富士キメラ総研、モバイルデバイスの世界市場調査


 富士キメラ総研は、スマートフォンやタブレット端末、フィーチャーフォンなどの調査レポート「2012 次世代携帯電話とキーデバイス市場の将来展望」を発表した。A4判325頁で12万6000円となり、CD-ROM付きは13万6500円。

 調査では、通信モジュールや情報処理、カメラ、表示出力関連といった携帯端末向け主要デバイス29品目とフィーチャーフォンやスマートフォン、タブレット端末、電子書籍などの市場動向を分析した。2011年の携帯電話世界市場の規模は、スマートフォンとフィーチャーフォンを合計すると、前年比8.1%増の13億4000万台。スマートフォン市場は前年比80%増と躍進し、その割合は前年の20%から携帯電話端末市場全体の34%を占めるまでに拡大した。

中国市場

 そのスマートフォン市場において40%以上のシェアを占めるのは、アップルとサムスン電子。中国では“1000元スマートフォン”(約1万2500円)と呼ばれるエントリークラスのスマートフォンも急増しているという。

 なお、中国市場には山寨機、山寨手机などと呼ばれるグローバルメーカーに類似した非正規品(機能的に類似していないものもある)を供給していた中国メーカーがいる。富士キメラ総研によると、こうしたローカルメーカーがエントリー向けモデルに参入しつつあり、山寨機の市場が縮小しているという。中国市場は、北米の22%、欧米の21%に次ぐ、世界のスマートフォン市場の19%を占めるまでに至っている。

フィーチャーフォン

 こうしたスマートフォンの躍進の一方で、フィーチャーフォン市場はミドルレンジからハイエンド製品のスマホシフトが加速し、2011年は前年比10.1%減となった。富士キメラ総研では、世界の携帯電話市場は、2013年にもスマートフォンとフィーチャーフォンの比率が逆転すると予測。2016年には、スマートフォンが65%を占めると見ている。

国内市場

 国内市場については、前年比0.6%増の3620万台となり、スマートフォンが前年比2.2倍の1880万台となった。フィーチャーフォンは前年比36.7%減の1740万台で、世界市場よりも早くスマートフォンが上回っている。

 富士キメラ総研では、携帯電話事業者がLTEへ対応していく2012年、2013年とスマートフォンの需要が拡大すると予測。2014年以降には買い換え需要にシフトし、横ばいで推移するとしている。また、フィーチャーフォン市場は縮小するが需要は一定数あるとし、シンプルな端末の生産は続くとものと見ている。

 携帯電話市場全体としてはすでに飽和状態にあり、2016年は現在と同規模の年間3620万台を維持すると予想された。

LTE、HSPA

 3.9世代、もしくは4Gなどとも呼ばれるLTE方式の世界の動向は、2011年に前年比87.5%増の1500万台となった。現在の主流はFDD方式だが、TDD方式のLTE(TD-LTE)のサービスが本格化する2013年には、LTEは1億台を突破する見通しで、2016年には4億1000万に達するという。

 HSPAは、2011年に前年比95%増の3億9400万台となった。2012年は前年比52.5%増となる見込みだが、その後は成長が鈍化し横ばいになると予測されている。2016年には6億4000万台になるという。

部材関連

 このほか主要な部材関連は2011年、スマートフォンの拡大が牽引して前年比27.4%増の9兆9848億円となった。無線デバイスや表示出力関連、センサー関連が二桁成長を記録した。また、アプリケーションプロセッサやメモリ、フラッシュメモリなどの情報処理系の部材が全体の38%を占めている。

 今後は、RF系部材の統合や削減が進み減少し、カメラ部材の高画素化が鈍化するが、他の分野は堅調に推移する見通し。2016年には13兆1907億円になると予測された。

 




(津田 啓夢)

2012/7/2 17:25