今週のケータイ Watchの読み方 (2012年7月20日)


クアッドコアCPU搭載スマホが発売に


 

 ドコモの「ARROWS X F-10D」、auの「ARROWS Z ISW13F」と、いずれも富士通製でクアッドコアCPU搭載のスマートフォンが7月20日より順次発売される。

 富士通は、2012年1月にラスベガスで開催された「2012 International CES」で、開発中だった「Tegra 3」搭載スマートフォンを初めて披露し、2月にバルセロナで開催された「Mobile World Congress 2012」でも展示を行った。蓋を開けてみるとドコモ、KDDIの2キャリアに供給されることになったが、1月の時点で夏に投入することが明らかにされており、ひとまずは予定通りに発売されたというところだろうか。

 「Tegra 3」はパソコン向けのGPUで有名なエヌビディアがモバイル向けに提供するCPU(SOC/System On Chip)。タブレット向け、スマートフォン向けの大きく2種類が用意されている。「4-PLUS-1クアッドコアアーキテクチャー」と呼ぶ技術を採用し、5つ目のコアで省電力駆動を行えるのが特徴。パソコン向けGPUではゲーム市場にフォーカスしシェアを拡大してきたこともあり、モバイル向けの「Tegra 3」でも据え置き型のゲーム機に迫る高性能なグラフィックス処理が行える。エヌビディアは「日本のユーザーにリーチしやすい身近なデバイスが今後発売される」としており、今後も搭載端末は増える見込みだ。

 クアッドコアのスマートフォンという点に絞ると、現時点では富士通製の上記2機種のみ。一方、クアルコムはクアッドコア化した「Snapdragon」の最新バージョンがすでに多くのメーカーに採用(開発中)されていることを明らかにしている。2012年の後半は、クアッドコアCPUの搭載がハイエンドスマートフォンのひとつの指標になりそうだ。

 


「ARROWS X F-10D」20日発売、「REGZA PhoneT-02D」の予約も


au、「ARROWS Z」「AQUOS PHONE CL」など発売

 


 

KDDIが「Smart TV Box」を開発


 

 KDDIが18日発表した「Smart TV Box」は、ケーブルテレビ事業者が契約者にレンタルなどで提供するセットトップボックス(STB)と呼ばれる機器だ。だが、プラットフォームとしてAndroid 4.0を採用し、従来からあるレコーダー機能などに加えて、インターネット上の動画やAndroidアプリが楽しめたり、スマートフォンなどと連携できたりと、意欲的な内容になっている。

 テレビのメーカーやGoogleなどは、「スマートTV」と呼ばれる、インターネットコンテンツと柔軟に連携できるテレビの形態を普及させようと取り組んでいるが、「Smart TV Box」はその名称にもあるように、スマートTVそのもののように見える。担当者が「セットトップボックスとは呼んでほしくない」と語るように(省略するとやっぱりSTBになるのはご愛嬌)、従来のSTBのイメージとはかけ離れた、イマドキの機能が満載だ。

 ケーブルテレビ事業者にとっては、有料のオプションチャンネルを契約してもらうことが収益源。「Smart TV Box」では一見すると競合するようなネットの動画サイトも閲覧できるが、そうした点もユーザー視点では便利だから、と割り切っているようだ。

 ケーブルテレビを利用している(契約できる)ユーザーには魅力的なこの製品だが、筆者は取材で製品に触れた際、ケーブルテレビとは関係なく、「テレビをスマートTV化するレコーダーとして欲しい」と感じてしまった。この点について担当者に聞くと、ケーブルテレビ事業者に卸すのと、KDDI自らが販売するのとでは、ビジネススキームが大きく異なるため、まずは当初の目的であるケーブルテレビ向けとして製品化するとのことだった。ただ、ケーブルテレビ契約者以外でも利用できるようなバージョンは検討されているようなので、「au BOX」のようにauショップで販売される日が、いつかくるのかもしれない。

 


KDDI、Android 4.0搭載のCATV向けSTB「Smart TV Box」を開発

 

(太田 亮三)

2012/7/20 20:46