グリー田中社長、コンプガチャ問題にコメント


グリーの田中良和社長

 グリー株式会社代表取締役社長の田中良和氏は、8日に開催した同社の決算説明会の冒頭で、いわゆる「コンプガチャ」と呼ばれるソーシャルゲームのアイテム販売の手法に消費者庁が中止要請を検討していると報道されたことに触れ、「昨今、コンプガチャと言われるような形のサービスに対して、一連の報道があるということは承知しております。我々としては、より多くの方々に当社のサービスを楽しんでいただくために、ユーザーの方々に安心してサービスを利用していただく環境作りを継続していくことが重要だと考えております」とコメントした。

 また、8日には松原仁消費者担当大臣が閣議後の記者会見で、コンプガチャには景品表示法違反の恐れがあり、注意喚起を行うという考えを明らかにしたことについては、「本日、消費者担当大臣の会見でソーシャルゲームに関するコメントがあったと理解していますが、当社および関連企業による6社連絡協議会において、様々なご指摘やご意見等があった場合には、真摯に耳を傾け、利用環境向上という目的に対して適切に反映させていきたいと考えております」と説明。一方で、具体的な対応などについては、現在消費者庁など関係機関と協議を進めている段階であるため、コメントは差し控えたいとした。

 松原大臣が、ソーシャルゲームは射幸心を煽るものであることは間違いなく、一定の抑制的な方向を示す必要があると述べたことをどう思うかという質問に対しても、「何らかの指摘や要望が仮にあった場合には、真摯に対応を検討したい」と同様の見解を繰り返すに留めた。また、ゲーム性と射幸心のバランスをどう考えるかという質問には、「我々としてはより多くのユーザーにサービスを楽しんでもらいたいと考えており、ことさら射幸心を煽ることを目的とはしていない」(山岸広太郎副社長)とコメントした。

 今後のグリーの方向性として、課金の方法などを見直すかという問いに対しては、「我々としては、より多くの方々に当社のサービスを安心して利用していただくことが、事業上最も重要だと考えている。短期的な利益ではなく、ユーザーが安心して利用できる環境を作ることが最も求められていると思っており、その目的に一番対応できる方法論を模索していくことになると思う」(田中社長)と答えた。

 利用環境向上のための取り組みとしては、社内に社長直轄の利用環境向上委員会を設置するとともに、外部有識者の意見を取り入れるためのアドバイザリーボードの設置、グリーやDeNAなど6社による「ソーシャルゲームプラットフォーム連絡協議会」の設置などを進めていると説明。6社の連絡協議会で、コンプガチャの問題などが議題に挙がっているのかという質問に対しては、「詳しくは申し上げられないが、各種議論を続けており、5月末までにはガイドラインを出したい」(山岸副社長)とした。

 コンプガチャが禁止となった場合に業績に与える影響については、「個別のデータについての開示は控えるが、完全に禁止になった場合でも、ビジネスの根幹が揺らぐものではない。ユーザーに受け入れられるサービスを提供していくことで、売上を伸ばしていくことが重要かと考えている」(コーポレート本部長の島竜太郎氏)とコメント。コンプガチャが禁止になれば売上の8割程度に影響があるのではないかという質問に対しては、「そうした数字にはならない」(島氏)という見解を示した。また、仮に違法性が示された場合には、ユーザーからの返還訴訟といったリスクもあるのではという指摘に対しては、「仮定の議論にはコメントを差し控えさせていただきたい」(山岸副社長)とした。

 グリーの2012年6月期第3四半期(2012年1月~3月)の連結決算は、売上高が461億8900万円(前年同期比182%増)、営業利益が245億4900万円(同199%増)、経常利益が245億500万円(同208%増)、当期純利益が134億4800万円(同186%増)。有料課金収入が堅調に推移(対前四半期比12%増)したことから過去最高の売上高を達成。グローバル展開のためのデータセンター増強や人員増員などによる諸費用の増加もあったが、売上高の伸びがそれを上回り、すべての利益で増益を確保した。

 




(三柳 英樹)

2012/5/8 20:33