI側でも年齢確認以外の方法を検討していくという。
■「au Cloud」と「guPix」が連携
また、KDDIとリプレックスは、auスマートパスで提供中のクラウドストレージ「au Cloud」と、リプレックスの写真プレビュー&共有サービス「guPix」(グーピックス)を9月3日より連携させる。
「guPix」は、スマートフォンやパソコン、デジタルカメラのメモリカードなど各デバイスに分散している写真データについて、サーバー上に自動的に100KB程度の写真のサムネイル画像を作成し、それを集約できるサービス。
元の写真データや保存先を変更することなくサムネイルのみを集約し、一覧表示できる。サムネイル画像は100KB程度と一般的なサムネイル画像よりも大きなもので、ソーシャルサービスでの画像共有など、ネットを介したやりとりに利用しやすいサイズという。
「au Cloud」では、スマートフォンの撮影データだけでなく、東芝製のWI-Fi対応メモリカード「FlashAir」と連携し、デジタルカメラで撮影した写真もスマートフォンを経由して「au Cloud」に保存できるようになる。また、デジタルカメラで撮影したデータのサムネイル画像が自動的に生成され、スマートフォンやタブレット端末、パソコンなどで表示できる。
なお、サムネイル画像のサイズはユーザー側で指定できないが、ユーザー数やサーバー容量などのバランスを見ながら、リプレックス側で画像サイズをコントロールしていく。サムネイル写真の加工機能など、集約した写真を編集する機能なども検討しているという。
KDDIでは、「guPix」との連携による写真データだけでなく、「au Cloud」を今後、さまざまなデータが保存可能な本格的なクラウド型ストレージとして提供していきたい考えだ。
■auスマートパスが200万会員突破
KDDIの雨宮氏 |
発表会では、KDDIの新規事業統括本部 新規ビジネス推進本部長の雨宮俊武氏がauスマートパスの最新の状況を説明した。
前述した通り、auスマートパスは8月17日に累計200万契約を達成した。これに伴い9月3日~28日にかけて「auスマートパス ありがとう! 200万人キャンペーン」を開始する。キャンペーンでは、抽選で総額200万ポイントのauポイントを進呈する。当選確率はおすすめサービスの利用登録や、アプリのダウンロードで高くなるとしている。
雨宮氏は、auスマートパスが順調に契約数を伸ばしていることをアピールした。現在のユーザー構成は男性53%に対して女性47%。年齢構成も男女に大きな差が見られないという。「これまでのコンテンツサービスは、一般的には男性が多い傾向にあるがスマートパスはほぼ同じ。女性もしっかり使っていただけるようなサービスにできたことがよかった」などと話していた。
また、auスマートパスの200万会員の20%にあたる、約40万人が音楽サービスの「うたパス」、動画サービスの「ビデオパス」の利用者であるとし、スマートパスを軸にした定額サービスの横展開が広がっている状況を説明した。なお、うたパスの平均利用時間は1日約70分間、ビデオパスは1日約60分とされた。
KDDIの調査によれば、auスマートパスが評価されているポイントは、月額390円というわかりやすさや、アプリのダウンロードし放題、ダウンロードできるアプリの中にセキュリティアプリが入っていることなどだという。雨宮氏は、「安心安全な利用環境で、スマートフォンを初めて使う人たちにも加入いただいている」と語っていた。
■年度内500万会員、au ID障害対策で特別運用体制
KDDIでは、年度内にauスマートパスの500万加入を目指している。目標達成に向けてアプリを順次拡充しており、サービス開始当初の約500アプリから現在は約600アプリをラインナップする。クーポンアプリについてもユニクロのクーポン追加などサービスを充実させているところだ。会員獲得数は、2013年度以降も年間500万会員獲得を目標に展開される方針だ。
このほか、auスマートパスを巡っては、8月1日にau ID関連の障害が発生した。月初の課金処理などで高負荷な状態になるところに、KDDIの想定以上の利用があったためとしていた。雨宮氏は「8月の障害の原因を追及し、対策を立てている。明日の夜から月初となるので特別な監視運用体制で実行していきたい」と語った。
2012/8/30 15:19